わたしを嫌わないで
お願いだから、わたしを嫌わないで。
わたしはいつも思ってる、子供の時からずっと、ずっと。
わたしをそんな目で見ないで。
わたしは何もしていないの。誰にも嫌われたくないの。
だから、わたしは髪を伸ばすの。嫌われたくないから、わたしの顔が見えないように。皆の視線がわたしに届かないように。わたしの髪が、わたしを守ってくれるの。
でも、だめ。皆はわたしを見ることを辞めてくれない。髪もわたしを守ってくれなかった。感じるの、皆の視線を。きっと言葉には出さないけれど、皆わたしを責めている、きっと、嫌いなんだ。わたしが歩くその足どりも、コップを持つその仕草も、わたしが話すその言葉も、嫌いなんだ。
だから、わたしは喋ることをやめるの。わたしは喋っちゃいけない。きっとわたしが人と話すと、皆が不愉快になるから。誰とも話さないの。こうすれば大丈夫。誰も、私のことを嫌いにならない。
違かったの。わたしは何も話していないのに。そこに立っているだけで皆は嫌うの、わたしのことを。どうしてなの、なにがいけないの。そう、きっと皆はわたしそのものが嫌いなんだ。わたしは人と会ってはいけないの。
皆と会わなければ、嫌われる事もないの。
だから、わたしは部屋から出るのをやめるの。誰とも会わない。そうすれば誰もわたしのことを嫌いになんかならないもの。これで大丈夫。誰も、わたしを嫌いになんかならない。
ううん、わたしはそれでも不安だった。誰かがいきなり部屋に入ってきて、わたしを嫌ったらどうすればいいの。鍵をかけても、きっと壊して入ってくる。そして、わたしのことを嫌うの。そして、わたしを痛くするの。いやだよ、そんなの。
そんなのはいや、わたしは。
部屋の入り口にすべて板を打ち付けたの。こうすれば鍵を壊してもはいって来れないもの。わたしはやっと、誰にも嫌われない生活を過ごせる。誰もわたしを嫌いにならない。
そして、わたは安心してシーツに包まる。家がわたしを守ってくれている。シーツがわたしを包む。
誰も、わたしを嫌わない。
でも、気づいたの。
わたしのことを嫌いな人がまだいる。
わたしを嫌っているのは、わたし。
だから、わたし自身がいなくなるまでシーツに包まる。
いつまでも、いつまでも、わたしが消えてしまうまで。
お願いだから、わたしを嫌わないで。




