表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いまは緑色の芝生  作者: 三号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/94

わたしを嫌わないで

 お願いだから、わたしを嫌わないで。


 わたしはいつも思ってる、子供の時からずっと、ずっと。

 わたしをそんな目で見ないで。

 わたしは何もしていないの。誰にも嫌われたくないの。


 だから、わたしは髪を伸ばすの。嫌われたくないから、わたしの顔が見えないように。皆の視線がわたしに届かないように。わたしの髪が、わたしを守ってくれるの。


 でも、だめ。皆はわたしを見ることを辞めてくれない。髪もわたしを守ってくれなかった。感じるの、皆の視線を。きっと言葉には出さないけれど、皆わたしを責めている、きっと、嫌いなんだ。わたしが歩くその足どりも、コップを持つその仕草も、わたしが話すその言葉も、嫌いなんだ。


 だから、わたしは喋ることをやめるの。わたしは喋っちゃいけない。きっとわたしが人と話すと、皆が不愉快になるから。誰とも話さないの。こうすれば大丈夫。誰も、私のことを嫌いにならない。


 違かったの。わたしは何も話していないのに。そこに立っているだけで皆は嫌うの、わたしのことを。どうしてなの、なにがいけないの。そう、きっと皆はわたしそのものが嫌いなんだ。わたしは人と会ってはいけないの。


 皆と会わなければ、嫌われる事もないの。


 だから、わたしは部屋から出るのをやめるの。誰とも会わない。そうすれば誰もわたしのことを嫌いになんかならないもの。これで大丈夫。誰も、わたしを嫌いになんかならない。


 ううん、わたしはそれでも不安だった。誰かがいきなり部屋に入ってきて、わたしを嫌ったらどうすればいいの。鍵をかけても、きっと壊して入ってくる。そして、わたしのことを嫌うの。そして、わたしを痛くするの。いやだよ、そんなの。


 そんなのはいや、わたしは。

 部屋の入り口にすべて板を打ち付けたの。こうすれば鍵を壊してもはいって来れないもの。わたしはやっと、誰にも嫌われない生活を過ごせる。誰もわたしを嫌いにならない。

 そして、わたは安心してシーツに包まる。家がわたしを守ってくれている。シーツがわたしを包む。

 誰も、わたしを嫌わない。


 でも、気づいたの。

 わたしのことを嫌いな人がまだいる。


 わたしを嫌っているのは、わたし。


 だから、わたし自身がいなくなるまでシーツに包まる。

 いつまでも、いつまでも、わたしが消えてしまうまで。


 お願いだから、わたしを嫌わないで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ