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いまは緑色の芝生  作者: 三号


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この部屋で五分の出来事

久しぶりにお湯を張った、


浴槽に身を沈めようとして爪先を水面に触れさせて、


眠りに堕ちるような、


身体を浸けようとして指先で水面を撫でてみて、


わたしの心を見透かすかのようななだらかな、


それでいて包み込むような表情をして、


君たちはそこで何をしているのと問いかけようとして口を、


つぐんで。


抱きしめられたかっただけなのにわたしは、


それすらも叶わず、


ここでこうしてこうやって浸っているだけのわたしって。


流れもしないお湯の中で足を折り曲げ背をちぢめ、


まるでこれは、そう、


地中に埋もれている幼虫のようなもの。


ずうっとこうしていればいるだけわたしの中から出てゆくものは、


増えていって手の届かないところへ飛んでいく。


わたしは背中を滑らせて、


頭の先までお湯に埋まった。


上から誰かが押さえつけている気がしたきっとそうだったのだろう。


浴槽に溜められたお湯の中から見る景色は、


ああ、海に泳ぐ魚たちはこんな風景を見ているのだろうと、


彼らにとってみれば水の中こそが世界。


わたしにとって空気は水なのだしここから出れば空気がなくなるのだ。


そう思えばこそだからこそ、


ここに居ることも浴槽で溺れることもわたしを押さえつける手も、


何も気になることなんて、無い、苦しいことなんて、無い、何も無い。


やがて。

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