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いまは緑色の芝生  作者: 三号


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落し物

 ちょうど野球で使うボールのような大きさだった。色は乳白色のやや黄色がかった色。


 私は道の端にその奇妙な物体を見つけると、ほかの人が見ていないか、周囲を見てから手にとってみた。これは私が見つけたのだから、私のモノ。

 手にとった瞬間、奇妙な感覚に襲われた。全身を下から持ち上げられるような、ううん、すくい取られるといったほうが近いかな。私は気持ちが良かったのでしばらく目を閉じる事にした。

 私は運がいいのかもしれない。

 こんな気持ちの良いものを拾うなんて。


 しばらくして目を開けると、私の下には地面が無かった。さっきまで歩いていた道や町並みは、小さくなって私の下にある。なんだ、ほんとに空に浮いていたんだね、私。

 ふわふわした感じは続いているから、まだまだ浮いていられるに違いない。この小さな落し物のおかげだ。

 ありがとうね、と、私はさっきから握り続けていた落し物を、もっと力いっぱい握り締めてあげた。

 もう、右へ言ったり左へ行ったり、ちょっと上がったり下がったり最高なんだよね。

 きっとどこまでもいけるようになったんだね、私。


 ちょっと落し物をつかんでいる右手が疲れてきたので、左手に持ち替えようと思ったんだけど、そうしたら、ゆっくりゆっくり落ちてしまった。地面につく頃には速度がほとんどないくらい。

 残念だよね、きっと右手で持っていないと落ちてしまうんだ。どこかに書いておいてくれれば良かったのにな。落し物をした人も気が利かない人だ。


 さっき拾った落し物は、私がさっきマデ浮かんでいた空に、まだ、ぽんぽんと浮いていた。落し物は一緒に落ちてこないんだ。知らなかった。


 困ったな、もうひとつ新しいのを探さなくちゃ、落し物を拾いにいけないじゃない。

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