クリティドと二人で視察 ⑨
「無茶をしないでくれ」
クリティドは、少し怪我をしただけでも私に対してとても過保護だ。私が……大変な状況につい最近まであって、今は魔法も使えないから余計に私を守るべきものと思ってくれているのかもしれない。
「やっぱり慣れていない行動をすると、こういうことも起きますね」
私はそう言って、こんな怪我ぐらい問題ないといったアピールをする。だけれどもクリティドはやっぱり心配ばかりしている。
私がこれ以上怪我をしないように、傷つかないように……私の傍にべったりだ。
私のことを大切にしてくださっているのは分かる。その心遣いが私は嬉しくて、クリティドのことが愛おしいとそんな気持ちでいっぱいになった。
だけれどもこの位の怪我で、私に過保護すぎるのは困るわ。
「クリティド、心配してくれるのは嬉しいけれど私は子供ではないわ。あなたが心配するから今日は作業に参加するのはやめるけれど、また私はやりますからね?」
嬉しいからといって、何でもやってもらおうとは思っていない。クリティドが私のことを支えてくれようとしていることはとても嬉しい。まるで大切な宝物のように扱ってくれていることも――。
それでも支えられてばかりは嫌なのだ。そもそも私だって、クリティドのことを支えられるようになりたい。
「ああ」
「もう、本当に分かってますか? 私はクリティドに全てやってもらおうとは思ってません。私はクリティドを助けられる私でありたい。公爵夫人としてはまだまだ足りないのは十分に分かってます。それに魔法だって、昔のように使えなくて心もとないのは承知の上です。それでももっと私のことを信頼してもらえると嬉しいです」
私はクリティドにそう言った。
私はクーリヴェン公爵夫人として、頑張ると決めたのだから。私が少し上手く出来なくても、クリティドも、クリヒムとティアヒムも私のことを受け入れてくれるとは思う。それでもいいよと、甘やかしてくれるだろう。
それは嫌だと、私はそう思っているからクリティドに言葉をかける。
「ああ。……信頼はしている。ただ心配はしてしまうんだ」
「気持ちは十分に分かりますわ! だから、クリティドに心配され過ぎないように、一生懸命頑張ろうと思うの。もちろん、無茶はする気はないです。何かする時は相談します! 今回は、クリティドが一緒ですけれど一人で行動することもこれから当然あると思うから、少しずつ色んなことを経験させてくださいね?」
流石に何度も無茶をして、危険な目にばかりあっていたら問題だわ。そんなことになったら、クリティドが私に対して過保護になるのは仕方がないことな気がする。
ただ今はまだ、そうではない。だから、少しずつ一人でも公爵夫人としてやっていけるように頑張りたい。
「ああ。もちろんだ。ただもし一人で行動をする際は、きちんと護衛をつける」
「ええ。それはそうしてくださいませ。私の立場が狙われてしまうことは十分に分かっておりますもの」
私は公爵夫人なのだ。
私にとってはクリティドは大切な人で、彼を狙う人が信じられない。それでも……バルダーシ公爵家のような者は当然居る。味方も多いけれど、そう言う人が当然居るというのを私は身をもってしっている。
今はバルダーシ公爵家の脅威はないけれども、だからといって狙われないかと言えば分からないというのが正しい。もちろん、狙われてばかりではないだろうけれども、そういう危険性ってなくはない。
だからちゃんと私自身も危険な場所には飛び込まないように気を付けるつもり。ただどうしようもない状況だったら仕方がないかもしれないけれど。
私の言葉にクリティドは頷いてくれる。
クリティドは……やっぱり優しい。私のことをちゃんと考えてくれていて、私の意思を尊重してくれている。
だから、余計に大好きだなとそんな気持ちでいっぱいになる。
「クリティドも、何かあった時はちゃんと私に相談してください。何も知らないままは嫌ですし、私は出来る限りのことをしますから。クリティドが強いことは知っていますけれど、何か問題と向き合う時は二人で一緒ですよ?」
クリティドの魔法の腕は知っている。私が魔法を見ることが好きだから、よく見せてもらっているから余計に知っている。
どれだけ美しく、強力な魔法を使うのか。
私が魔法をまた使えるようになったら、一緒に魔法を使いたい。ただがっかりさせてしまうかもしれないけれど。
ただその時はクリヒムやティアヒムと一緒に練習をしたいな。きっとそうしたら楽しいだろうなと未来のことを考えると。
それだけ強いクリティドでも、もっと強い魔法使いにあったらどうなるか分からない。それに不意打ちされる可能性もあるかもしれない。自分から誰かを害しようとはクリティドはしないだろうけれどもそれでも狙われた時にはどうにか出来るようにしておきたい。
私だって、クリティドの奥さんだからその時は、一緒に戦いたい。
そう思うのは当然のことだ。
クリティドは私の言葉に笑って、嬉しそうに口づけを落としてくれた。




