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パーティーと、親戚筋の女性④

「ウェリタ、大丈夫か? 何か言われていただろう」



 クリティドはそういって、私のことを心配そうに見ている。本当にいつだってクリティドは過保護だわ。

 バルダーシ公爵家の一件があるからこそ、余計に私の身に何かあったら……と思っているのかもしれない。



「大丈夫よ。私がクリティドに相応しくないということは言われたけれど……って、そんな怖い顔なさらないで」




 私はクリティドに偽りを告げるつもりもない。だからこうしてはっきりと言われたことを口にする。

 こういうことは隠していて後から関係性が擦れたりしてしまうというのも、前世で読んだことある物語で見かけたことがあるわ。言わない方がいいことを言わないのは人それぞれだとは思うけれど、私はあったことは告げた方がいいかなと思っているから。





「私がまだ周りに認められるだけのことを成し遂げられていないからだわ。私がもっと頑張ったら……きっと問題なくなるはずよ。それに彼女は私に意見を言っただけだもの。それを咎める理由はないわ」




 なんというか、バルダーシ公爵家からの密命を受け、それを乗り越えた今だからこそ意見を言われただけなら特に気にならない。

 自分の意見を言うことさえも出来なかった。それに比べると問題はないもの。

 それに初対面の印象だと……何が何でも私のことを認めてくれないように勝手に思えてしまう。

 けれども二回目会うことがあればまた印象も変わってしまうかもしれない。

 だからいきなりあの女性のことを悪くクリティドに伝えようとは思わない。あくまで私が言うのは事実だけだ。






「やっぱり君は優しいな」



 クリティドは小さく笑って、そんなことを告げる。




 自分が優しい……とは思ってはないけれど、そんな風に言われるのは嫌ではない。




「クリティド、彼女に何かをするとかは考えなくていいですからね? 私の手に負えなくなったら助けを求めてしまうかもしれないけれど……それまでは見守っていて欲しいですわ」





 クリティドなら、公爵家当主としてあの女性を私に近づけないようにすることだって出来る。

 だけれども私はそんな風に、嫌なものをただ近づけないようにされることを望んではない。私はクリティドのことを支えられる方がずっと嬉しいから。





「分かった。……それにしてもこのようなパーティーの場でウェリタにそんなことを言うなんて」




 頷きながらもクリティドは眉をひそめている。そんな表情もかっこいいわ。

 ティアヒムとクリヒムも話を聞いていたから、少し不満そうな顔だ。




「母上にそんなことを言うなんて……」

「父上が母上のことを好きだから、一緒にいるのに!」




 そんなことを言って少し怒ってくれている子供達が可愛い。流石に人目があるところで頭を撫でまわしたら恥ずかしがるかもしれないので、この場では一旦我慢する。

 本当は頭を撫でたい気持ちでいっぱいだけれども!




 それにしてもああいう相手にどんな風な対応をするのが一番良いのかしら。なるべく不快にさせないように気をつけていきたいと思ってはいるのよね。





 あとは魔法に関することも言われてしまったわ。

 ……魔力回路が、傷ついたままの状態なのはどうにかした方がいいかもしれない。

 ようやく色々と片付いて、魔力回路を治すための行動は起こす方がいいんだろうなって思った。

 私自身も魔法を使うことが好きだから、回復出来るのならばしたいとそう思うから。






「ねぇ、クリティド。私が今、魔法を使えないことも公爵夫人としてはどうかと思うと言ったことも言われたの」

「それはバルダーシ公爵家のせいだろう。君のせいではないことを口にするなんて」

「だからね、クリティド。もっと魔力回路を回復させるための行動を起こしたいと思うわ。もしかしたらお金がとても掛かってしまうかもしれないけれど……」





 魔力に関する治療などは、とてもお金がかかるのだ。





 例えば体内の魔力が暴走してしまう病気だと、凄まじい値段の薬を飲まなければいけなかったりもする。

 それと同じように、バルダーシ公爵家の行ったことによりボロボロの私の身体にはそう言った高価な薬などが必要になるだろう。

 そもそもこんな状況に陥る人というのは中々事例がないだろう。

 だからこそ回復するための手立てというのが、何があるのかもわからない。



 私は魔法を使うことが好きで、その使い方とか、どんな魔法があるかなどについては嫁ぐ前から学んできたけれども傷ついた身体を治す方法とかは知らないわ。




「もちろんだ。君の身体が治るように全力を尽くそう。幾らでもお金はかけていい。私も……ウェリタの魔法を見てみたい」



 そんな風に言われて、私は大きく頷いた。




「私も母上の魔法を見たいです」

「僕も!」




 子供達もそう言ってくれたので、私はパーティーが終わったら早速色々調べてみようとそう思った。


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― 新着の感想 ―
アンソロから来たけどこれ1作品で本で読みたいな
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