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レベルを上げよう

ウサギの巣穴と言う家を手に入れた私は、次の目標を立てた。

それがレベルアップ。

この手のステータスだと、モンスターは進化するのが定番。

レベルが10になれば進化するんだろうけど…それをするには戦わないといけない。

3匹の子うさぎに囲まれ、体をスリスリされたり羽を噛まれて引っ張られたりと好き放題されながら、私はこれからどうやってレベルを上げるか考える。

私には成長補正と言うスキルがある。

名前の通り成長速度を上げるスキルで、経験値取得が増えるってやつだ。

だから、通常よりもレベルが上がりやすいんだけど…野生動物を数匹倒したくらいじゃレベルは上がらないらしい。

狙うならやっぱりモンスター。

だけど、今のところ私が勝てそうなモンスターを見たことがないんだよね。

ブラックウルフもたとえ一匹だってステータス的に勝てるとは思えないし、昨日見たレッドムーンベアなんか論外。

そうなると異世界定番の雑魚モンスターを狩るしかない。

…でも、私はそれを見たことがないんだよね。

転生して今日で二日目ってのもあるけど…活動範囲が狭いからって事にしたい。

私を取り囲む7匹の子ウサギを振り払うと、空を見上げて太陽の位置を見る。

そしておおよその方角を把握すると、おそらく南であろう方向に走り出した。

ココが地球と同じか知らないけど北半球なら太陽は東から南を通って西へ動く。

だから大体南の方角は分かる。

太陽を目印にひたすら走っていると、なにやら生き物の影が見えた。

警戒しながら影の方へ近づくと…そこに居たのは私がまさに求めていたモンスター、スライムが居た。


名前 なし

種族 フォレストスライム

レベル 8/10


HP 105/105

MP 80/80

筋力 87

防御 35

精神 2

防魔 10

素早さ 15


スキル 『酸生成Lv2』『毒生成Lv1』『射出Lv1』 『毒耐性Lv3』

スキルポイント18


…あれ?意外と強いぞこのスライム。

ヘイ!転生の恩恵!このスライムの情報を頂戴!


◆加護 『転生の恩恵・モンスター図鑑』発動

『フォレストスライム

 低難度モンスターの一種。スライムが森の環境に適応する形で進化した姿。主に草や木の葉を食べて生活し、毒性の強い植物を食べるフォレストスライムは体内で毒素を生成する。主食が植物なので襲ってくることは滅多にない』


なるほどね~。

やけに強いと思ったらこいつ進化してたのか。

…でも、スライムが進化ってなに?

どうやってモンスター倒してきたわけ?

まあ何はともかく倒しちゃいましょう。

総合的なステータスでは負けてるけど、速度は勝ってるから捕まらないようにすれば大丈夫なはず。

フォレストスライムの前に立ち、そのドロドロのボディを見てどう攻撃するか考える。

考えた末、モンスター図鑑の説明を思い出して噛みつくのは危険と判断して、引っ掻いて倒すことに決めた。

警戒されないよう、そーっと近づいて前脚を振り上げる。

そして全力でフォレストスライムの体に振り下ろした。

プニプニのゼリー状の体を爪で引き裂くのは容易く、スライムの体を模っていた膜が破れる。

それと同時にパシュッ!という音がなり、勢いよく液体がこちらに飛んできた。

やばいと思ったのも束の間。


「キャオオオン!?」


その液体が私の顔にかかり、まるで火傷を負ったような痛みが走る。

反射的に飛び退いて距離を取り、改めてこれが何かを考察する。

いや、考察するまでもないね。

酸だ。酸生成と射出とか言うスキルがあったからね。

でも…これくっそ痛い!

酸をぶっ掛けられた痛みってこんなにやばいのか…

しかもなんか…酸っぱい臭いだけじゃない?

青臭いと言うか…なんだろう?ちょっと苦い臭いがする。

…まさか混合液?

確か毒生成のスキルもあったし…このフォレストスライムの強さの秘訣は酸と毒の混合液によるものか!

だとしたら相当不味い。

毒耐性がない私が毒を食らえばどうなるか…と言うかこの世界の毒ってどんな状態異常の扱いなの?

場合によっては効果が永続するとんでもポイズンな可能性がある。

こちとらスキルが鑑定と成長補正しか無いクソ雑魚だぜ?

ちょ〜っと世間が厳しすぎるんじゃないの?


…ウジウジ言ってても仕方ない。

もしあの酸毒攻撃が外部からの攻撃にカウンターを掛ける方式なら…攻撃の仕方を考えなきゃいけない。

あと、大切なのはアイツがどうなってるかだ。

とにかくどのくらいダメージを受けてるか見る。鑑定!


◆名前 なし

種族 フォレストスライム

レベル 8/10


HP 63/105

MP 70/80

筋力 87

防御 35

精神 2

防魔 10

素早さ 15


スキル 『酸生成Lv2』『毒生成Lv1』『射出Lv1』 『毒耐性Lv3』

スキルポイント18


あれ?思ったよりダメージを受けてる?

元が105で今が63だから…42ダメージか。

これならあと2回同じ攻撃をすれば勝てる。

ただ問題は攻撃したら酸を喰らうってこと。

酸はそこまで怖くないけど、怖いのは毒なんだよね〜。

酸は今もそうだけど、とにかくめっちゃ痛くてのたうち回りそうなだけ。

正直ダメージとしてはそんなに…いや、一応自分のHPも確認しておくか。


名前 無し

種族 キマイラベビー

レベル 1/10


HP 21/55

MP 10/10

筋力 30

防御 30

精神 15

防魔 30

素早さ 30


スキル 『鑑定』『成長補正』

加護 『癒しの加護』『転生の恩恵』

スキルポイント1


あ、あれ?

お、思ったよりもダメージが…これ次攻撃したら死ぬのは私じゃない?

こうやって多くのモンスターを葬ってきたのか…恐ろしい。

こんなのを見せられたんじゃ、とても攻撃なんて出来やしない。

となると酸を喰らわないように攻撃したいところだけど…果たしてそんな攻撃出来るのか。

私が人間なら石でも投げて攻撃するところだけど…残念ながら、キマイラの手はそこまで器用じゃない。

投石攻撃…いわゆる遠距離攻撃ってやつしか許されない敵。

アレだね、実質棘とかがついてるタイプのモンスターだ。

近距離攻撃しちゃダメなタイプのモンスターだから…そうだ!投石がダメなら落石を使えば良い。

使えそうな石、石…あった!

私が持てそうなくらいの石を探すと、それを咥えて走る。

そして、フォレストスライムが居る上。

ちょうど真上に当たる木に登って枝の上から狙いを定める。

このくらい…かな?

木の上から石を落とす。

石は見事にスライムの頭に直撃し、スライムの弾力に優れた体の上を跳ねる。


…でも、酸液が噴射されることはなく、スライムも衝撃でプルプル震えるだけで動きに変化が見られない。

これは…効いてないのでは?

ステータスを確認してみるも、HPに変化は見られない。

…まあ、スライムって打撃とかに強いイメージあるし、まあ納得と言えば納得。

でもそうなると、どうしようもなくない?

次攻撃したら、私は高確率で死ぬんだ。

せっかく転生したのにこんなにすぐに死んじゃうのは困る。

…まあ、死んだという自覚もなければ思い当たる節もないから、転生かどうかも分かんないけどさ?

けどHPがゼロになって生きている保証はない。

なら…まだ死にたくないかな。

あの量の酸でこのダメージなら、避けるのは難し―――ん?

いざもう一度自分のHPを確認してみると、なんと数字が少し増えていた。

HPって自動回復するのか…でも、そんなスキル無かった……いや、待てよ?鑑定。


◆加護『癒しの加護』

『HPを自動回復する加護。回復速度は総HP割合で常に一定である』


なるほどなるほど〜?

コイツがHPを回復させてたのか。

にしても、総HP割合って事は…何割なのか何パーセントなのか知らないけど、多いほうがその恩恵を強く受けられるね。

今はそんなに恩恵は無いけど…それでも無いと逃げるしかなかったかも知れないし…このままコイツを追跡しながらもHPが回復するのを待とう。

フォレストスライムを攻撃しないように追いかけつつ、HPが回復するのを待つ。

しばらくしてHPが全快したので、フォレストスライムに近付き…今度は両前脚で全体重を掛けて一気に潰した。

フォレストスライムの体は水風船のようにパンッ!と弾け、ドロドロした体液が飛び散る。

…どうやら一撃で倒せたみたい。

一撃で倒したからか、スキルが発動せず酸の攻撃を受けてないね。

ちなみに可食部だけど…当たり前にないね。

と言うか、そもそもコイツ体内に毒素を生成するから食べたら毒を受けて死ぬかも。


《レベルが上がりました》


おっ!?レベルアップにはアナウンスがついてるのか!

これぞ異世界って感じ〜!

突然頭の中に声が響き、レベルアップの通知がきた。

声は…女性っぽい?

ただ感情を感じない、機械音声のような冷たい声なのがちょっと気になる。

声は良い感じなんだけどなぁ…

まあ、何はともかくレッツ鑑定!

さて、どこまで強くなったんだ〜い?


◆名前 無し

種族 キマイラベビー

レベル 3/10


HP 68/68

MP 15/15

筋力 41

防御 38

精神 17

防魔 38

素早さ 39


スキル 『鑑定』『成長補正』

加護 『癒しの加護』『転生の恩恵』

スキルポイント3


おおっ!?一気に2も上がってるじゃん!?

やっぱり格上を倒したらレベルが上がりやすい?

…スライムが格上ってなんか嫌だけどさ。

ステータスも若干上がってるし…強くなったなぁ…いや、全然だわ。

ブラックウルフにすら勝てねぇ…

と、とりあえずもう一匹スライムを探しに行こうか。

とにかく今はレベルをあげたいからね。


余韻に浸るのも早々に切り上げ、次の獲物を探して狩りを再開する。

…自分が狩られないことを祈りながらね?

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