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急襲

……っ!?

何か来る!!


本能というかなんというか…第六感的何かで、ここに危険が迫っている事を察知した私は、早朝の日が昇り始める僅かに前に跳び起きた。

私の中の何かが『急いで逃げろ』と騒ぎ立て、警告の鐘の音が耳が割れるほど鳴り続ける。

とにかくヤバイ。ヤバイ何かが迫っている。

それが何なのかは分からないけれど、周囲を警戒していると…ソレは空から現れた。


「グルルァァァァァァアアアアアア!!!」


おぞましい咆哮を上げるソレ。

私はソレがナニかを知っている。

フィクションでしか見たことも聞いたこともないその生き物。

その名も……『ドラゴン』


名前 無し

種族 ドラゴン

レベル 49/150


HP 129400/129400

MP 9600/9600

筋力 116745

防御 134460

精神 98710

防魔 129611

素早さ 122473


スキル 『竜牙Lv4』『竜爪Lv5』『竜鱗Lv5』『火炎魔法Lv3』『咆哮Lv9』『炎の息吹Lv4』『飛翔』『気配探知Lv6』『隠密Lv1』『筋力大強化Lv7』『防御大強化Lv7』『精神大強化Lv6』『防魔大強化Lv7』『素早さ大強化Lv7』『物理攻撃耐性Lv4』『火炎無効』『雷撃耐性Lv4』『状態異常耐性Lv6』

スキルポイント230


◆加護『転生の恩恵・モンスター図鑑』発動

『ドラゴン

 超高難度中位竜種。成体の竜であり、竜としては中位に分類される若い個体。中小国であれば1体で滅ぼす程の力を持ち、仮に倒すことができれば英雄として国の歴史に名を残す事ができる。基本的にこちらから害を与えなければ温厚であり、間違っても縄張りには足を踏み入れず、仮に知らずに立ち入れば見逃されている間に直ちに逃げ出すべきである』


ば、化け物が…

ゴブリンキング…?こいつの前ではカス同然。

おそらく…私が生まれた森の頂点に君臨する存在だろう。

ステータスを見ていると泡を吹いて倒れそうになるけれど…情報を見るに温和な性格らしい。

すぐに逃げるべきだ。


急いでウサギ達を起こすと、有無を言わせずとにかく走り出す。

ドラゴンは私達の上を旋回しながら飛び、悠々とこちらを見下ろしている。

まるで、さっさと出ていけと言っているかのように。

しかし、朝起きたばかりでろくにご飯も食べていない子ウサギには酷な話。

一羽が動けなくなり、立ち止まってしまった。

このままではいけないと思い、子ウサギも母ウサギもみんな背に乗せると、翼で落ちないように守りながら全力で走る。

しかしドラゴンは尚も付いてきて、私から注意を逸らす気配がない。

完全にロックオンされている。

いきなり襲われないか…それだけが気掛かりであり、私の心臓が今まで無いほど激しく動いているのが分かる。

いつか心臓が張り裂けるんじゃないか?

そんな恐怖に怯えながら走り続けていると、私の中の警告の鐘の音の音がさらに強くなった。


「キュ…キュン……」


子ウサギの悲痛な声が聞こえる。

…ああ、もう見なくたってわかるよ。

別に夕方でもなんでもないのに夕焼け色に染まる森。

その光を放つのは太陽ではなく…ドラゴンだ。

ドラゴンが炎のブレスを放とうとしている。

アレに当たったら即死。

考えるまでもない。

私は死にたくなくて、さらに足が速くなる。

死を前にした生き物というのは、こんなにも速く走れるものなのかと驚くほど速い。

それでも…あのドラゴンからは逃げられない。


私の視界が真っ白に染まり―――そして闇に堕ちた。





◆加護『転生の恩恵』発動

『転生初期死亡の確定を検知しました。特別救済措置《運命修正》を開始します』






…あれからどれだけ時間が経ったのだろう。

何故か奇跡的に生き延びた私は、まるでクレーターのような破壊の跡の真ん中で1人佇んでいた。

ウサギ達の姿は何処にもない。

あの愛らしい生き物達は…ドラゴンのブレスによって毛の一本残さずに消し飛ばされてしまった。

私は何故か…殆ど外傷がない状態で生き残り、その傷ももう癒えて元通り。

けれど、ウサギ達は何処にも見当たらない。


弱肉強食。

その言葉は理解していたつもりだった。

これまで理不尽に屠り、食してきたモンスターの事を考えながら。

けど違った。

私は知らなかった。

圧倒的な強者の理不尽を前に、あっという間に消え去ってしまう儚い弱者の命について。

私は強者じゃない。

草食の第一消費者を捕食し、何とか生き延びる第二消費者。

例を挙げるなら、私は小鳥だ。

草を食べる虫を食べる小鳥。

そんな私を捕食する、イタチ、ネコ。

そんなイタチやネコすら捕食する、クマ、オオカミ、タカ。

私が遭遇したドラゴンはまさにそれ。

…いや、それどころかそんな生き物たちよりも遥か上に君臨する、いわゆる頂点捕食者。

私のような下級の捕食者なんて、あっという間に奪われる命にしか見えいない化け物。

私はまたあのドラゴンが現れる前に、その場を去る事にした。




◆『中位竜 竜種の位を表す言葉。下から3番目に相当する』


ほえ〜?

あのドラゴンって、アレで下からなのか…

だとしたらドラゴンって化け物すぎない?

他の位って調べられたりするかな?


◆『竜種の位 下から順に「幼竜」「下位竜」「中位竜」「上位竜」「古竜」「竜王」「竜帝」「神竜(龍)」があり、神竜はその名の通り神の領域に立つ竜種である。なお、現在この世界に「神竜」及び「竜帝」に属する竜種は存在しない』


へぇ〜?

ドラゴンの世界にも色々あるんだねぇ〜。

にしても、「竜帝」と「神竜」は存在しない…しかも記述の仕方がまるで別の世界には居るような言い方。

これは、ここのほかにも異世界があることを裏付けているという意味で良いかな?


場所を変え、洞穴に身を隠しながら鑑定を使って少しでも竜に関する情報を集める。

いつまでも怯えているわけには、ウサギ達を失った悲しみに暮れているわけにはいかない。

だから、私は前に進むんだ。

…とは言ってもあのドラゴンがヤバくて怖いのは確か。

だから今度は仮にアイツが来てもすぐに隠れられる場所に住むことにした。

正直、気配探知のスキルを持っている時点で隠れた所で無駄なのは確定してるけど…巣穴に閉じ籠もって怯えている下級な存在にいきなりブレスを撃つほど野蛮じゃないっしょ?

それに、もしブレスを撃つならこの地面の下に居るであろうモグラやネズミなんかも殺されてなきゃおかしいし、何だったらこの森が更地になっていても変じゃない。

だから私はこの洞穴を拠点とし、仮にドラゴンと出会ったとして、勝つとは言わないけど逃げられるくらいの実力は身につけられるように、レベリングを頑張ることにした。

ごめんねウサギ。

守ってあげられなくて。

でも私が死んだお前たちの分まで生きて、きっとあのドラゴンを倒してやるからな!!


…まあ、それがいつになるかは言ってない。

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