表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

04


 母の、兄嫁の、艶々になっていく肌や髪に、彼女らのご実家のお姉さま方までパトロンになってくださり。


 そしてローゼン家はいつしか美容部門も始まり。

 花だけではなく、マリアが製作してきたクリーム類や化粧水、入浴剤や石鹸などのあれこれなども販売されるようになった。


 何より。

 アロマオイルマッサージ。

 エステティックサロンも王都に。


 《ローゼン》の開業である。


 エステティシャンはマリアの手技を自ら受けた母と兄嫁が、まず弟子になった。

 彼女らはそれはもう熱心にマリアに学び、互いに施術し合い。どの世界、どの女性も、美しくなることに興味がないわけがなく。

 やがて兄嫁の従姉妹さんたちも加わり。

 家業の方からもエステ部門に従業員を募集、変更などもあり。


 そうして《ローゼン》は身内経営ながら、順調に王都で名を売り始めた。


 生前学んだ外科的な処置は今の道具類では無理だが、いずれ成長したらとも、マリアはそれも考えて。いずれハーブだけでなく、生薬やそこから様々な薬も作れないだろうか、など。


 そんな日々。

 少しずつ、貴族の――高位貴族の顧客も増えてきて。


 そんなある日に。


 めちゃくちゃ立派な馬車が《ローゼン》に停まった。


 確かにローゼン家は王城に花を飾る役目があったから――伝手がないわけではないが。

 そちらからでもなく――。


 女王陛下より召喚状が届いたのだった。


 ……ちなみに馬車は立派過ぎて通行の邪魔になってしまっていた。


 マリアは恐れおののく母と兄嫁が驚くほど堂々と。

 それもまた生前の経験。

 ハリウッドスターも施術したことあれば、顧客に招待されたのが、実は海外の王族だったこともあったりして。


 ご覧あれ、これぞ日本人のおもてなし――礼儀と真心。


 マリアのまだ小さな手は女王陛下の御顔に触れる栄誉を賜り、御顔だけでなく御身まで。

 女王陛下の日々の政務でお疲れの御身を解し解し――解しまくるだけじゃたりなくて、座り仕事と無理なコルセットで歪んだ御身を整えた。

 あまりの歪みっぷりに――ごきっとぱきっと鳴る度に、近衛騎士がハラハラと剣の柄に手をかけたり放したり。


 施術後、血流も良くなり、慢性的な腰痛や頭痛も無くなったことも、女王はたいそうお喜びになり。


 コルセットを使わない下着の開発も始まった。ブラジャーから始まり腹巻きまで。腹巻き大事。お腹温かい大事。

 女王陛下が絹を融通してくださったのが大きく。はい、もちろん献上します。真っ先に。

 コルセットなんて、あんなの身体に悪いわい。

 健康、それもまた、美には大事であると――マリアの中の薔子は腕を組んで仁王立ちで頷いた。


 そしてその後。

 国家間会議のたびに、この国の女王の変わらぬ若さよ――寧ろ若返ってない?――と美貌は話題になり。

 そう、その美しさもまた、やがて女王陛下の武器のひとつとなり。



「如何です? 関税を下げてくださるなら、その価値を確認していただくために我が国にご招待いたしますわ。その際、御身を癒やされることは……ええ、関税次第ですとも。ええ」



 《ローゼン》は、いつの間にか王都の一等地と、王族縁の保養地にも支店が作られて。小さいが温泉もある保養地の方には時折、他国の要人が招待されるとか。

 温泉水はありがたく、マリアが新たな化粧品開発にも使わせていただいた。


 しかしながら、女王陛下はちゃっかりと。出張施術をした日から。

 マリアは自分専属、いや優先として。

 陛下により直々に、毎週末の《ローゼン》のマリアの予約を。マリアもちゃっかり専属契約料も出張費もたんまり。

 王宮に女王陛下専門のエステルームが作られて。たまにフェリシア王女にも。




 そうして。

 それはまだマリアが学園に入学する前から始まっており――それが、ハロルド王子が勘違いすることにもなったのだった。

 ある種の女の秘密の花園ゆえに。

 彼が知らなかったことは――。

 

 いや、女の花園を知る――秘密を盗み見ることは。いつの時代でも無粋である。




整体受けたいなぁ…。

あんまり鳴っちゃいけないらしいんですけれど;;


ひっそりと、今作は身内の通院の付き添い時にスマホで書いてみよう…という試みです。

1話ごとが文字数少ないですし、誤字脱字がいつもより多かろう、読み辛かろうですけれども、どうぞご容赦を。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ