訃報
バンバン、バンバン
「おいっ!!?ぺータ、起きてるか?」
私は、玄関の扉のノックの音によって、叩き起こされた。
隣では、うすかげ くら君がすやすやと眠っていた。
私は、人差し指でほっぺたを むにっと つついた。
「ふむふむ、可愛いっ!!」
この紫色の髪の毛、そして、寝ている時の純真無垢な表情。
髪の毛の色は違うけど、弟を思い出す。
「今どこにいるの?・・・・アレン」
ドンドン、ドンドン
「ぺータ、いないのか!!モブ男だ!!」
弟の事を考えており、忘れていた
(しまった・・・・!!?)
私は慌てて玄関の扉を開けると冒険者ギルドのモブ男がそこにいた。
「モブ男、こんな遅くにどうしたの?」
「大変なんだよ、ぺータ、紅蓮さんたちが」
モブ男が言葉を発するが人混みの声でかき消されて聞こえなかった。
「ごめん、よく聞こえないんだけど」
「だから、紅蓮さんたちが失敗したんだ」
私はその言葉が信じられなかった。
Sランクパーティーの紅蓮たちが負けるとは。
だが、衝撃を受けたのはモブ男のそのあとの言葉だった。
「今から、緊急クエストを発令しないと、紅蓮たちが、カレンがっ」
私が慌てて飛び出すのをモブ男に止められた。
「何するのよ」
私はモブ男を睨みつける。
私の目頭が熱い、一刻も早く、友達を助けないと。
「あと・・・もう一つ悪い知らせがある」
「・・・・・・なに?」
その時にはなぜか私は不思議と落ち着いていた
「落ち着いて聞いてくれ、君の弟アレン君だが、随分前から、紅蓮たちとクエストに同伴していた」
「黙っていて、すまない、ぺータ」モブ男は私に対して頭を下げて、謝ってきた。
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、怒りが抑えられない。
「なんでよ?どうして、私達、冒険者ギルドの仲間でしょ?」
感情は怒っていた・・・・だが、頭はひどく冷静だった。
「アレン君からのお願いだったんだ、すまない」
あぁ、そうか、私・・・・
「モブ男、私、知ってたよ、弟が黙って冒険者になったことも、今日、念願のSランクになったことも、全部知ってた。」
モブ男は黙って聞いていた。
「でもね、弟・・・いや、アレンがね、小さい頃にね、良く言ってたんだ。
『僕ね、この世界大好きだよ、だって、パパとママとぺータと出会えたんだもん。だからね、パパとママみたいに強くなってみんなを守る冒険者になるんだ、それが僕の夢なんだ、どう?』って」
気づいたら、私は泣いていた。
あの時はなんて答えたんだっけ?
もう、思い出せないや。
だけど、今できることはある。
「お願いします!!弟をっ!!、紅蓮をっ!!カレンをっ!!助けてください」
私の大事な家族をどうか助けてください!!
私は精一杯、モブ男に頭を下げた。
「ぺータ、顔を上げてください」
「貴方の家族は、私の家族も同然だ。助けるのは、当たり前ですよ」
「有難うモブ男」
「では早速、冒険者ギルドに行きましょうか」
私は、うすかげ くら君を起こしに行こうとすると、呼び止められた。
「ちょっと、まてや、姉ちゃん」ガラの悪い私服の巨漢が。
「おい、めがね、今の話、本当か?」すこし、リーゼントの野球少年が。
「なるほど、アレンさんが」すこし、妖美な雰囲気の女性が。
「「「「紅蓮さんたちが危ないっ!!?」」」」
そして、私服の男女が叫んでいた。
そう、私が勤めている、冒険者ギルドの皆さんだった。
「お願いします。助けてください」
私は冒険者ギルドの皆さんに頭を下げた。
「顔を上げな、ぺータ」
「助けるのは当たり前、冒険者ギルド、家族だろ」
「おっしゃー、みんな、俺たちの家族取り返しに行くぞ」
「あのね・・・・私達、紅蓮さんたちにね、助けてもらってばかりなのよ。恩返しないと」
「行くぞ、野郎ども!!」
あぁ、なんて、頼もしい背中なんだろ、受付で見ているいつもの日常とは違う彼らの一面を見れて心が大きく揺れた。




