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児童剣士の混沌士(カオティッカー)  作者: 黒沢 竜
第十一章~髑髏の徘徊者~
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第百九十五話  残された疑問


 電気の鳥を受けたスカルドラゴンは頭部を電気で青白く光らせながら鳴き声を上げ、ユーキは技の直撃を受けたスカルドラゴンを見上げながら目を見開く。ウェンフが強力な技を使うことは分かっていたが、予想以上の迫力に驚いていた。

 しばらくすると電気が消え、雷光も治まってスカルドラゴンの頭部が見えるようになる。電気に呑まれたスカルドラゴンの頭部は黒焦げの状態であちこちから煙を上げており、誰が見ても大きなダメージを受けているのが分かった。

 スカルドラゴンを見て驚いていたユーキはハッと我に返ると頭部を攻撃するチャンスだと感じ、強化ブーストで脚力と両腕の腕力を強化してスカルドラゴンに近づく。そして、スカルドラゴンの前までやって来ると勢いよくジャンプしてスカルドラゴンの頭部と同じ高さまで跳び上がった。


「ルナパレス新陰流、上弦じょうげん!」


 ユーキは黒焦げのスカルドラゴンの頭部を見ながら月下と月影を強く握り、二本の刀を素早く振ってスカルドラゴンの頭部に峰打ちを連続で打ち込む。

 スカルドラゴンの頭部はユーキの攻撃を受ける度に陶器が壊れるように崩れていく。ウェンフの技で黒焦げになったことで脆くなり、更に強化ブーストで腕力を強化したユーキの攻撃によって頭部は簡単に破壊ことができた。

 月下と月影を連続で八回振ったユーキは攻撃を止める。ユーキの連撃によってスカルドラゴンの頭部の殆どが破壊されており、右の角と頭部の左半分、右の下顎が無くなっていた。

 頭部を破壊されたことで決定的なダメージを受けたスカルドラゴンは動きを止め、光っていた赤い目も消えた。目が消えた直後、スカルドラゴンの体は傾き、倒れそうになるスカルドラゴンを見たウェンフは慌てて距離を取る。

 ウェンフが離れた直後、スカルドラゴンは大きな音を立てながら骨の体を地面に叩きつける。倒れたことでスカルドラゴンを構成していた骨は周囲に散らばった。


「……どうやら、倒せたみたいだな」


 ジャンプしていたユーキは倒れたスカルドラゴンを見下ろしながら呟き、バラバラになった骨の中に着地する。着地した直後、ユーキは念のために周りにある骨を見回してスカルドラゴンが復活しないかどうか確認し、動き出す気配が無いことを知ると強化ブーストを解除した。

 スカルドラゴンを倒したことでユーキは達成感と疲労を同時に感じて深呼吸をする。そこへウェンフが手を振りながら駆け寄ってきた。


「先生ぇ! 大丈夫ですか?」

「ああ、怪我とかも無いよ。そっちはどうだ?」

「平気です。あの後も攻撃を受けませんでしたから」

「そうか……」


 ウェンフを見ながらユーキは小さく笑い、そんなユーキの顔を見たウェンフも微笑みを返す。

 笑い合いながらお互いの顔を見たユーキとウェンフは動かなくなったスカルドラゴンの頭部の方を向き、笑みを消して頭部を見つめる。


「先生、コイツはもう襲ってこないんですよね?」

「ああ、頭を破壊したから大丈夫だと思うよ」


 ユーキからスカルドラゴンを完全に倒したと聞いてウェンフはホッとする。今まで戦ってきたスケルトンとは明らかに強さが違ったスカルドラゴンを見ながらウェンフはもう二度と戦いたくないと思っていた。

 スカルドラゴンの残骸を見た後、ウェンフは隣にいるユーキに視線を向ける。強敵だったスカルドラゴンを倒したユーキの強さに感心し、そんなユーキが師匠であることをウェンフは誇りに思った。


「……ん? どうした、ウェンフ?」


 見られていることに気付いたユーキは不思議そうな顔でウェンフに尋ねる。話しかけられたウェンフは再び微笑みを浮かべて小さく首を横に振った。


「ううん、何でもないです」

「?」


 どこか嬉しそうにするウェンフを見ながらユーキは小首を傾げた。

 ユーキとウェンフが喋っているとグロズリアの村の方からアトニイが走って来る。遠くで雷電サンダーボルトによる青白い光を目にし、ユーキとウェンフがスカルドラゴンを倒したと思ってやって来たのだ。


「ルナパレス先輩! 大丈夫ですか?」


 アトニイが声を掛けるとユーキはアトニイの方を向き、ユーキは笑いながら頷いて大丈夫だと目で伝える。ウェンフもアトニイの方を向いて笑いながら手を振った。

 ユーキとウェンフの前にやって来たアトニイは二人を見て、無事なことを改めて確認してからスカルドラゴンの残骸に目をやる。アトニイは破壊されたスカルドラゴンの頭部を見て「やはり混沌士カオティッカーは凄い」と心の中で感心した。


「中級アンデッドのスカルドラゴンを難なく倒すとは、流石ですね」

「いや、初めて戦う上に禁術で作られた強い奴だったから苦戦したよ。ウェンフがいなかったらどうなってたか分からない」


 苦笑いを浮かべるユーキを見ながらアトニイは意外そうな顔をする。メルディエズ学園で上位の実力を持つユーキが苦戦したと言うとは思わなかったため、アトニイは少し驚いていた。


「もっと力を付けて中級モンスターにも楽に勝てるくらい強くならないとダメだな」


 月下と月影を鞘に納めながらユーキは今以上に力を付けることを決め、アトニイは上を目指すユーキを見ながら小さく笑う。


「……ねぇ、私のことは心配してくれないの?」


 ユーキの隣にいたウェンフがジト目でアトニイを見ながら尋ねる。自分もユーキと共にスカルドラゴンと戦ったのにアトニイがユーキのことばかり褒めたり、気にしたりしているため少し機嫌を悪くしているようだ。

 不機嫌そうな顔をするウェンフを見たアトニイは軽く息を吐きながら呆れたような顔をする。


「……ああ、無事でよかった」

「あっ! なんかメンドくさそう!」


 ユーキと明らかに違う態度にウェンフはムッとし、ウェンフの反応を見たアトニイは溜め息をつく。ユーキはそんな二人を見ながら再び苦笑いを浮かべた。

 ウェンフとアトニイのやり取りを見たユーキは二人がいる方とは逆の方角を向き、遠くで倒れているトウジュンの死体を見つめる。

 途中まで問題無く禁術を使っていたトウジュンが突然魔力と生命力を全て失って息絶えたことを思い出したユーキは真剣な表情を浮かべた。

 不機嫌そうな顔でアトニイを見ていたウェンフはユーキがトウジュンの死体を見ていることに気付き、アトニイもユーキを見た後に遠くで倒れているトウジュンを見つめる。


「あの男、最後には禁術が制御できなくなって生命力を失って絶命したようですが、何が起きたのでしょう?」

「分からない。何度も使ったせいで暴走したのか、それとも最初から完成していなくて、今までは運よく扱うことができたのか……どちらにせよ、アイツは生命力を使って発動するような危険な魔法を使ったことで命を落としちまった。哀れとしか言いようがない」


 ベーゼから人々を護るためとは言え、生命力を使う禁術を開発し、死者を冒涜するような言動を取ったトウジュンを評価できない。そう思うユーキはトウジュンを死体を見つめながら表情を曇らせる。

 アトニイもユーキと同じ気持ちなのか無言でユーキを見つめおり、トウジュンのことを何も知らないウェンフは難しそうな顔をしながらユーキの話を聞いていた。


「そう言えば、私たちが昼間行った墓地に拠点を作ったと言っていました。もしかすると、そこに禁術に関する資料などがあるかもしれません。明日、墓地にスケルトンがいないが確認しに行くついでに探してみたらどうでしょう?」


 アトニイがトウジュンの拠点の探索を提案し、ユーキはチラッとアトニイの方を向く。

 本来、グロズリアの村からスケルトンの討伐を依頼されただけの自分たちがローフェン東国から追放されたトウジュンの拠点を見つけたり、魔法に関することが書かれた書物などを探す必要は無い。

 だがトウジュンが作り出したスケルトンたちと交戦し、トウジュンと接触して一度は帝国軍に引き渡すと決めたため、何もせずに放っておくわけにはいかなかった。

 指名手配されていたトウジュンが死んで身柄を引き渡せなくなった以上、せめてトウジュンが開発した禁術に関する書物を探した方がいいかもしれないとユーキは考える。


「……そうだな。死者をアンデッドに作り変えるなんて魔法は存在しちゃいけない。他の誰かに悪用されないためにも見つけ出した方がいい」


 危険な魔法を放っておくわけにはいかないと考えるユーキを見てアトニイは無言で頷く。

 禁術は死者をアンデッドに変えるだけでなく、使った者の生命力を使うため、下手をすればトウジュンのように命を落としてしまう。生者と死者、双方を護るためにも禁術の情報を見つけ出さなければならなかった。


「明日は墓地へ行ったら残りのスケルトンを倒しながらトウジュンの拠点を探し、禁術の情報を回収する。そして、依頼を終わらせた後に近くの町に寄って情報を警備兵に引き渡す。いいな?」

「ハイ」


 アトニイは頷きながら返事をする。そんな時、黙って会話を聞いていたウェンフがユーキに声を掛けてきた。


「先生、何の話をしてるのか説明してくれませんか?」


 トウジュンや禁術のことを聞かされていないウェンフは複雑そうな顔でユーキを見る。ユーキはウェンフが何も知らないことに気付くとハッと反応した。


「あぁ~ごめんごめん、まだ話してなかったな。詳しいことは村に戻る時に話すよ」


 スカルドラゴンと戦う前に後で説明すると言っていたのにそれを忘れていたユーキを見てウェンフは軽く頬を膨らませる。

 ウェンフの顔を見て少し機嫌を悪くしたことを知ったユーキは苦笑いを浮かべて自分の頬を指で掻く。


「とりあえず、村に戻ろうか? 村長たちも心配してるだろうし、戻ってスケルトンたちを倒したことを報告しよう」

「そうですね、行きましょう」

「ハ~イ」


 返事をしたアトニイとウェンフはグロズリアの村の方へ歩き出す。二人の後ろ姿を見たユーキも村に戻ろうとするが、ふとトウジュンの死体に目をやる。

 死んでしまったとは言え、トウジュンはローフェン東国から指名手配されている存在。トウジュンが死んだことを東国に証明するためにも死体は回収しておいた方がいいと考えたユーキは死体を近づくと慎重に持ち上げてグロズリアの村へ運んだ。

 死体を回収したユーキはウェンフとアトニイに追いつくと死体を持ち帰る理由を話した後、ウェンフにトウジュンや禁術のことを説明し、ウェンフは歩きながらユーキの話を真面目に聞いた。

 ユーキたちがグロズリアの村に戻ると西門前で待機していたオルビィンとグラトンが駆け寄ってきた。

 オルビィンはスカルドラゴンを無事に倒したユーキとウェンフに驚き、どんな戦いをしたのか二人に尋ねた。ウェンフは若干興奮しているオルビィンに説明し、オルビィンも興味津々にウェンフの話に耳を傾ける。

 グラトンも無事に戻ったユーキに近づき、彼の無事を喜ぶかのように鳴き声を上げた。そんなグラトンを見ながらユーキもグラトンが無傷なのを見て心の中でホッとする。

 それからユーキたちはオルビィンにトウジュンや禁術のことを簡単に説明してからグロズリアの村に入り、西門の前で待機していたヘクターたちにスケルトンの討伐が完了したことを伝える。報告を聞いたヘクターたちはスケルトンを全滅したことを知って喜び、ユーキたちに感謝した。

 喜ぶヘクターたちにユーキはスケルトンが大量発生した理由とその元凶であるトウジュンのことを説明し、トウジュンの死体を保管しておくこと、明日墓地へ行ってスケルトンを討伐するついでにトウジュンの拠点の探索をすることを伝える。

 ユーキの話を聞いたヘクターたちは自分たちのような被害者を出さないためにも残りのスケルトンの討伐と拠点の探索をユーキたちに任せ、ユーキたちも必ずやり遂げるとヘクターたちに伝えた。

 話が済むとユーキたちは数人の見張りを残し、スケルトンの討伐が完了したことを避難したライアナたちに知らせに向かう。

 ユーキたちがライアナたちの下に向かう時、アトニイは村の外を無言で見つめ、しばらく見た後、ユーキたちの後を追いかけた。

 その後、ユーキたちはまだ残っているかもしれないスケルトンを警戒して夜の見張りを続けようとする。

 しかし村人たちが「疲れているはずだから見張りは自分たちに任せて休んでほしい」と言ってくれたため、ユーキたちはその言葉に甘えて眠りについた。


――――――


 翌日、朝になるとユーキたちは朝食を済ませ、墓地を目指すためにグロズリアの村を出発する。昨日と同じように徒歩で移動し、スケルトンやモンスターを警戒しながら墓地へ向かった。

 移動中、ウェンフとオルビィンは歩きながら何度か欠伸をする。夜中にスケルトンと戦ったのでまだ眠たいようだ。グラトンもユーキたちの後に続きながら大きく口を開けて欠伸をした。

 ユーキは夜中に目を覚ますことをこれまで何度も経験して慣れているのか、眠気は感じておらず、欠伸をするウェンフとオルビィンを笑いながら見ている。

 アトニイもウェンフやオルビィンと違って眠気を感じていないのか、欠伸をすること無く移動していた。

 それからユーキたちはモンスターに遭遇することなく墓地である台地に辿り着いた。

 墓地に入ったユーキたちはまず、昨日ルタを救出した場所を目指して墓地の中を移動する。勿論、まだいるかもしれないスケルトンを警戒しながら先へ進んだ。

 ユーキたちは得物を握りながら移動し、ルタがスケルトンの群れに襲われていた広場に辿り着く。幸い途中にある別の広場や林道でスケルトンに遭遇することは無く、ユーキたちは無駄に体力を消耗することなく目的地に辿り着くことができた。


「よし、此処から先はどうなってるか分からない。今まで以上に警戒して進むぞ」

『ハイ』


 忠告を聞いたウェンフ、オルビィン、アトニイは声を揃えて返事をする。三人の返事を聞いたユーキは奥へ進み、ウェンフたちもその後に続く。

 ここまでユーキたちは昨日調べた場所にも向かってトウジュンの拠点と思われる場所が無いか探したが、それらしい場所は見つけられなかった。そのため、ユーキたちはまだ行ったことの無い場所に拠点があると考え、今まで以上に注意しながら拠点を探そうと思っている。

 広場を出たユーキたちは林道を歩きながら墓地の中を移動する。途中で小さな広場や池、休憩場らしき建物があり、ユーキたちはスケルトンを探しながらそれらを調べてトウジュンの拠点を探す。

 しかし拠点どころか入口すら見つからず、ユーキたちはスケルトンも拠点も見つからないことを残念に思いながら更に奥へ進んだ。

 墓地に入ってから数十分が経ち、ユーキたちは坂道を上って台地の上の方まで移動する。どういうわけか道中スケルトンに遭遇することはなく、ユーキたちはスケルトンが現れないことを不思議に思いながら先へ進んだ。

 それからしばらく進み、ユーキたちは大きめの広場に出る。そこは今までユーキたちが見てきた広場の中で最も広く墓も沢山あり、広場の隅には物置のような小屋などもあった。


「広い所……」

「今まで見てきた墓場と違って小屋とかもあるし、此処なら何か見つかりそうね」


 トウジュンの拠点の手掛かりがあるかもしれないと考えるオルビィンは広場を見回す。隣で墓場の広さに驚いていたウェンフも手掛かりが見つかるかもしれないと聞いて猫耳をピクリと動かした。

 ユーキとアトニイも今いる広場なら手掛かりが得られるかもしれないと考え、念入りに調べてみようと思っている。

 できれば此処に拠点があってほしい、そう思いながらユーキは広場の奥に向かって歩き出し、ウェンフたちもそれに続いた。

 周りにある墓や小屋などを確認しながらユーキたちは広場の中央までやって来る。念のためにスケルトンの襲撃を警戒してはいるが、広場にはユーキたち以外の気配は感じられなかった。


「此処には私たち以外誰もいないみたいですね」

「油断するなウェンフ。気配がしないからと言って誰もいないとは断言できない。どこかに隠れている可能性もある」

「あっ、ハイ」


 ユーキに忠告されてウェンフは小さな声で返事をする。戦場では小さな油断が命取りになるため、ウェンフは気を抜いてはいけないと自分に言い聞かせながら耳を動かして周囲の音を聞き、自分たち以外に誰かいないか探った。

 オルビィンやアトニイも視線を動かして周囲を警戒している。グラトンは緊張感が無いのか四足歩行で移動しながら呑気に欠伸をしていた。

 

「とりあえず、この墓場を調べてみよう。何処かに拠点に行くための隠し通路とかがあるかもしれないからな」

「そうですね」


 ユーキたちは手掛かりを見つけるため、早速広場を調べようとする。すると遠くにある物置らしき小屋の方から枝が折れるような音が聞こえ、ユーキたちは一斉に音が聞こえた方を向いた。

 予想していたとおりスケルトンが隠れていたのかと思いながらユーキたちは身構えた。その直後、小屋の陰から何かが飛び出して地面を転がっていく。飛び出した物を確認するとそれは人間の頭蓋骨だった。

 頭蓋骨を見たユーキたちは一瞬、墓に埋葬されていた者の頭部かと思ったが、現状から考えて飛び出したのはスケルトンの頭部だと予想する。ユーキたちが頭蓋骨を見ていると小屋の陰から大きな人影が現れた。

 現れたのは身長190cmはある千歳茶せんさいちゃ色の肌をした筋骨隆々の人型の生物で、頭部には後ろに反って伸びる一本角が生えており、腰には濃い茶色の腰巻、両肩には無数の棘が付いた黒のショルダーアーマーを付けている。そして右手には柄の両側に棘だらけの長い頭を付けた身の丈ほどの棍棒を握られ、左手で頭部を失ったスケルトンの首を掴んでいた。


「あれは、シュトグリブ!」


 ユーキは現れた生物を見て声を上げる。そう、ユーキたちに前に現れたのは中位ベーゼのシュトグリブだったのだ。

 シュトグリブを見たウェンフとオルビィンは驚いて目を見開き、アトニイは目を鋭くした。状況からユーキたちは先程までシュトグリブがスケルトンと交戦し、スケルトンの頭部を刎ね飛ばして自分たちの前に現れたのだと推測する。

 トウジュンの拠点を探している最中に予想外の敵と遭遇してユーキは面倒そうな表情を浮かべながら月下と月影を握り、ウェンフたちも持っている武器を構える。グラトンもシュトグリブを見つめながら小さく唸り声を上げた。

 ユーキたちがシュトグリブを警戒しているとシュトグリブもユーキたちに気付いて持っていたスケルトンの胴体を放り投げ、ユーキたちを威嚇するかのように鳴き声を上げる。


「何でこんな所にベーゼがいるんだ……いや、今はそんなことはどうでもいいか。奴を倒すことが先だ」


 疑問を解決するよりも目の前の敵を倒すことが重要だと考えるユーキはシュトグリブを睨む。ユーキが睨んだ瞬間、シュトグリブはユーキに向かって全速力で走り出した。


「アイツは俺が倒す。皆はそこにいろ!」


 ウェンフたちに声を掛けたユーキは強化ブーストを発動させて両腕の腕力と脚力を強化し、迎撃するためにシュトグリブに向かって走り出す。

 ユーキとシュトグリブは全速力で目の前の敵に向かって行く。シュトグリブは鳴きながら走っているだけだが、ユーキはシュトグリブに近づいている間、どのように戦うか考えていた。

 距離を詰めていき、相手が自分の間合いに入った瞬間に双方は動いた。シュトグリブは棍棒を右上から斜めに振り下ろし、ユーキも月下を右下から振り上げる。今回はスケルトンと違ってベーゼが相手であるため、峰打ちではなく普通に刃の方で攻撃した。

 棍棒と月下がぶつかり、広場に高い金属音が響く。戦いを見守っていたウェンフとオルビィンはユーキがシュトグリブとぶつかる姿を見て緊迫した表情を浮かべていた。

 ユーキは奥歯を噛みしめながら月下でシュトグリブの棍棒を押し返そうとする。常人なら中位ベーゼの中でも力の強いシュトグリブの攻撃を止めるのは難しいが、ユーキは強化ブーストで腕力と脚力を強化しているため、シュトグリブの重い一撃にも耐えることができた。

 シュトグリブを睨むユーキは右腕に力を入れ、月下で棍棒を押し返す。押されたことでシュトグリブは僅かに体勢を崩し、それを見たユーキは月影を左から横に振ってシュトグリブの腹部を斬ろうとする。

 しかしシュトグリブは咄嗟に後ろに跳んでユーキの横切りをかわし、棍棒を振り下ろして反撃してきた。

 ユーキは後ろに軽く跳んで棍棒をかわすと素早く双月の構えを取る。シュトグリブは構え直したユーキに向かって棍棒を振り回し、柄の両方に付いている二つの頭で交互に攻撃を仕掛けた。

 シュトグリブの攻撃に驚くユーキは咄嗟に月下と月影で攻撃を防ぐ。防いだ時、ユーキの両手に強い衝撃が伝わってきた。


(クッ、何て攻撃だ!)


 真正面からの重い連撃をユーキは後退しながら月下と月影で防ぎ続ける。いくら腕力を強化しているとは言え、重い攻撃を防ぎ続ければいつかは体力が尽きて動けなくなると感じたユーキは何とか反撃しなくてはいけないと思っていた。

 ユーキは攻撃を防ぎながら反撃の隙を窺う。すると攻撃していたシュトグリブはユーキに重い一撃を入れようと思ったのか連撃を中断して棍棒を振り上げた。

 シュトグリブの連撃が止んだ瞬間、ユーキは反撃のチャンスだと感じ、シュトグリブに向かって大きく踏み込んだ。


「ルナパレス新陰流、朏魄ひはく!」


 踏み込んだユーキは月下と月影で袈裟切りを放ってシュトグリブの胴体を斬り、続けて左から横切りを放って攻撃する。

 二本の刀による袈裟切りと横切り、それも腕力を強化された状態のユーキの攻撃は強力で中位ベーゼのシュトグリブに深い傷を負わせた。

 胴体を斬られたシュトグリブは声を上げながらよろめいて片膝をつく。ユーキはシュトグリブを見ると確実に倒すため、月影を右下から斜めに振り上げてシュトグリブの顔面を斬る。

 顔を斬られて致命傷を負ったシュトグリブは前に倒れて俯せになり、そのまま黒い靄となって消滅した。

 シュトグリブを倒したユーキは汗を掻きながら深く息を吐く。流石に重い攻撃を何度も防いだことで疲れを感じたようだ。


(ようやく倒すことができた。だけど、どうしてこんな所にベーゼがいたんだ?)


 ユーキはシュトグリブが倒れていた場所を見つめながら墓地にベーゼがいたことを疑問に思う。だが何の情報も無いため、いくら考えても答えを見つけるとはできなかった。


「凄い、中位のベーゼを簡単に倒した……」

「当然だよ。だって先生は上位ベーゼを倒したこともあるんだから」


 驚きながらユーキを見るとオルビィンにウェンフは笑いながら語り掛けた。自分の師匠を自慢するウェンフを見たオルビィンは小さく肩を竦めながら笑う。

 会話をしているウェンフとオルビィンの隣ではアトニイが無言でユーキを見つめている。この時のアトニイはユーキが中位ベーゼを倒したことに驚いておらず、ユーキの実力を観察しているような顔をしていた。

 シュトグリブを倒したユーキは汗を拭ってからウェンフたちの所へ歩いて行く。ユーキが歩いて来ることに気付いたウェンフたちは会話などを止めてユーキに注目した。


「シュトグリブは倒した。だけど、アイツ以外にもベーゼがいる可能性がある。今まで以上に警戒して拠点の探索をするぞ?」

「分かりました」


 アトニイは真剣な表情を浮かべて返事をし、ウェンフとオルビィンも同じように真面目な顔しながら頷いた。

 ユーキはウェンフたちに忠告をすると今いる広場を調べることを三人に伝え、拠点の入口やそれらしい物を探すよう指示した。

 指示が終わるとユーキたちは分かれて広場を調べ始める。広場を隅々まで調べるのは勿論、小屋の中や墓の近くなど色んな場所を調べていった。

 当然ベーゼやスケルトンの警戒も怠らずに探索する。だが、いくら調べてもトウジュンの拠点の入口は愚か手掛かりすら見つからず、ただ時間だけが経過していった。


「全然見つからな~い」


 広場の隅にある小屋の中を調べていたウェンフは疲れたのか情けない声を出す。

 ウェンフが調べていた小屋の中には鍬やハサミと言って墓場を手入れするための道具などが入っているが、それ以外には何も無く拠点に関する手掛かりなども見つからなかった。


「もっとしっかり探しなさい。もしかしたら手掛かりとかを見逃しているかもしれないわよ?」


 小屋の近くで墓を調べていたオルビィンが手を止めているウェンフに声を掛ける。その近くではグラトンが木の根元に顔を近づけて匂いを嗅いでいた。グラトンも一応ユーキたちの手伝いをしているようだ。

 ウェンフはオルビィンの方を見ると「むぅ~」と若干不満そうな顔をしてから探索を再開する。オルビィンもウェンフが動いたのを見てから探索を続けた。

 ウェンフたちから離れた場所ではユーキとアトニイが墓や無造作に置かれてある古い棺などを調べていた。二人もこまめに調べて拠点の手掛かりを探しているが一向に見つからない。それでも二人は愚痴をこぼしたりせずに真面目に探した。


「全然見つからないなぁ……アトニイ、そっちはどうだ?」


 地面に置かれている棺の近くを調べていたユーキはアトニイの方を向いて声を掛ける。アトニイはボロボロの墓の前で膝を付きながら墓石や遺体が埋葬されている場所を調べていた。


「……ダメですね、隠し扉のような物もありません」

「そうかぁ……もしかしたらこの広場にも無いのかもしれないなぁ」


 残念そうな顔をするユーキは腕を組みながら周囲を見回し、近くにある古い大きめの棺に近づいた。その時、棺の中から微かに風が吹くような音が聞こえ、音を聞いたユーキは軽く目を見開いて棺の蓋を上げる。なんとそこには人一人が通れるくらいの下り階段があったのだ。


「コイツは……皆、ちょっと来てくれ!」


 ユーキは探索をしているウェンフたちに声を掛け、ウェンフたちは探索を中断してユーキたちの下へ向かう。

 ウェンフたちはユーキの下に集まると棺の中に隠された階段を見て驚きの表情を浮かべた。


「こんな所に隠し階段があったなんて……どおりで広場を探しても見つからないわけだわ」


 目立たないように入口を隠していたことを知ったオルビィンはショヴスリを肩に掛けながら納得する。

 入口を隠すのに目立つ小屋や墓とかではなく、古くて目立たない棺を使っていることから、オルビィンはトウジュンが自分が思っていた以上に賢い男だと思った。


「よく見つけましたね、先生?」

「まったくの偶然だよ。棺に近づいた時に風の音が聞こえて、もしかしてと思って開けてみたんだ」


 運よく見つけられたことをウェンフに伝えたユーキは棺の中の階段に視線を向ける。この階段の下にトウジュンが禁術を開発する際に使っていた拠点があるかもしれない、そう思いながら目を鋭くした。


「それでどうします、ルナパレス先輩?」

「とりあえず下りて調べてみよう。どうなってるか分からないから全員では行かず、まずは二人で調べてみよう」


 アトニイの問いにユーキが答えると、アトニイもそれが良いと思ったのか異議を上げたりせずに頷いた。

 情報が無い場所には予想外の敵が潜んでいたり、罠が仕掛けられている可能性がある。そんな場所に全員で向かえば全滅する可能性があるため、何人か仲間を残して調べるのが賢明な判断だと言えるだろう。


「俺とアトニイが下りるから、ウェンフとオルビィン殿下は残って周囲を見張ってくれ。何かあったらすぐに知らせるんだ」

「ハイ、先生!」

「分かりました」


 ウェンフとオルビィンの返事を聞いたユーキはアトニイの方を向き、ついて来てほしいと目で伝える。

 アトニイはユーキの目を見て彼が何を考えているのか察すると無言で頷き、ついて行くことを承諾した。

 ユーキはアトニイの反応を見ると周りを見回して近くに落ちている木の棒を拾い、火を付けて松明を作る。階段の下は暗いため、問題無く進むには明かりが必要だった。

 松明を右手に持ち、ユーキは棺の中にある階段をゆっくりと下りていく。アトニイもそれに続き、ウェンフとオルビィンは二人が階段を下りるのを見送ると言われたとおり周囲の見張りをする。グラトンは見張りはせず、棺の中を覗き込みながらユーキとアトニイが戻って来るのを待った。

 ユーキとアトニイは松明の灯りを頼りに薄暗い階段を下りていく。階段は石造りで幅が狭いため、二人は縦に並んで進んでいった。


(この階段、石造りでしっかりとしている。もし此処がトウジュンたちの拠点だとして、これほどの物をトウジュンたちだけで作ったとは思えない。きっと元からあった物を見つけてトウジュンたちが利用したんだろうな……)


 階段や横にある壁を見ながらユーキは心の中で呟く。誰が何のために作ったのかは興味あるが、今はトウジュンの拠点を見つけることが重要なため、ユーキは余計なことは考えずに階段を下りていった。

 しばらく階段を下りるとユーキたちは少し広めの部屋に出た。その部屋は階段と同じように石造りとなっており、床には大きな魔法陣が描かれている。


「こんな所があったのか」

「部屋の様子から、トウジュンと奴の仲間が使っていた拠点で間違いないでしょうね」


 魔法陣や部屋を見たユーキとアトニイはトウジュンが使っていた拠点だと考える。だが、二人は部屋を見てすぐに何かがおかしいことに気付く。

 部屋の中には魔法陣の他に本棚や作業台などがあるが、羽ペンやインク瓶、大量の本が散乱していたのだ。まるで誰かに部屋を荒らされたような状態だった。


「酷く散らかってますが、トウジュンたちが自分たちでやったのでしょうか?」

「分からない……だけど魔法を開発したり、自分が生活するために使う場所をこんな状態にしているとは思えない」


 ユーキは部屋を散らかしたのはトウジュンではないと考えながら部屋に入り、アトニイもそれに続いて部屋に入る。

 部屋に入ったユーキたちはトウジュンが開発した禁術の情報が書かれた書物などを探し始める。ところがいくら探しても禁術に関する物は一つも見つからない。あるのはトウジュンの名前が書かれたメモらしき羊皮紙や重要性の無さそうな本だけだった。


「どういうことだ? これだけ捜しても何も見つからないなんて……」


 ユーキは足元に落ちている本を拾い、禁術の情報が何処にあるのか考える。アトニイは考え込むユーキの後ろ姿を黙って見つめていた。


(禁術の情報は何も無く、部屋は荒らされたように散らかっている……もしかして、俺たちが来る前に誰かが此処に来て禁術のことが書かれた本とかを持ち去ったのか? いや、あの時のトウジュンの態度を考えると、誰かに拠点の場所を知られているとは思えない。つまり、俺たち以外にトウジュンの拠点が墓地にあることを知っている奴はいないってことだ)


 俯きながらユーキは此処で起きたのか推理していく。


(そう言えば、さっきシュトグリブが広場にいたけど……まさかベーゼが此処を? ……いや、あり得ない。禁術はベーゼと戦う戦力を作るためにトウジュンが開発した魔法だ。トウジュンが敵であるベーゼに情報を知られるようなミスを犯すとは思えない)


 ユーキは首を横に振りながらベーゼに情報が奪われた可能性は否定する。トウジュンの性格やこれまでの情報から考えると絶対にないとユーキは確信していた。


「ルナパレス先輩」


 推理しているユーキにアトニイが静かに声を掛ける。アトニイの声を聞いたユーキはフッと反応してアトニイの方を向いた。


「どうします? もう少し探してみますか?」

「……いや、これ以上探しても無駄だと思う。上に戻ってウェンフとオルビィン殿下に知らせよう」

「分かりました」


 ユーキの返事を聞いたアトニイは階段の方へ歩いて行き、ユーキはもう一度部屋を確認する。

 禁術の情報がどうなったのか気にはなるが、見つからないのならスケルトンを倒すことを優先させるべきなので、ユーキはスケルトンの討伐に集中することにした。

 ユーキは部屋に背を向けて階段を上がっていき、地上で待機しているウェンフたちと合流した。ウェンフたちに拠点の状態と禁術の情報が無かったことを伝えるとユーキたちはスケルトンを見つけるために再び墓地の中を移動する。

 だが不思議なことにいくら墓地の中を調べてもスケルトンは一体もおらず、結局ユーキたちはシュトグリブを倒した後、スケルトンと遭遇することはなかった。

 墓地を全て調べ終えたユーキたちはスケルトンはもう残っていないと考え、結果を報告するためにグロズリアの村ヘ戻っていく。

 グロズリアの村に戻り、ヘクターたちにスケルトンは全て倒したことを伝えるとヘクターたちは心から感謝し、コリーやルタもユーキたちに礼を言った。

 それからユーキたちは書類に依頼完遂のサインをしてもらい、荷馬車に乗って帰路についた。


――――――


 静かに昼過ぎ、メルディエズ学園の中央館にある食堂では生徒たちがお茶を飲んだり、授業の予習復習などをしている。その中でユーキはコキ茶を飲んでおり、向かいの席にはアイカが座ってハーブティーを飲んでいた。


「そんなことがあったのね。……その後はどうしたの?」

「予定どおり、学園に戻る途中で近くの町に寄って帝国軍にトウジュンの遺体を引き渡したよ」


 コキ茶を一口飲んだユーキはカップをそっとテーブルに置き、アイカは興味のありそうな顔でユーキの話を聞いている。

 ユーキたちがグロズリアの村の依頼を終えてメルディエズ学園に戻ってから既に四日が経っており、ユーキはアイカにグロズリアの村の依頼で起きたことを話していた。

 スケルトンの大群と戦ったことやトウジュンが禁術を開発していたこと、グロズリアの村が管理する墓地にトウジュンの拠点があったこと、死体を町に届けた時のことなど、ユーキはできるだけ細かくアイカに説明した。


「町に遺体を届けてそれでお終いかと思ってたんだけど、警備兵たちにトウジュンのことや拠点の場所、禁術がどんな魔法だったかとか色んなことを訊かれたよ。そのせいで学園に戻るのに時間が掛かっちまった」

「アハハハ、それは大変だったわね」


 文句を言うユーキを見ながらアイカは苦笑いを浮かべる。ユーキは当時のことを思い出して気分が悪くなったのか頬杖を突きながら溜め息をついた。


「それで、見つからなかった禁術の情報はどうなったの?」

「さあな。俺たちが調べた時には情報が書かれた書物とかは何処にも無かった。間違い無く誰かが盗み出したんだ」

「そう……」


 アイカは僅かに暗い顔をしながら自分のティーカップを取ってハーブティーを一口飲んだ。

 死者をアンデッドに変え、戦力として利用する禁術は人の道を踏み外した恐ろしい魔法だ。その情報を持ち出されれば悪用されるのは間違い無い。アイカは誰が禁術の情報を盗んだのか気になっていた。


「ユーキ、貴方は誰が禁術の情報を持ち出したと思う?」

「さっぱり分からない。ただ、あの状況ではトウジュンと俺たち以外に禁術や拠点の情報を知っている奴はいないはずだ」


 真剣な表情を浮かべて語るユーキをアイカは黙って見つめる。

 トウジュンとユーキたち以外に禁術と拠点の情報を知っている者がいないというのなら、ユーキたちが禁術の情報を盗み出したと普通の人間は考える。実際、ユーキたちがトウジュンの死体を届けた時に警備兵たちはユーキたちが情報を手に入れたのではと疑っていた。

 ユーキたちは警備兵が自分たちを疑っていると知ると疑いを晴らすために持ち物検査をさせて無実を証明し、メルディエズ学園に戻ってきた。

 勿論、アイカもユーキたちが禁術の情報を盗んだとは思っておらず、他の誰かが情報を盗み出したに違いないと思っている。


「誰が盗んだにせよ、もし犯人が禁術を使ってアンデッドの軍団を作ったりしたらとんでもないことになっちまう」

「そうね……禁術を使われる前に見つけ出すことができればいいんだけど」


 ユーキとアイカは真剣な表情を浮かべながら早く犯人が見つかること、禁術が使われないことを心の中で祈る。


「一応、依頼から戻ってすぐに学園長に禁術のことを伝えておいた。すぐに他の生徒たちにも禁術のことが伝わるはずだ。情報が伝わればもし他の生徒たちが依頼中に禁術の情報を盗んだ奴と遭遇しても問題無く対処できるし、上手く行けば捕まえられるはずだ」

「そうね。でも犯人が禁術を使ってアンデッドを従わせている可能性もあるから、捕まえる際は気を付けないと……」


 慎重に対処するべきだと考えるアイカを見ながらユーキは頷く。

 禁術の話が終わるとユーキはコキ茶を飲もうと自分のカップを手に取って顔に近づけた。


(それにしても、本当に誰が禁術の情報を盗んだんだ?)


 ユーキはずっと頭の中にある疑問について考えながらコキ茶を飲んだ。


第十一章は今回で終了します。次の章はまた時間を空けてから投稿する予定です。

今までの章と比べると短かったですが、次回は少し長めに章にするつもりです。


今回は名前に由来のあるキャラクターはいないので名前の説明は無しとさせていただきます。


それでは、短めですが今回はこれで失礼いたします。

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