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児童剣士の混沌士(カオティッカー)  作者: 黒沢 竜
第八章~混沌の逃亡者~
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第百三十一話  想い


 日が沈み始め、外は既に薄暗くなっている。メルディエズ学園の授業は全て終わり、外出可能な時間も過ぎているため、生徒は全員寮へと戻っていた。

 男子寮の二階にあるユーキの部屋では制服の上着を脱いだユーキがベッドの上で仰向けになっている。部屋は綺麗に整理整頓されており、部屋の隅にある机には月下と月影が立てかけられ、椅子の背もたれには上着が掛けてあった。

 下級生だった時は二人一部屋だったので相部屋の生徒のことを考えながら生活していたが、中級生になったことで一人部屋となりユーキは周りを気にすることなくのんびりすることができた。


「フゥ、最近じゃあ自分の部屋にいる時が一番落ち着くなぁ」


 ベッドで横になっているユーキは目を閉じながら呟く。ナトラ村の緊急依頼を終えてから今日までユーキは教師や生徒会の生徒の視線を気にしながら生活していた。

 学園内では遠くから見張られている程度で済んだが、今日のように学園の外に出る際は生徒会の生徒が常に近くで見張っている。今の立場を考えると見張られるのは仕方のないことだが、それでもやはり見張られるのは気分の良いことではないため、ユーキも精神的に疲労を感じていた。

 見張られる生活の中でユーキが唯一気を楽にできるのが自室にいる時だった。見張られる立場とは言え、流石に自室の中まで入られてはプライバシーの侵害となる。そのため教師や生徒会の生徒たちもユーキの部屋までは入らず、部屋の前に見張りを付けるようなこともしなかった。


「……それにしても、今日はある意味ですっごく疲れた」


 目を開けたユーキは天井を見上げながら力の抜けた声を出す。理由は勿論、今日の昼間にスローネから聞かされた自分の体のことだ。

 怒りのような感情の高ぶりが引き金になって体がベーゼ化し、とてつもない力を発揮する。しかもベーゼ化は自分では制御できず、繰り返せば完全なベーゼになるかもしれないと言われれば精神的に疲れるのも当然だ。

 自分の体に何が起きているのか理解して少しだけ精神的に楽にはなったものの、問題が消えたわけではないためユーキは面倒に思っていた。

 更に右手がベーゼ化したところを見張りをしていた生徒会の生徒に見られたことで自分に関する緊急会議が開かれるだろうと言われ、ユーキは会議の結果がどうなったの気になって落ち着かずにいた。


「右手の色が変わる前よりもベーゼに近づいちまったから、これまで以上に見張りとかが厳しくなるんだろうな……あまり厳しくならなければいいんだけど」


 今までどおりの生活は送れないだろうと覚悟はしているが、やはり厳しく見張られるのは避けたいユーキはどこか不安そうな顔をしながら独り言を口にする。

 いつベーゼ化してメルディエズ学園に危害が及ぶ状況になるか分からないため、教師たちがユーキを警戒するのは当然のことだ。

 ユーキ自身も理解しているが、自分には学園に危害を加える気など無いのに行動に更なる制限が加えられ、監視が強化されたら今以上のストレスを感じることになる。そう考えたユーキは深く溜め息を付いた。


「……まぁ、会議の結果がどうなったかは明日になってみないと分からない。とりあえず、明日に備えてしっかり休んでおこう」


 気持ちを切り替えたユーキは起き上がり、壁に掛けてある時計を見て時間を確認する。時計は午後五時を回っており、時間を見たユーキは意外そうな表情を浮かべた。


「もうこんな時間か。そろそろ皆が夕飯を食うために中央館へ行く頃だな。あまり遅いと食堂が混んじまうし、今から行って食べておくかな」


 食堂が空いている内に夕食を済ませようと考えたユーキはベッドから立ち上がり、椅子に掛けてある上着を着て出かける準備をする。

 普段のユーキは大勢の生徒が集まる頃に食堂へ向かい、アイカやパーシュたち、同期の生徒たちと共に食事をするのだが、今日は疲れており、一人で食べたい気分だったので生徒の数が少ない時間に食事をしよう思っていた。

 上着を着て月下と月影を腰に差し、出かける準備が整うとユーキは出入口の扉へ向かおうとする。そんな時、扉をノックする音が聞こえ、ユーキはチラッと扉に視線を向けた。


「誰だ? こんな時間に客が来るなんて珍しいな」


 普段自分の部屋を尋ねてくる者は殆どいないため、ユーキは扉の方を見ながら意外に思った。


「ハーイ、どちら様?」

「ユーキ君、私です」

「学園長?」


 扉の向こうからガロデスの声が聞こえ、ユーキは予想外の人物が来訪してきたことに驚いて目を軽く見開く。

 どうしてガロデスが男子寮におり、しかも自分の部屋を訪ねてきたのかユーキは疑問に思っていたが、いつまでも部屋の外で待たせるわけにはいかないため、とりあえず扉を開けようと考えた。

 扉に近づいたユーキは鍵を開けて扉を開く。そこにはいつもの学園長の制服を着たガロデスが立っていた。


「遅くに尋ねてすみません」

「あ、いえ、大丈夫です。……でも、どうしたんですか? わざわざ寮にまで来られるなんて」


 ユーキは改めて男子寮にやって来た理由をガロデスに尋ねる。ガロデスは真剣な表情を浮かべながら視線を動かし、廊下に自分以外誰もいないことを確認するとユーキの方を向いた。


「……お話があります。少しお付き合いください」


 そう言うとガロデスは静かに廊下を歩いて何処かへ向かう。ガロデスの後ろ姿を見たユーキは状況が呑み込めず不思議そうな顔をしていたが、ガロデスがわざわざ訪ねて来たのだから大切な話に違いないと考え、とりあえずついて行って話を聞くことにした。

 ユーキはガロデスの後をついて行き、静かな男子寮の中を移動する。階段を下りて二階から一階へ移動し、そのまま男子寮の玄関へ向かうと外へ出た。

 既に外出できない時間になっているのに外へ連れ出すガロデスにユーキは少し驚いていたが、学園長であるガロデスが一緒なら大丈夫だろうと考え、黙ってガロデスの後をついて行く。

 男子寮を出たユーキとガロデスはそのまま移動して男子寮の裏側、女子寮や中央館がある方角からは見えない場所へやって来た。

 二人がいるのは大量の草と数本の木が生えた、普段なら誰もやって来ないような場所だ。しかし、誰にも見られずに秘密の会話をするには打ってつけの場所と言える。

 ユーキはガロデスと二人っきりであること、滅多に人が来ない所に移動したことからガロデスが誰にも聞かれたくない話をするのだと悟り、真剣な目でガロデスを見た。


「改めてまして、こんな時間に申し訳ありません」

「気にしないでください。それで、どんな御用ですか? こんな人気の無い場所へ移動したんですから、かなり重要な話なのでしょう?」


 真剣に話を聞こうとするユーキの態度を見たガロデスは気持ちを落ち着かせるかのように小さく息を吐いた。


「……実は本日の昼間、学園の全ての教師を集めて緊急会議を行いました。議題はユーキ君のベーゼ化についてです」

「知っています。今日医務室に行った時にスローネ先生から緊急会議が開かれることや内容が俺のことかもしれないって聞きましたから」

「そうですか、それなら話が早い。……私たちは最初、ユーキ君を他の生徒から引き離し、学園内で見張りながら君の体を元に戻す薬を薬師に作らせるつもでした。ですが、教頭先生が君のことを危険視し、ベーゼと見なしてバウダリーに駐屯する軍に引き渡すことを進言したのです」

「ええっ、軍に?」


 ガロデスの話を聞いてユーキは思わず訊き返す。ロブロスが自分の体を元に戻そうとは考えず、軍に引き渡そうとしていたことを知ってユーキは驚いた。


「勿論、私やスローネ先生のような一部の先生がたは反対しました。ユーキ君には人間としての自我も理性も残っており、薬を調合すれば元に戻る可能性は十分にありますから。……ですが、教頭先生以外にも君を危険な存在と考える先生が大勢おり、結果、ユーキ君を軍に引き渡すことが賛成多数で決定したのです」

「そ、そんな……」


 とんでもない事態になってしまったことにユーキは表情を歪ませ、ユーキの反応を見たガロデスは申し訳なさそうな顔をする。

 ベーゼ化すると断言できない状況、薬を調合すれば無事に元に戻るかもしれない可能性、最悪の事態になるかどうか分からないのに多くの教師がベーゼと見なしたことにユーキは衝撃を受けていた。

 しかしメルディエズ学園の教師たちも人間であるため、不安や恐怖を感じればそれらを取り除くための行動を取るのは当然のことと言える。


「すみません、ユーキ君。何とかしようと思ったのですが、この学園では重要な議題は民主主義によって結論を出すことになっています。そして、それを決めたのは私です。……言い訳に聞こえるかもしれませんが、民主主義で決めると考えた私自身がその決定に異を唱えることはできないのです」

「成る程……」


 ガロデスの言葉を聞いたユーキは僅かに低い声を出して納得する。

 ユーキはガロデスが自分を助けるために努力してくれたことに気付いていた。そして、立場からロブロスたちの決定を覆すことができなかったことにも気付いている。だからユーキは決定を変えることができなかったガロデスを責めようとは思わなかった。


「……俺はこれからどうなるんですか?」

「このまま軍に引き渡されればバウダリーで体を調べられ、それが済むとより詳しく調べるために首都であるフォルリクトへ連れて行かれるでしょう。その後どうなるかは私にも分かりません」

「そうですか」

「ただ、首都ではベーゼの研究をしている魔導士たちがベーゼの詳しい情報を得るため、瘴気に侵された人間を使って実験をしていると噂を聞いたことがあります」

「じ、実験……まさかそれって、解剖とかエグいものじゃ……」


 嫌なことを想像したユーキは微量の汗を流す。ガロデスも首都の魔導士が何をするかハッキリと分からないため答えることができなかった。


「ユーキ君を軍に引き渡すには軍に提出する新書の用意などをしなくてはならないため、軍への引き渡しは明日になると先生がたには今日の会議で伝えました」

「明日……」


 日にちが変われば自分はメルディエズ学園にいられなくなることを知ってユーキは小さく俯く。

 折角異世界に転生し、新しい人生を歩もうとしていたのに体が半分ベーゼとなり、メルディエズ学園から厄介者扱いされて軍に引き渡されそうになっている。あまりにも酷い現実にユーキは悔しさを感じ、拳を握って震わせた。

 しかし、ユーキは大人しく軍に引き渡されるつもりなど無かった。このまま軍に引き渡されれば様々な実験をされ、最悪命を落とすことになってしまう。折角転生したのにまた死ぬなど冗談ではない、ユーキはそう思いながら助かる方法を考える。

 現状からユーキに残された道はメルディエズ学園を抜け出し、バウダリーの町から出るぐらいしなかった。ただ、何も考えずに脱走すればメルディエズ学園だけでなく、異世界に住む人間全てを敵に回しかねない。

 異世界で問題無く生きていくためにもユーキは異世界の人間を敵に回すことだけは絶対に避けたかった。何よりもメルディエズ学園の教師や生徒たちと対立したくないとユーキは思っている。

 ガロデスは俯くユーキをしばらく見つめると静かに振り返って薄暗くなっている空を見上げた。


「……ユーキ君、私はメルディエズ学園にいる全ての教師や生徒たちの手本となり、導かなくてはならない立場にあります。ですから学園長としての立場上、個人的な理由で一度決定した結果を強引に変えることはできません」


 メルディエズ学園の責任者であり、民主主義で物事を決めようと考えた自分にはどうすることもできないとガロデスは語り、ユーキはガロデスの話を聞いて目を閉じながら黙り込む。


「ただ、君に命を救われた男としては何もせずに君を軍に引き渡そうとは思っていません」

「え?」


 ガロデスの意味深な言葉にユーキは思わず反応して顔を上げる。するとガロデスはユーキの方を向き、懐から丸めて羊皮紙を取り出した。


「学園長、これは?」

「メルディエズ学園の特別通行証です」

「特別通行証?」

「ハイ。通常、夜になると特別な事情や許可が無い限り町の外には出られません。それは学園も同じことで夜の依頼を受けたりしない限りはバウダリーの町からは出られないのです。ですが、この通行証があれば夜でも正門を通過することができます。ただ、これはバウダリーの外を出る時にしか使えません」


 持っている羊皮紙のことを詳しく説明し、ガロデスは羊皮紙をユーキに差し出す。ユーキは訳が分からず差し出された羊皮紙を受け取り、広げて中身を確認する。そこには特別通行証と言う文字と正門を通過させる理由、通行証を書いたガロデスのフルネームが書かれてあった。

 羊皮紙が特別通行書であることを確認したユーキはガロデスの方を向き、どうして通行書を渡したのか訊こうとする。すると、ユーキが訊くよりも先にガロデスが口を開いた。


「ユーキ君、それを使って今夜中にバウダリーの町を出てください。このまま此処にいたら君は明日軍に引き渡され、私も君を引き渡さなければならなくなります」


 ユーキと自分のためにバウダリーの町から出るよう言うガロデスをユーキは少し驚いた様子で見つめる。

 先程までユーキはメルディエズ学園から抜け出し、強引なやり方でバウダリーの町から出ようと思っていた。だが、ガロデスから渡された特別通行書があれば穏便に町から出られるため、ユーキにとっては都合のいいことだったのだ。


「バウダリーの町を出たらそのままガルゼムへ向かってください」

「帝国へですか?」

「ハイ、ガルゼムにスラヴァ・ギクサーランと言う人物がいらっしゃいます」

「スラヴァ・ギクサーラン?」


 名前を聞いたユーキは小さく反応し、ユーキの反応を見たガロデスは小さく頷いた。


「そうです。三十年前のベーゼ大戦でこの世界を救った五聖英雄の一人です」


 ガロデスがスラヴァと言う人物について説明するとユーキは真剣な顔を浮かべてガロデスの話に耳を傾ける。

 五聖英雄は異世界では特別な存在であるため、ユーキもメルディエズ学園の図書室で五聖英雄のことを調べた。ただ、図書室で得られた情報は名前やベーゼ大戦時の五聖英雄の活躍くらいだったため、ユーキは五聖英雄のことは詳しく分かっていない。


「スラヴァ殿は五聖英雄の中で唯一の魔導士で強力な魔法を使い、多くのベーゼを倒しました。更に優秀な薬師のご子息であったため、様々な薬草を使って薬を作り、同じメルディエズの仲間たちを救ったのです。終戦後、メルディエズはメルディエズ学園へ変わり、彼は十年ほど教師を務めました。その後教師を辞め、祖国であるガルゼムへ帰郷したのです」

「帝国へ行き、そのスラヴァ・ギクサーランって人に会えってことですか?」

「ハイ、彼ならユーキ君の体を元に戻す薬を作れるはずですし、事情を話せばきっと助けてくれます」


 先程まで真剣に話していたガロデスは小さく笑みを浮かべる。

 ユーキはガロデスの笑顔を見てそれだけスラヴァのことを信用しているのだと感じ、ここまで信用している人物なら自分を助けてくれるかもしれないと考えた。


「……でも、引き渡しが決まったのに俺を勝手に学園から逃がしたら、学園長の立場が悪くなるんじゃ……」


 自分を助けることでガロデスに迷惑が掛かってしまうと感じたユーキは複雑そうな表情を浮かべる。するとガロデスは笑ったまま首を小さく横に振った。


「構いません。立場を優先して命を救ってくれた人を見捨てるなど私にはできませんし、そこまでして学園長の地位を守る気などありません。それに私は自分が正しいと思った道を歩んでいるだけですから」


 ユーキを助けることに後悔などしていないことをガロデスは語り、彼の本心を聞いたユーキは軽く目を見開く。

 ガロデスは今の地位や周囲からの信頼を失うことになるかもしれないのに、それを承知の上で自分を助けようとしてくれている。ユーキはガロデスの意思と覚悟を知って感服し、ここでガロデスの提案を拒否するのは覚悟を否定することになると感じ、ガロデスのためにもガルゼム帝国に向かうべきだと考えた。


「分かりました。……それで、そのスラヴァさんは何処にいるんですか?」


 ユーキがスラヴァの居場所を尋ねる。するとガロデスはどこか複雑そうな表情を浮かべた。


「それが……分からないのです」

「へ?」


 予想外の言葉を耳にしてユーキは思わず間抜けな声を出す。


「分からないって、どういうことですか?」

「スラヴァ殿は教師を辞められた後にガルゼムへ戻ったのですが、何処にいらっしゃるのかは分からないのです」

「ちょ、ちょっと待ってください。それでどうやって探すんです? と言うか、それならラステクトの町へ行ってそこにいる調合師や薬師に依頼すればいいんじゃ……」

「それは危険です。ユーキ君が今夜バウダリーを出れば明日には君が学園から抜け出したことはすぐにバレてしまいます。気付いた教頭先生や他の先生がたはユーキ君を見つけるためにラステクト中に生徒たちを派遣するでしょう。そうなれば薬の調合を依頼するどころか町や村にも近づけなくなります」


 ラステクト王国にいればユーキは常にメルディエズ学園から狙われ、元に戻る薬を手に入れること自体が難しくなるとガロデスは考えていた。

 ガロデスは生徒に見つからずに薬を手に入れるためにもラステクト王国ではなく違う国にいる調合師や薬師に依頼するべきと考え、五聖英雄の一人であるスラヴァに依頼すればいいと判断したのだ。

 ユーキはガロデスの話を聞いて難しい表情を浮かべる。ラステクト王国にいればメルディエズ学園の生徒たちに遭遇した時に高い確率で戦うことになってしまう。事情があるとは言え、ユーキは同じメルディエズ学園の生徒と戦うことには少なからず抵抗を感じていた。

 勿論、襲われたら応戦するが、可能であれば戦うことなく薬を手に入れて元の体に戻りたいとユーキは思っている。

 少しでも生徒たちと戦闘になる確率を低くして薬を手に入れるのならラステクト王国ではなくガルゼム帝国へ向かい、スラヴァに助けを求めた方がいいかもしれないとユーキは感じていた。


「確かに、効率よく元に戻る薬を手に入れるのなら、ラステクトじゃなくってガルゼムに行った方がいいかもしれませんね……」


 ガルゼム帝国で薬を手に入れるのが一番良いと感じたユーキは改めてスラヴァを見つけることを決め、ガロデスもそれがいいと思ったのか小さく頷く。


「それでスラヴァさんはガルゼムのどの辺りにいるんです?」

「先程もお話ししたように正確な居場所は分かりません。ですが、ガルゼムの北西にある何処かの森に魔導士らしき男性が暮らしているそうです。もしかするとその魔導士がスラヴァ殿かもしれません」

「因みにその情報、いつ頃のものですか?」


 新しい情報なのか気になるユーキは目を僅かに細くしながらガロデスを見る。ガロデスはユーキから目を逸らすと苦笑いを浮かべながら自身の後頭部を軽く掻き、それを見たユーキは古い情報だと察して軽く息を吐いた。

 古い情報であるため当てにはならないが、他の手掛かりが無いのだから仕方がない。そう考えたユーキはバウダリーの町を出たら、まずガルゼムの北西を目指すことにした。


「とりあえず、今の内に必要な荷物をまとめておいて、皆が寝静まったら出発します」

「それなら深夜零時頃がいいでしょう。その時間ならバウダリーを巡回する警備兵も少なく、住民たちに目撃されることはないでしょうから」

「分かりました」

「とは言え、正門を通る時には警備兵の方々に必ず目撃されてしまうため、誰にも気付かれずにバウダリーから出るのは不可能です。ですから外に出たらできるだけ早く町から離れてください」

「ハイ」


 忠告を受けたユーキは小さく頷いて返事をする。するとユーキはあることに気付いてはフッと反応した。


「そう言えば、俺が軍に引き渡されるのなら、同じように体に変化が出ているアイカも危ないんじゃ……」

「アイカさんでしたら大丈夫です。彼女はユーキ君ほど体に変化は出ていませんから、これまでどおり状態を観察しながらラスタクトの薬師に薬を調合させるつもりです」

「でも、教頭先生のことですから強引にアイカも軍に引き渡そうとしていたんじゃないですか?」


 ロブロスの思考からアイカのことも危険視していると推測したユーキはガロデスに尋ねる。するとガロデスは僅かに表情を曇らせながら頷いた。


「ええ、ユーキ君の言うとおり、教頭先生は君を軍に引き渡すことが決定した後にアイカさんもベーゼと見なして軍へ引き渡すよう進言しました。ですがアイカさんにはまだベーゼ化は見られていないため、現時点でベーゼとして引き渡すことはできないと少し強引にアイカさんの話を終わらせました」

「つまり、今はまだアイカが軍に引き渡されることは無いってことですね」


 ユーキが確認をするとガロデスは無言で頷いた。アイカの身の安全が保証されていることを知ってユーキは安心したのか軽く息を吐く。

 ガロデスはユーキをしばらく見つめるとそっと肩に手を乗せた。


「アイカさんのことは私やスローネ先生たちが護ります。ユーキ君はスラヴァ殿を見つけて薬を手に入れることだけを考えてください」

「ハイ」

「それと、この学園は君の学び舎であると同時に家でもあるのです。元の体に戻ったらまた此処に帰って来てくださいね」

「……勿論です」


 小さく笑いながらユーキはガロデスを見上げ、ガロデスも孫を見るかのような優しい笑顔でユーキを見ていた。


「……」


 ユーキの十数m後方にある木の陰では誰かが息を殺しながらユーキとガロデスを見ている。人影は二人に気付かれないようにゆっくりと静かに後ろに下がり、ある程度離れると立ち去った。

 背後から微かに音を聞いたユーキは視線だけを動かして後ろを見る。ベーゼ化して感覚が鋭くなっている今のユーキには強化ブーストで感覚を強化しなくてもある程度の音は聞き取ることができ、気配も感じることができた。

 ユーキは後ろを確認するがそこには誰もいない。今いる場所と現在の時間から外には自分とガロデス以外誰もいないはずなので音も草が揺れた時の音だろうとユーキは考えた。

 その後、ユーキはガロデスと別れ、夕食を取るために中央館へ向かう。ガロデスも薄暗い学園内を移動してバウダリーの町にある自宅へ帰っていった。


――――――


 深夜のメルディエズ学園、普段大勢の生徒で賑やかになっていた学園も今は静まり返っている。寮で暮らしている生徒や教師も全員眠りについており、起きている者は誰もいなかった。

 静寂に包まれる男子寮の廊下をユーキが物音を立てずに移動し、誰にも見られることなく外に出た。

 ガロデスと別れた後、ユーキは役に立ちそうな道具を集めて町を出る準備をし、生徒たちが寝静まった午前零時に行動に移った。

 ユーキが愛刀の月下と月影、これまで熟した依頼で手に入れた報酬の金銭、地図や保存性のある食料など必要最低限の持ち物を肩から下げる革製の鞄に入れて持ち出した。

 服装はメルディエズ学園の制服だが上着だけは脱いでいる。ユーキがバウダリーの町を出れば学園を脱走した者として追われることになるのは間違い無い。そんな中、目立つ上着を着ていれば捜索する追手に見つかりやすくなるため、ユーキは目立たないよう上着は脱いでいくことにしたのだ。

 ただ、ユーキ自身はメルディエズ学園に戻る気があるため、生徒として再び学園に戻る意思を忘れないよう上着の下に着る白い長袖と学園の長ズボンを穿いており、首には青いネクタイを巻いている。


「さて、行くかな」


 荷物を確認したユーキは振り返り、目の前にある男子寮を見上げる。今頃寮ではフレードやカムネス、ディックスたちが眠っているだろう、そう思ったユーキは少しだけ寂しさを感じていた。


「……また先輩たちと笑って過ごすためにも絶対に元に戻って帰ってこないとな」


 改めて自身の体を元に戻すことを決意したユーキは手を強く握る。そして次に男子寮の隣にある女子寮に視線を向けた。

 女子寮を見たユーキはパーシュ、フィラン、ロギュンのことを思い出す。だがそんな中、アイカの笑顔が他の女子生徒たちよりも大きくユーキの頭の中に浮かんでいた。


「アイカ、何も言わずに出て行ったら君は絶対に怒るだろう。……無事に帰ったら気が済むまで怒っていいから、今は許してくれ」

「そんな謝罪で許すと思ってるの?」

「!?」


 静寂の中で声が響き、ユーキは大きく目を見開いて驚く。咄嗟に声がした方を向くと、そこには不機嫌そうな顔をするアイカが立っていた。


「ア、アイカ、どうして此処に?」

「決まってるでしょう? 貴方を待っていたのよ」


 そう言うとアイカはツインテールを揺らし、不機嫌そうな顔のままゆっくりとユーキの方へ歩き出す。ユーキはアイカが歩いて来る姿を見て迫力を感じたのか思わず一歩下がってしまう。

 アイカは制服を着てプラジュとスピキュを佩しており、肩にはユーキの鞄よりも一回り小さい鞄を掛けていた。どう見てもこれから寝る人間の姿ではなく、アイカの姿を見たユーキは小さく反応する。


「貴方、学園を出るつもりなんでしょう? ……私も一緒に行くわ」


 やっぱり、ユーキはアイカの言葉を聞いてそう思った。アイカが現れたタイミングと格好を見て彼女が何を考えているかなんとなく察していたが、できれば違ってほしかったとユーキは願っていた。


「……ダメに決まってるだろう。俺と一緒に行けば君も学園から追われる身となる。と言うか、どうして俺が学園から出ることを知ってるんだ?」

「スローネ先生が教えてくれたの」

「スローネ先生?」


 意外な人物の名前が出て来てユーキは思わず訊き返した。


「スローネ先生、学園長が遅くに外に出ているを見つけて、気になって尾行したみたいなの。その時、男子寮の裏でユーキと学園長の話を聞いて、ユーキが深夜に学園から出て行くことを私に知らせに来てくれたの」

(あの時、背後から聞こえた音は気のせいじゃなかったのか。しかもスローネ先生が聞いていたとは……)


 ガロデスと会話していた時に音の正体をちゃんと確認しておけばよかったとユーキは心の中で軽く後悔する。


「ユーキ、貴方は右手がベーゼ化したことで軍に引き渡されることになったんでしょう? だから気付かれないように学園を出て、体を元に戻す薬を手に入れるために帝国へ向かおうとしている」

「……ああ」

「だったら、どうして一人で行くの? 私も貴方と同じで瘴気で体がおかしくなっちゃったし、いつ何処でベーゼ化するか分からない状態なのよ? だったら私もついて行って一緒に元の体に戻るのが一番じゃない」


 同じ立場なのにどうして自分を残して行ってしまうのか、アイカはユーキの考えに納得できず不満を感じていた。同時にユーキが自分を置いてメルディエズ学園を去ろうとしていたことを悲しく思っている。

 ユーキは返事を待っているアイカの顔を見ると真剣な表情を浮かべて口を開いた。


「君は俺と違ってナトラ村から戻ってから一度も体がベーゼ化していない。今の段階では学園側も君を危険な存在としては見ておらず、軍に引き渡されることは無いって学園長は言っていた」

「ええ、それもスローネ先生から聞いたわ」

「軍に引き渡されないのなら、わざわざ俺と一緒に学園を抜けて追われるよりも、此処に残して元に戻る薬ができるのを待った方が安全だと思ったんだ」


 アイカを危険な目に遭わせることなく元の体に戻すことができるのなら、そっちを選んだ方がいいと思っていたユーキはアイカに自分が思っていることを素直に話す。アイカはユーキの説明を黙って聞いていた。


「俺と一緒に行動してもしもガルゼム帝国にいるって知られたら、教頭や軍に引き渡そうと考えている先生たちは追手を差し向けるはずだ。そうなれば今まで一緒にベーゼと戦って来た仲間たちと戦うことになるかもしれない。君を仲間たちと戦わせたくないし、何よりも危険な目に遭わせたくないんだ」

「だから貴方は自分だけ追われる身となってガルゼム帝国にいる五聖英雄を探すことにしたのね」

「俺といれば、君に迷惑が掛かっちゃうからな」

「それは貴方が勝手にそう思ってるだけでしょう!」


 力の入った声を出してアイカはユーキの言葉を否定する。ユーキは鋭い眼光のアイカを見て思わずたじろいだ。


「ユーキ、私は例え学園に追われることになっても、友人である生徒たちと戦うことになっても貴方と一緒なら何も怖くない。寧ろ、貴方一人が皆に襲われて傷つけられることの方が怖いの」


 アイカは先程とは違い、静かな声で自分の気持ちをユーキに伝える。ユーキは真剣に想いを伝えるアイカの顔に思わず見惚れてしまう。


「貴方が私のためを思っているのは分かるわ。でも、私も貴方ために何かをしたいの。貴方が辛く険しい道を歩もうとするのなら、私も一緒に歩きたい。……それが私の意思よ」

「アイカ、君はどうしてそこまで……」


 なぜ自分のためにアイカが危険な道を選ぶのか分からないユーキはアイカに尋ねようとする。すると、アイカは両手をユーキの背中に回し、その小さな体を抱きしめた。

 突然抱きつかれ、豊満な胸に顔を押し当てられたことでユーキは目を丸くしながら驚き、頬を赤く染める。転生前も若い女性に抱きつかれたことなど無かったため、この時のユーキはかなり動揺していた。


「……ユーキ、私は貴方が好き」

「!!」


 抱きしめながら告白するアイカにユーキは目を大きく見開く。アイカの言葉を聞いたことでユーキの中から先程まで感じていた驚きや動揺は綺麗に消えた。

 これまで何度も一緒に戦場に出てベーゼやモンスターと戦ってきたアイカが自分に好意を懐いていたことを知ったユーキは思わずアイカを見上げる。アイカは真剣な顔でユーキを見つめた。


「好きな人が危険な目に遭ったり、苦しんでいる姿を見て何もせずにいるなんて私にはできない。ユーキのことが好きだから、私は一緒にいたい」

「す、好きって、俺は十歳のガキなんだぞ?」

「体は十歳でも中身は私より年上でしょう? それに人を好きになるのに年齢差なんて関係ないわ」


 アイカの返事を聞いたユーキは言い返せずに複雑そうな表情を浮かべる。色々な情報がいっぺんに頭の中に入ってきているせいかユーキは少し混乱していた。

 頭の中が整理できていないユーキを見たアイカは抱きしめたまま話を続ける。


「私はパーシュ先輩たちみたいに強くないかもしれない。だけど貴方を助けたい、護りたいと言う気持ちだけは誰にも負けないつもり。ユーキと一緒に歩いて、貴方が困ったり、苦しんだりしているには助けてあげたいの」


 改めてアイカは自分がユーキを強く想っていることを伝え、ユーキはアイカをジッと見つめる。


「……さっきも言ったように俺と一緒に来れば仲間だった生徒たちと戦うことになるかもしれない。もしかすると、パーシュ先輩たちと戦うことになるかもしれないんだぞ?」

「それはユーキも同じでしょう?」

「薬を手に入れる前に学園の追手に捕まれば軍に引き渡されて色々な実験をさせられるかもしれない。もしかすると、捕まることなく殺される可能性だってあるんだぞ?」

「貴方と一緒なら何も怖くないわ。貴方が捕まったり殺されそうになった時は私が助ける」


 迷いを見せずにアイカは答え、ユーキはそんなアイカを見て小さく反応した。

 色々な苦難が待っているかもしれないのにそれを承知の上で一緒に行こうとする覚悟、何が起きても助けようとする意志、アイカの気持ちを知ったユーキは胸が詰まったような気持ちになった。


「……俺もまだまだだな」


 そう言うとユーキはゆっくりと後ろに下がってアイカから離れ、彼女の顔を見つめる。アイカはそんなユーキを不思議そうに見ていた。


「ここまで俺のことを想ってくれているのにそれに気付かずに一人で勝手に決めて、一人で何とかしようと思っていたなんて馬鹿な男だよ。何より、俺から言うべきだった言葉をアイカに先に言われちゃったんだから、情けないったらありゃしない」

「え?」


 アイカはユーキの言葉の意味が分からず声を漏らした。ユーキはアイカを見つめながら真剣な表情を浮かべる。


「……アイカ、俺も君が好きだ」

「ッ!」


 ユーキも自分を好いていてくれたと知ったアイカは少し驚いたような表情を浮かべた。


「本当は二日前、医務室にいた時に伝えたかったんだけど、あの時は先輩たちが来ちゃったし、この二日間は色んなことがあって伝える機会が無かった。……ゴメンな」

「ユーキ……」


 苦笑いを浮かべながら謝るユーキを見てアイカは無意識に微笑んだ。てっきり自分の片思いかと思っていたが、ユーキも自分に好意を懐いていたと知ってアイカは心の中で大きな喜びを感じていた。


「アイカ、俺も君と一緒にいたい。君が困っている時は助けてあげたいし、苦しんでいる時は支えてあげたい。……だけど、今は君の優しさに甘えさせてほしい」


 ユーキは再び真剣な表情を浮かべてアイカの顔を見る。


「俺と一緒に来てくれないか?」


 プライドを捨て、ユーキは自分の本心をアイカに伝える。アイカの想いや覚悟に答えるためにも、格好つけずに思っていることを正直に伝えようと考えたのだ。


「……最初から言ってるでしょう? 私は貴方と一緒に行くって?」


 優しく微笑みながらアイカは答え、返事を聞いたユーキも笑みを浮かべる。先程までは一人でも問題無く薬を手に入れられると思っていたが、アイカが一緒に行くことになった途端、より薬を手に入れやすくなるだろうとユーキは感じていた。

 アイカの同行が決まるとユーキは鞄に手を入れ、ガロデスから受け取った特別通行書を取り出した。


「まず、バウダリーから外に出てガルゼム帝国へ向かおう。この通行書を見せれば深夜でもバウダリーの正門を通過することができるらしい」

「なら、急いで町へ行かないとね。……あっ、そう言えば」


 何かを思い出したアイカは自分の鞄から何かを取り出す。それは白い小さなふみ揃え封筒だった。


「アイカ、それは?」

「スローネ先生から預かったの。私がユーキと一緒に行くって先生に話したら、これから会いに行く五聖英雄にこの手紙を渡してほしいって」

「手紙? スローネ先生ってスラヴァ・ギクサーランさんと知り合いなのか?」

「さあ?」


 アイカは小首を傾げ、ユーキも腕を組んで難しい表情を浮かべる。


「……まぁ、今は手紙のことよりも町から出ることだけ考えよう」

「ええ、そうね」


 余計なことをは考えず、バウダリーの町から出ることだけを考えることにし、ユーキとアイカはメルディエズ学園の正門がある方を向いた。


「それじゃあ、町へ行きましょう」

「ああ。……あっ、それとアイカ、念のために上着は脱いでいってくれ」

「えっ、上着?」

「もし俺たちがガルゼム帝国に向かったことを学園が知ったら間違い無く追手を差し向けてくる。その時にメルディエズ学園の上着を着ていたらすぐに見つかる可能性がある。見つかり難くするため、上着は置いていった方がいい」

「成る程……」


 ユーキの言っていることに一理あると感じたアイカは言われたとおり上着を脱ぎ始める。上着を脱いだことでアイカは首に赤いリボンをつけ、白い長袖とスカートだけの姿となった。

 アイカは脱いだ上着をどうするな悩んだが、持ち歩いて荷物を増やすのもどうかと思ったため、その場に脱ぎ捨てていくことにした。例え脱ぎ捨てても見つけた人はただの落とし物だと思うから問題無いだろうとアイカは思っていた。


「そう言えば、グラトンは連れて行かないの?」


 ユーキに懐いているグラトンを連れて行けば頼もしい存在になると感じたアイカはユーキにグラトンをどうするか尋ねる。ユーキはチラッとアイカを見ると軽く首を横に振った。


「アイツは置いていく。体の大きいアイツを連れて行けば目立って追手に見つかるかもしれないからな。それに、関係の無いアイツを巻き込みたくない」

「そう……」


 グラトンのためを思って連れて行かないことにしたユーキをアイカは見つめる。最初に自分のことを考えて連れて行こうとしなかったこと、グラトンを大切に思っていることからアイカは改めてユーキは優しい少年だと感じた。

 ユーキは他に問題や忘れていることが無いか確認し、大丈夫なことを確認するとアイカに視線を向ける。


「よし、行こう」

「ええ」


 ユーキとアイカは誰もいないメルディエズ学園の敷地内を走り、正門へと向かっていく。光の届かない暗い場所へ向かう二人の姿はやがて見えなくなった。

 先程までユーキとアイカが立っていた場所の近くにある木の陰で誰かがユーキとアイカが走り去っていた方角を見ている。それは白い寝間着を着てナイトキャップを被ったスローネだった。

 スローネはユーキとアイカが出発する姿を見て小さく笑みを浮かべ、二人を見送るとアイカが脱ぎ捨てた上着を広い、何事も無かったかのように教師寮へと帰っていく。


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