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初恋の幼馴染に再会しましたが、嫌われてしまったようなので、恋心を魔法で封印しようと思います  作者: 皇 翼


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2.

ゼルクが此方の魔導院に帰ってきてから数日。既にラウンズベルク国立魔導学院での授業は始まっていたが、初日以降彼と会う事は殆どなかった。


なにせ今の私と彼ではクラスが違う。私は魔術師で彼は魔導士。5年前は私も同じ魔導士だったから授業は全部同じだったが、私が魔術師に転向した今となっては顔を見ることすらほとんどない。


それくらいに魔導士と魔術師は授業内容が違うのだ。特に私達は高等部の人間といえどまだ一年生。授業のカリキュラムは専門的なもので組まれているが、まだ実践は少ない。パートナーも決まっていなく、基本的に一緒に居るべき存在である魔導士と魔術師が切り離された状態なのだ。

それ故、()()()()()()は接点すらない。



そもそも魔法と言うのは独りで使うことができない代物である。特殊な魔道具などがあるなら別だが、基本的には魔法を生成するのと行使するのは概念的に真逆だ。しかしその二つは同じ体内の『魔動器』という器官で作る。


けれども、並の人間では魔動器で魔法式を組み立てた後にそれを自分の中で維持して放出というのができない。


それは何故か。魔法の組み立てから放出までを単独でやるとなると魔動器の機能の切り替えをしなければならない。簡潔に言ってしまうと、その切り替えの部分で不具合が起こるのだ。詳しいことはよく知らないが、魔法式を組み立てた後に放出するために魔動器の切り替えをしようとすると魔力の質が変わってしまい、組み立てた魔法式の魔力を維持できないらしい。



魔法と言うのは基本的に魔術師が作った術式を魔導士が実現するというようなイメージで作り出される。


しかし魔法を組み立てて作る側と放出して行使する側。その原理は真逆だ。だから魔術師と魔導士ではやることが全然違う。


まず魔術師は魔法式の作り方は勿論、属性の組み立て方と割合いによる効果、魔導士に送る魔法の伝送式の効率化や伝送時に入るノイズのようなものの影響の大きさの計算、それに対する処置などを学ぶ。


その逆に魔導士は魔術師から送られた式をどのように自分の身一つで実現するかや作成された魔法式の逆分析をして効率的な実現の仕方などを学ぶ。あとは魔導士の方が体を鍛えるカリキュラムが多いというのも特徴の内の一つだ。


強靭な魔力は強靭な肉体と精神にこそ宿る。

魔導士は大きな魔力の制御をする必要があるので、強靭な肉体が必要なのだ。


逆に私達魔術師は、魔力と肉体の清浄化のカリキュラムが入る。

清廉なノイズのない魔力は美しい肉体と精神に宿るのだ。


まあいうなれば魔術師と魔導士では求められる魔力の質が違うということだ。

だから、皆どんなに才能が有っても片方に絞る。両方を取得するなんて無理だ……普通は。

でも私は実は元魔導士である。事情があって魔導士は既にやめて、魔術師をしているが、元々は魔導士なのだ。だから本当は独りでもそれなりに魔法は使えたりする。これは普通じゃないので出来るだけ隠してはいるが。


実のところ、両方に適性がある人間ならできるという仮説は以前から学会でも発表されていた。だが、それを実現できるかもしれないという可能性は色々な大人の事情が絡み合った末に机上の空論と言われてしまったのだ。経緯としては、お偉い人間が『机上の空論』と言ったせいで、誰もそれ以降は挑戦する人がいなくなってしまっただけである。私もその否定していたはずの上の人間に目をつけられたくない故に隠していると言っても良いだろう。


しかしこれは予測だが、ゼルクも魔法は簡単なものなら一人で出来ると思う。

なにせ彼は私の昔からの唯一無二のライバルだ。出来なかったとしても、開発した魔道具とやらでいくらでもなんとかして見せるだろう。彼ははそういう人間なのだ。


とにかく、普通に学んで暮らしていると魔導士と魔術師は会う事はない。


会うとしたら、昼食や授業の合間の移動くらいだと思う。けれど、どの時間もゼルクは沢山の女の子に囲まれていて、いくら幼馴染で好きだと思っているといえども自分から彼の方に飛び込んでいく勇気など出なかった……女という生き物は怖いものなのだ。それに向こうから話しかけて来ることなど皆無だ。昔から私から話しかけることはあっても、向こうから話しかけて来ることはほとんどない。あれはそういう男である。

ゼルクが女の子に囲まれているのを見て、何かしらの感情を抱かないわけでもないが、それと同時にゼルクは女嫌いなので大丈夫だろうと思ってしまう。

現に彼は女の子に囲まれていても基本的に機嫌が悪そうな態度を貫いていて、迷惑そうなのを隠そうともしないが、隣にいるフェリクスは嬉しそうなのできっと放っておいても問題はないだろう。


この時の私はそう、完全に油断しきっていたーー。

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