13.
※前話ちょっと改稿してます。
「おい、テレスタシア」
「……ゼルク様、ですか」
あれから。何故か何度もしつこくゼルクに呼び止められていた。言われるのはもう珍しくなくなった謝罪、最近は何かあったのかという疑問と、なんでもないふりをするくらいに怒っているのかと聞かれるのだ。本気で毎回意味が分からない。
そして声をゼルクに声を掛けられる度に、ディリアの機嫌が悪くなる……というか、なんだか落ち込んだような様子になるのだ。なんだか様子がおかしいゼルクよりも、いつにない態度で暗くなってしまうディリアが心配で、気になった。
「そんなにあの時の俺の態度がお前を怒らせてしまったのであれば謝る。すまなかった。だから、以前の……俺の事を小馬鹿にしたような態度のお前に、敬語なんて使わずに俺を真っ直ぐ見つめてくれていたお前にもどっ――」
「馬鹿にしたような態度?もう子供じゃないんですから、そんなことはしませんよ。私は伯爵家、貴方は公爵家の人間なので、立場は弁えているつもりです」
「だが、以前のお前は……違かっただろう」
「そんなこと……っ頭が――」
最近はいつもこうだった。
ゼルクに詰め寄られると、頭が酷く痛むことが増えた。だからこそ彼と話したくないというのもある。それに一人の時も、ゼルクの言っていたことをふと思い出して酷い頭痛に襲われるようになった。正直なところ、この頭痛のせいで、もうゼルクと話したくないと思っている自分がいる。なんだか頭の痛みと共に心の奥が抉られる様な気持ち悪さがあるのだ。
「テレスタシア!?大丈夫、なのか?」
「……だい、じょうぶ。だから、放っておいて」
床に蹲りそうになったが、ディリアに支えられてなんとか立ち上がった。
心配してくれているのはありがたくはあるが、早くゼルクから離れたい。一秒でも早く彼の事を遠ざけて、忘れたい。だって、このまま彼の言う通りにしたら、何か大変なことが起きてしまう、そんな気がした。そう、私の本能が訴えかけていたのだ。
「だが――」
「もうテッサに関わらないでくれないか?」
「……ディリアと言ったか?お前には関係ないだろう」
「関係ある。俺は女性として、テッサの事が好きだからな。お前と違って。好きな人が苦しんでいる原因を取り除きたいと思うのは当然だろうが」
「は?」
「ディリ……ア?」
まだ引き留めようとしていたゼルクに対抗してなのか、ディリアが私の事を支える体勢から抱き寄せるような態勢に変わる。
急な告白に顔が赤くなってしまった。いや、よくよく考えると、以前にもディリアに告白はされたが、その時はなんやかんやで有耶無耶になった気がする。何故だかこの辺も記憶が薄くなっているのが不思議だが。
とにかく、今この時までディリアは自分の気持ちを改めて伝えてくるようなことはなかった。だからこそ驚いてしまったのだ。まさかゼルクがいるような大衆の場で言ってくるとは。
「行くぞ、テッサ」
「えっと、うん」
友人として隣に居た時には感じなかった胸の高鳴りを覚えながら、ディリアに手を引かれて、呆然とするゼルクから逃げ出したのだった――。




