31.Interlude・3
「もう乗馬をマスターしたのか」
「うん。だって、いくらお飾りで何もしなくていいって言われてもね、やっぱり何か役に立ちたいもの」
「嬉しいことを言ってくれる。それで? 具体的に何をしようとして乗馬を?」
「うん。……あのね、あたしも連れて行って」
「…………」
「無理、かな。あたしはシヴァについていきたい。好きな人に置いて行かれるのはもう嫌。
大丈夫、あたしこれでも、キャンプとか好きだったから! ライブ遠征なんて、夜行バスと携行食で乗り切ったこともあるんだし! 簡単には音を上げないよ?」
「違う、そうじゃない。私はあなたを少しでも危険に晒したくはないのだ」
「あたしだって! シヴァが危険な所に行くのは嫌なの!
でも、シヴァは総司令官なんでしょ? 一緒にアルバーノ城に留まるわけにはいかないんでしょ? だったら、だったら! あたしが一緒に行くことで、軍の士気が上がれば! シヴァの危険が少しでも減るかもしれないじゃない!」
「ユタル神殿はラヴィソフィ領の中でも奥の方、メーヴよりも向こう側にある。攻略は簡単にはいかないだろう。全てが終わり、聖地を取り戻して安全を確保してから、あなたに来てもらいたい」
「じゃあ……」
「分かってくれたか」
「じゃあ、あたし、ずっとシヴァの隣にくっついてる。それなら安全でしょ?」
「本陣を狙われる危険はゼロではない。そして、総司令官の代わりはいくらでもいるが、聖女の代わりはいないのだよ」
「違う、シヴァの代わりもいない!」
「…………」
「…………」
「……無理だ。私には…………」
「はぁ。……この手は使いたくなかったんだけど。
あたしは聖女。皇王や神官長と同等の権力を持つ者。
聖女シオン・アサカの名において命じます。シヴァ・ル・フェイファー総司令官。聖女の神聖軍への従軍を許可しなさい」
「くっ…………仰せのままに」




