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RPGの世界で生き残れ! 恋愛下手のバトルフィールド  作者: 甘人カナメ
第一章 ゲームの世界へ、こんにちは
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1.プロローグ

暫くは完結済み連載と共通のため、一日三話ずつ連載していきます。



「今年度も無事納められたことに」

「かんぱ~い!」

「明日からの一年も頑張ろーねー」


 今日は私と親友、2人だけの年度お疲れ様会。

 行き付けのカジュアルバーで、私はホワイトレディ、向かいの親友――紫音(しおん)は大ジョッキの生ビールを軽く掲げた。




 ******




 我々の紹介をしよう。




 とりあえずビールなんて慣習知ったことかと一杯目からホワイトレディを頼んだのが私、渡辺(わたなべ)美和(みわ)。27歳。お酒はカクテル派。

 女性にしては背が高い方。真っ黒マニッシュショート。メガネはアンダーリムのスクエア型。とにかく全体的に黒っぽくて固そう。

 地元大学の大学院修士まで進学した後、地元食品メーカーの研究職となる。明日から社会人4年目。

 ゲームやアニメが好き。趣味は料理とイラスト描き。インドア趣味で凝り固まった身体をほぐすため、たまにヘッドスパやマッサージをしてもらうのがプチ贅沢。

 背が高いせいで、キッチン作業台の高さが微妙に合わなかったり、シンク上の吊り戸棚に頭をぶつけたりするのが小さな悩み。


 乾杯直後に大ジョッキの半分以上を一気に空けたのが、我が麗しの親友、朝霞(あさか)紫音(しおん)。27歳。お酒といえば断然ビール、次点でハイボール。

 女性にしても背が低い方。地毛でも色素の薄いふわふわロング。視力は良くて茶色のくりくりお目々がパッチリ見える。とにかく全体的に白っぽくてふわふわ。

 私と同じ大学を4年で卒業した後は地元の金属系メーカーで経理として働く。明日から社会人6年目。

 アイドルや俳優が好き。フットサルやテニス、ライブに行くのが趣味。アウトドア趣味で日焼けすると真っ赤になって大変だから、美白を始めとする化粧品全般に気を遣うのが日常。

 背が低いせいで、スタンディングのライブ会場の時は悲しい思いをするのが大いなる悩み。




 こんな正反対の私たちが出会ったのは高校2年の時。

 2クラス合同の授業で1組最後の私と2組最初の紫音は席が前後だった。私の陰になった黒板の文字を見たいから少し斜めになって、と背中を突かれたのが最初の会話だった。

 お互い、見た目と中身のギャップが激しいことが分かって、仲良くなった。私たち自体も相当凸凹コンビだったから、周りも何となくセットで考えてたみたい。

 志望校も同じだったから、しょっちゅう一緒に勉強した。で、私は農学部、紫音は経済学部に合格。

 大学入学後も学部が違うのにできるだけ時間を合わせてカフェに行ったり飲み会をしたり。

 紫音が一足先に社会人になっても、定期的に会っては、近況報告という名の愚痴を言い合ったりしていた。




 そんな私たちの定期飲みの一つが、3月31日の夜に開く、年度お疲れ様会なのだ。




 ******




「で、紫音の彼氏は最近どうなの」

「あー、あの人。先々週に別れたの」

「……おぉう。そりゃまた何故」

「異動になって遠距離になりそう、って切り出されて。あたしはそれでもいいよー、って言ったんだけど。あっちが嫌だったみたいで」

 

 軽く言ってるけど、あ、これ結構悲しんでる表情だ。

 

「結婚考えてたんでしょ?」

「そう。だから、そっちが落ち着いたら後から私も付いてく、って話もしたんだけどさ。ダメだった」

 

 紫音は凄くモテるけど、遊んでる訳じゃなくちゃんと一途で将来も見据える子だ。だけど、相手になかなか恵まれないみたい。

 ……私? そもそも相手がいないよ。いい雰囲気になって告白しても大抵は空振りだよ。

 だから、アドバイスなんて何もできないから、とにかく愚痴を吐き出させる係。

 

「よし分かった。いくらでも話を聞くぞ、紫音の終電まで。ただし明日ちゃんと仕事行けるように深酒はナシの方向で」

「ありがとー、さすが美和ちゃんだよー!」




 そんな風に、また明日から仕事と趣味、たまの紫音との語らい……そんな毎日が始まる、はずだったんだ。




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