第一話:始まりはいつも突然で……
◆第一話:始まりはいつも突然で……
この物語はハッピーエンドになるまでの悲しい運命を辿った多数の勇者の始まりになった一人の勇者の物語。
昔から物語はいっぱい書いてきた、でも一度だって完結させた事はなかった。
深夜二時半、狭い僕の部屋のベッドの中、物語を考えていた。
もう少しで完結する、そんな所でずっと迷っていると、あるアイディアが浮かんだ。
それからクライマックスまでを一気に書き上げた。
やっと完結、そろそろ寝ようかな……眠くなってきたし。
そんな事を考えていると目の前が急に真っ白になって……
暗闇が晴れると、そこは木々に囲まれた森の中だった。
「ここは……僕の考えた……」
そう、ここは勇者が考えた物語の世界。
そしてその物語の始まりはたしか……。
「混乱する勇者に三匹の魔物が、って……まさかね」
混乱する勇者に三匹の魔物が襲いかかる。
「くそっ……誰だよ、こんな目のくりくりした可愛い狼に襲われるなんて設定にしたのは!」
それはもちろん勇者である。
魔物は勇者の肩を少し切り裂き馬乗りになった。
「んっ……くっ」
尚も魔物は勇者の足や手、肩を切り裂き続けもう勇者は血まみれだ。
「くっ……フレイブ!」
最初の仲間登場と言う基本パターンをぶち破り勇者は、魔法を使った。
「キャウン!?」
三匹の魔物は一瞬にして火に包まれ、しばらくして灰になった。
なんとか魔法を使い魔物を倒した勇者だが、もう虫の息だ。
ここで終わりか……。
「困りますよ、そうなったら」
綺麗な透き通った声、茶色のロングヘアーに白い天使の翼。
現れた女性は間違い無く勇者が考えた天使だった。
外見から想像して勇者と同い年ぐらいのまだ幼い天使だった。
「お休みなさい、勇者さん」
天使はそう言うと勇者に回復魔法をかけた。
あれ、眠たくなってきた……お休み……。
勇者が目を覚ますと天使の声が聞こえた。
「起きましたか、もう大丈夫なんですか」
優しく穏やかな声に少し安心した、そう言えば全く痛む場所が無い……魔物に切り裂かれた傷も、あとも残らず消えていた。
「ありがとう、おかげで助かったよ」
「いえ、気にしないで下さい。そうゆう運命ですから」
そう、こうゆう運命なんだ、この娘も魔王の……
「あっ私の名前はカレン・コバーン、よろしくです」
カレンがそう言うと真っ白な歯が見えた。
「うん、よろしく」
ちなみに少し無愛想だけど、僕は高一からの引きこもりだから人との話し方を忘れただけだからね。
……そっそうだ、簡単にこの世界を振り返ろうかな。
まずはこの大陸の名前は、確か……<ジェミニ大陸>その名の通り、ひょうたん型の大陸で真ん中部分は非常に細い。
次は魔王について、魔王の名前はルビー。
平和なジュミニ大陸にいきなりやって来て、一気に大陸全土を支配した。
最後に僕の目的は……魔王を倒し、捕らわれの姫様を助け姫様の力で元いた世界に戻ること。
まぁこのままいくと僕は……
まぁそんな事はどうでもいいや、自分が考えた事だしね。
この名前は全て友人が名付けてくれたもので、自分で考えたものじゃあない。
だって僕はネーミングセンスゼロだもん。
「お腹すきましたね」
そういや、お腹がすいた……。
「何か取ってきますね」
そう言ってカレンは元気よく飛び出してった。
しばらくしてカレンが戻ってきた。
「すみません、こんな物しかありませんでした」
少々悲しげに言うカレンだが、取ってきた物は果物など。
これだけあればいいんだけどね。
「ありがとっ、君がいてよかった……」
勇者の素直な気持ち。
勇者がそう言うとカレンは顔を赤らめ少し目を勇者からそらす。
さて、カレンに一番近い町に案内してもらっているんだが、遠いな……ずいぶん。
「すみません、もう少しでつきますから」
勇者の顔でさっしたのかカレンが答えてくれた。
「ごめん……」
僕が書かなければこんな事には。
「気にしないで、これが運命ですから」 勇者の運命を知る数少ない登場人物。
妙に嬉しかった、自分で言わせたんだけどね……。
「そういえば、勇者さんの名前は?」
「無い……」
正確にはある、響きはいいが自分には似合わない。
「じゃあなんて呼べばいいですか」
う〜んどうしようか……このさいカレンが適当に決めて、僕はネーミングセンス無いし。
あっでも、僕が考えたキャラなんだから一緒か。
「う〜ん、勇者のユウさん」
「却下」 大好きな親友の名前で呼ばれるのは嫌だよ。
「創造主のソウさん」
目を輝かしてこちらを見るけど結論却下だ。
「う〜ん……」
滅茶苦茶考えてるカレンはとても可愛らしい。
「…………勇者さん」
「何?」
結論
僕は勇者、名前はない。
それから少しボーっと空を見ながら歩いた、森といっても空ぐらいは見える。
「勇者さん、まずは武器を買いましょうか」
いつのまにか町についていた。
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ではまた次のお話で。