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no title(20xx_10_31)

作者: イノチヅナ
掲載日:2015/04/27

【相良 優一】三宅 智裕の幼馴染。運動以外平均以下のバカ、やるときはやると見せかけてやらない男だけど本当にやるときはやる。


【月岡 美咲】転校生。明るくて人気の子。七瀬 葵の恋を応援してあげるが、自分も実は…


【三宅 智裕】

相良 優一の幼馴染。几帳面でキッチリとしなければ落ち着かない。全てにおいてトップクラスの超人。


【七瀬 葵】

面倒くさがりで、なるべく動かない様に生きている。相良 優一に想いを抱くが月岡 美咲を思い身を引いている。



そんな彼らが物語の『主人公』。この世界に色をつけハッピーエンドへ導く。


只々、そんな彼らに引っ張られ動く僕らは『モブ』。




「主人公補正とかズルくね?」

【逢坂 晋哉】モブグループのリーダーを気取っている。これと言った特徴は特になしの平凡野郎。


「金にならん話は、どうでもいい。」

【藤間 詩人】ある目的の為に貯金をしている貯金貧乏人。バイト掛け持ちしてる。金銭関係以外の話には興味がない。


「七瀬さん、月岡さん……綺麗だし可愛いなぁ……」

【三枝 柚】地味だけど可愛い。得手不得手がなく目立たない。グループの中で唯一の真面目な人。


「大丈夫だよ~。柚ちゃんも可愛いよ~。」

【白地 雪】 基本私服はジャージ。てかジャージしかない子。寝てる率が高い。三宅と藤間が好きかも…

『はーい、本番入りまーす。3……2……1!』




10月……この時期になると各教室は賑わいだす。

高等学校の大イベントの1つ【文化祭】が近付くからだ。




「金にならねぇ事って無駄だよな。」

「文化祭のこと…?」


昼休みの教室。色の無い3人は教室の後ろで昼食をとっていた。


「疲れるしぃ~、面倒くさいよねぇ~。」

「そ、そんなこと言っちゃダメだよ…!」


守銭奴と省エネ主義の相手をする地味系女子。教室の中心では唯一色のある生徒が机を囲み会議を開いていた。


「ほら…!彼らは頑張ってるんだよ…!?私達も頑張ろうよ…。」

「金にならん。」「疲れるしぃ~眠いしぃ~。」

「んんん…。」


なかなかやる気を出してくれない2人に頭を悩ませ唸っていた。


「そいえばぁ~。詩人って弁当だったけぇ~?」

「弁当の方が安上がりだからな。」


詩人の弁当から卵焼きを手で取り口に入れた。


「お~。んまい~。」

「そうか?雪、後で卵焼き代払えよ。」

「んんん…。」


文化祭に興味のない2人と、まだ頭を悩ませている柚。


「私、将来は詩人のお嫁さんになる~。」

「は?」


雪の急な告白に詩人は顔を赤らめた。そして、それがバレないように顔を窓の外へ向ける。


「詩人は、お金払えば全部面倒見てくれそうだから~。」

「あ、当たり前だ!金は徴収する。」

「でも、第一候補は三宅くんかなぁ~。」


少し残念そうな顔をし口にご飯を詰め込む。


「あ、ほら…頑張れば良いことあるかもしれないよ…!!?」

「柚~。それ何の話~?」

「いきなりどうしたよ。大声出しても意味ねぇぞ。」

「文化祭の話っ…!!……はぁ。」


既に文化祭の事など頭から抜けていた2人に溜め息が出てしまった。


「考えてないで早く飯食えば?残すのは勿体ねーぞ。」

「え…?」


黒板の上の時計を見ると昼休みは残り10分をきっていた。


「あわわ…。」


丸々残っている弁当を一生懸命に口に入れ始めた。

そこへ1人の生徒が駆け寄ってくる。


「詩人、雪、柚!文化祭、俺らで何かやろうぜ!」

「ダルい。却下。」


『自称』リーダーの晋哉は手に持つ資料を詩人へ見せつけ、耳元で囁いた。


「(儲け分は生徒へ還元される。資料を見ろ。)」


資料を奪い、全文に目を通す。そして、読み終わると晋哉へ投げ返した。


「その話……のった。本気を出そうじゃねぇか。」

「よし、原案は任せた。」


詩人は、胸ポケットからメモ帳を取り出し何かを書き始めた。


「えぇ~。私、動きたくないしぃ~。」

「安心しろ。ダラのん系な雪にはサクラをやってもらう。座ってダラダラしてろ。」

「それなら頑張るよぉ~。」


その話を聞くと机に伏せ寝息を立て始めた。


「さすが晋哉…!私には、まとめるの無理だったよ…。」

「わはは!なんたってリーダーだからな!」


昼休みが終わりのチャイムがなり、生徒が教室に戻り始めた。


「5時間目なんだっけ?」

「数学だった気がするよ…?」

「馬鹿には辛い教科だな。」

「晋哉に言われたくなよ…。」


5時間目が始まり教室は静かになった。

晋哉は文化祭について考えていたら隣の席の雪が手紙を投げて来た。


【難しい顔してないで当てられたら答えは『2分の1です!』

 って答えとけば何とかなるよ〜】


(いや、考えてること違うんだけど。それになんだ2分の1って馬鹿でも答えないぞ?まあいいか、適当に返しておくか。)


手紙の返事を書き雪の机に投げた。


【わかった、任せとけ】


手紙を見た雪はまた寝てしまった。そのまま先生に当てられることもなく授業が終わりまた文化祭について考えていると詩人が話しかけてきた。


「なあ、文化祭で屋台出さないか?」


ここの学校ではクラスの出し物は勿論あるが、個人でやりたい人は許可が出ればやってもいい事になっている。


「屋台?焼きそばとか?」

「そうそう、それなら金取れるだろ?」

「へぇ〜、屋台面白そうだねぇ~。」

「私たちだけで出来るでるのかな…。」

「屋台やるには道具必要だろ?それはどうするんだ?」


詩人は胸ポケットからメモ帳を取り出しページをめくった。


「ん?ああ、道具には当てがあるんだよ。いつか金になりそうな事は片っ端から顔突っ込んでおいた方がいいと思ってな。屋台の骨組みもリースじゃなくて建築現場の廃材を使ってーー……」


すっかり自分の世界に入ってしまった詩人は、長々と説明するが3人には分かってもらえなかったようで、?が頭の上に浮かぶ。

ただ1つ分かったのは…


「お前そんだけ顔広いのに何で貧乏なんだよ。」

「うっせ。とりあえず焼きそばでいいか?」

「私は問題ないよぉ〜。」

「私も賛成…!頑張って想い出にしようね…!」

「よっしゃ、それならさっそく準備しようぜ!」


ようやく出し物が決まり、文化祭の準備が始まった。あと残り3週間。

 

文化祭の開催日は10月の30日から2日間になっている。

1週間前にもなると生徒は授業はほとんど聞いておらず早く準備したいと言う気持ちでいっぱいだった。

無事に生徒会から屋台を出しても良いと言う許可が出た晋哉達は準備に取り掛かっていた。


「そう言えばクラスの出し物って何になったんだ?」

「演劇やるみたいだよ〜。」

「三宅君とか月岡さんは、人気者だから結構期待されてるみたいですね…。」

「演劇とか金にならないじゃん。意味ないだろ。」


クラスの出し物そっちのけで自分達の作業を続けていたが、詩人がバイトがあるらしくその日の作業は終わりにして帰り支度を始めた。



ついに文化祭前日、装飾もしっかりされていて文化祭に向けて最終調整をしていた。


「ふぅ…ついに明日だな。(さーて、どれだけ儲けられるかな)」

「そうだね…。今から緊張してきちゃったよ…。」


空を見上げると、夕日は沈みかけ暗くなり始めていた。


「まあまあ、気楽にやろうよ。楽しまないと!」

「緊張しなくても大丈夫だよ〜。柚ちゃん」


晋哉と雪は、最後まで作業してくれていた詩人と柚にジュースを手渡した。


「雪は、のんびりしすぎなんだよ。」

「私は緊張しないのが取り柄なんだよ〜。」

「言われてみれば確かだね…。」

「いや、納得するな柚。」


準備も終わり、やり残しが無い事を確認して4人はいつも通りのメンバーで帰り始めた。


「文化祭、明日なんだね…。やっぱり少し不安だよ…。」


日が沈み、外灯だけが道を照らしていた。


「どうした?そんな弱気じゃ赤字になるぞ。」

「失敗くらい、俺らでフォローするさ!」

「柚ちゃん大丈夫だよ~、晋哉と詩人が何とかしてくれるから私たちは文化祭楽しも〜?」

「雪ちゃん…。ちゃんと手伝おうね…?」


通常運行の3人を見て、不安が消えたのか柚は柔らかい笑顔をみせた。


「まぁ、雪はほっといて…柚、お前には期待してるぞ。」

「むぅ…詩人は酷いな~。私はね、こう見えてもやるときはやるんだよ~?」

「いつも眠そうな奴が何を言っている。」

「ほほ~?本気のサクラ見せてあげるよ~。」

「寝てるだけの奴が、やってみろよ。」

「ちょっと…!喧嘩は駄目だよっ…!」

「柚、ほっとけよ。帰るの遅くなっちまうぞ。」


いつも通り、他愛のない会話をしながら帰るのであった。




「ゴメン……今日も練習行けないや。」

「おい待てよ!3日も連続で休んでるじゃねえか!」


すでに文化祭まで1週間をきっていた。

言葉だけ放ち顔を見せず教室から出ていこうとする葵を優一が引き止めた。


「あれ、あれだよ…。面倒くさくなっちゃった。」

「は?あのなぁ、葵?ちゃんとし「もういいじゃん。葵が言うならしょうがないよ。」………美咲。」


気付くと葵は既に教室から出ていった後だった。

その様子を見ていたクラスメイト達は、ざわつき始めた。


「なぁ、月岡。お前は理由知ってんだろ?」

「な、私は何も知らないよ!」

「………」


智裕は黙って美咲の目を見続けている。


「はぁ……知ってるよ。でも、言えない。」

「なら、相良は七瀬を追いかけろ。お前にしか出来ねぇことだ。」

「……っ!」


優一は、その言葉を聞くと全力で教室から飛び出ていった。

顔を伏せる美咲を連れ智裕も教室から出ていった。






ついに文化祭当日がやってきた。

少し肌寒いが天気は良く気持ちのいい日だった。

詩人は機材の確認をするから先に行くと言う連絡があった為、今日は3人で行くことになった。


「文化祭当日来ちゃったね〜。」

「昨日は、あまり寝れなかったよ…。」

「まあまあ、そんな気張らないで楽しくやればいいさ。」


のんびり会話をしながら学校へ向かい、到着すると詩人を見つけた。


「おはよう詩人。機材はどう?」

「おう、おはよう。バッチリだぜ。」

「でも、改めて思うとよくこんな機材集めたね!流石だね詩人!」

「柚、あまり褒めるな。金が絡んでるから本気出してるだけだろ。」

「コラ、そこ!余計なこと言うなっての。」


柚の緊張も解れたとこで4人は教室へ向かった。教室へ着くと既に半分以上が居て演劇の準備をしていた。


「さぁて!俺たちも最終の打ち合わせすんぞ。」

「そうだな、詩人と俺が作る、柚はどんどん売ってくれ。雪は客の振りしていかにも人気です感を出してくれ。」

「りょーかいっ!」

「「「雪の語尾が伸びてないっっっ!!?」」」

「何さ、皆して。」


結局、いつも通りの気の引き締まらない4人。






教室では衣装の最終チェックや台詞の確認が行われていた。


「やめろって、押すなよ。」


ロミオ役の智裕が入ると教室内の女子生徒は黄色い歓声を上げた。男子生徒の数人も顔を赤らめていた。


「あら、勿体ぶらなくても良いじゃない」


ジュリエット役の美咲が入ると今度は男子生徒が歓声を上げた。


「なあ……相良と七瀬は、まだ来ないのか?」

「え、あ…朝は居た、んだけど……。」


智裕に声をかけられた女子生徒は顔を真っ赤にして途切れ途切れの言葉を発した。


「よし、準備体制に入るぞ!」

「さぁ、体育館に行きましょう」


ロミオとジュリエットを先頭に教室から公演のステージへ向かった。




本番直前、幕の隙間から観客席を覗くと満席で立ち見の人もいた。


「あわあわあわ、超満席だよ…。」

「うわあ…緊張する…。」


クラスの大半が顔を強張らせていた。そんな中、待機室の入り口が勢いよく開かれた。待機室を転がり、そのまま壁に激突し止まった。


「ぐへっ!」

「逃がさんぞ…優一っ!」

「ひっ!!?」


鬼の形相で待機室の入口に仁王立ちしている葵の姿があった。


「え?あおい……ちゃん?」

「え、そうだけど?」

「なんか…いつもと雰囲気が違うね。」

「あぁ、それね。逃げるの止めたから。だって優一が…」

「あー!あー!聞こえない聞こえない!!!」




公演開始のブザーが体育館に鳴り響いた。


「悪い、みんなを待たせちまって。」


公演に参加するメンバーが集まり円を作っていた。


「待たせた分は、全力の演技で返す。絶対成功させるぞ?」


優一が手を差し伸べると、葵が手を重ねた。それを見たクラスメイトも手を重ねていく。


「うし!全身全霊!本気を出していくぞ!!!」

「「「「「おぉぉ!!!!」」」」」






「人の傷を見て笑うのは、傷ついたことの無い連中だ!笑いたければ笑え…僕は痛みを知っている!!」


優一のセリフに、仕草に、観客は黄色い歓声を上げた。順調に公演は進み、クライマックスへ突入していく。




「今、音がしなかったか?」

「どこの不届き者だ?ジュリエットの屋敷に入るのは…」




「ああ、ロミオ…ロミオ! なぜあなたは、ロミオなの?」


美咲の切ない表情、涙ぐんだ瞳、震える声。その全てが観客を魅了していた。


「お父様と縁を切り、家名をお捨てになって! もしもそれがお嫌なら…せめてわたくしを愛すると、お誓いになって下さい!。そうすれば、わたくしもこの場でキャピュレットの名を捨ててみせます。その名前の代わりに、このわたくしのすべてをお受け取りになってください!!!」


城壁を登るロミオ。ジュリエットが手を差し伸べるとロミオは優しく手を握った。


「お言葉通りに頂戴いたしましょう。ただ一言、僕を恋人と呼んでください。さすれば新しく生まれ変わったも同然…。今日からはもう、ロミオではなくなります。」


見つめ合うロミオとジュリエット。観客は、ただひたすら演劇に飲み込まれていく。


「ロミオ…」「ジュリエット…」


そう呟くと唇を重ねあった。歓声が鳴りやまない中、暗幕が下された。




待機室に智裕に手をひかれた美咲が戻ってくる。美咲は顔を伏せたまま顔を上げようとしなかった。


「智裕!なんだよアレ!!台本にあんなの無いぞ!?」

「うるさい黙れ。…月岡、もし僕と付き合ってもらえるなら、その顔を上げて欲しい。」

「……ばか。」


美咲は聞こえないように呟くと、城壁であったことを繰り返した。




暗幕が上がりスポットライトがロミオとジュリエットを照らす。


「あぁ、美しいジュリエット!なぜこんな姿に…君を一人で死神のところには行かせはしない。この身が朽ち果てようとも、二度と君を離しはしない!」


ロミオは毒ビンを取り出し口に含む。苦しみの顔を一切出さず、幸せそうな顔をし倒れた。

そして、照明が消えた。


「ロミオ?何故、私の分の毒を残しておいてくれなかったの!?」


次の瞬間にはロミオとジュリエットの立ち位置が入れ替わっていた。


「待っていて…この剣が私を貴方の元へ連れていってくれる。最後にコレだけは許して……(優一、好きだよ。)」

「(葵……?)」


優一にしか聞こえないように呟く。倒れる優一に長い長いキスをした。


「(息が持た・・なっ!?)」


重ねた唇を離し、ナイフを胸へ刺し物語が終わった。

鳴りやまない拍手と歓声。それは、学校全体に響き文化祭終了のアナウンスをかき消した。




教室には夕日が差し込んでいる。彼らは窓際に集まり座っていた。


「なあ、うちのクラス最優秀賞だってよ。」

「赤字…マイナス…3451…」


晋哉は外で騒いでいる生徒を眺め、詩人は顔を伏せ呪文のように何かを呟いている。


「私も聞いたよ…。相良くんと七瀬さん、三宅くんと月岡さんが付き合うことになったとかも…。」

「……すぅ………すぅ………」


柚は晋哉と同じように外を眺め、雪はいつも通り寝ている。


「俺らも残念賞くらい貰えねーかな。」

「がァァァああ!!誰が機材のオーバーヒートなんて対処出来ねぇよっ!!なんだアレ!!あー…もう死んだ。機材の修理費とかあるしよー…。」


いきなり顔を上げたかと思えば詩人は、窓の外へ向かって叫び再び顔を伏せた。

結果だけ言えば、彼らの文化祭は失敗に終わっていた。

1日目の売上は上々。問題は2日目だった。機材のオーバーヒートで焼きそばを作れる状態ではない為、営業停止。


「支出27181、売上17600、機材の修理費……」


詩人は再び頭を抱え悩み始めた。


「仕方ない、修理費みんなで作るか。」

「え…?どうやって…?」


晋哉は、ニヤッと不敵な笑みを見せた。


「みんなでバイトしようぜ!文化祭の続きだ!!」

「いや、俺のメンテが不十分だったからしなくていいよ。」

「おいおい、綺麗に締めようとしたのに何だよ。」


先程の晋哉の笑みの上を行く笑みを見せた。


「さて、どうやって金を巻き上げるか……くくっ。」

「犯罪は駄目だよ…?ダメだからね…!?」

「おはよぉ~。」


まだ眠たげな目を擦り背伸びをする雪。


「今、何時ぃ~?」

「えっと…今は「おやすみぃ~。」……おやすみなさい…。って、また寝ちゃうの…!?」

「雪が起きたら帰るか。」

「そうだな。」

「そうだね…。」


太陽が沈み、夜が訪れる。雲一つない星空、丸い月。


「あれ~、みんな寝ちゃってるよ~…。まったく~。」






「うーす。」

「お、晋哉。おはー。」

「おはよございます…。」

「すぅ………すぅ………。」


いつも通りの朝。何気ない日常が戻ってきた。


「なーんか、昨日まで文化祭だったが嘘みたいだな。」

「そうだね…。まだ、フワフワ感が抜けないよ…。」


いつも通りメモ帳と睨めっこしている詩人、朝から机に伏せ寝ている雪、遠くの空を眺めている柚、スマホを弄る晋哉。


「よ、逢坂!」

「あー、相良か。おはよう。どうした?」


優一は晋哉に一枚の紙を手渡す。


「ん?『入部届』?」

「逢坂さぁ、俺らの部活入らね?4人とも部活入ってないだろ?」






午前中最後の4時間目が始まり生徒達は静かに座っていた。晋哉は先程の勧誘について考えていたら隣の席の雪が手紙を投げて来た。


【また、悩んでるの~?大丈夫!『2分の1です。』って答えれば問題ないよ~。】


(いや、考えてること違うんだけど。2分の1って今の授業、古文だし。)


手紙の返事を書き先生にバレぬ様に雪の机に投げた。


【お前の頭には『2分の1』しかねーのか!】


「はい、ではこの答えを……逢坂くん。答えてみて。」

「えっ、あ…!」


全く授業と別の事を考えていた為、頭の中が真っ白になってしまっていた。




「はははっ!『に、2分の1です!!』って何だよ!古文の授業だぞっ!はははっ!」

「う、うるせえ!」


昼休みとなり、弁当を持ち集まる4人。そんな中、詩人は腹を抱え笑っていた。


「詩人っ…!あんまり、ふふっ…。笑っちゃ…駄目だよ…ふふっ。」

「柚っ!お前もも敵か?敵なのか!?」

「いえい~。『2分の1』最高~。」

「元は、雪っ!お前のせいだからな!!」


いつも通り下らない事で笑い騒ぐ4人。


「そういや、さっき相良から勧誘あったんだけどさ。」


そう言うと、渡された入部届けを見せた。


「みんなが入るなら……」

「あー、却下。俺は忙しいからな。」

「縛られるのは嫌いだよ~。」

「それじゃ、断っておくよ。」


昼休みの終わりを告げるチャイムが学校に響きわたった。


「あと、2時限頑張ろうね……。」

「放課後に打ち上げするか。」

「よ〜し、体力温存で寝ないとなぁ~。」

「お、良いんじゃないか?今月は余裕あるし。」




 

6時間目の終わりのチャイムが鳴り、周りは帰り支度をしていた。晋哉達も帰る準備をしていると優一が話しかけて来た。


「よう逢坂、部活の件どうだ?」

「あ、相楽か、悪い色々考えたけど辞めとくよ。やりたいこともあるしさ。」

「そうか…わかった。ありがとうな。」


相楽と話し終えた所で隣で雪がニヤニヤしている。


「いつも目立たない晋哉が相楽君と話してると何か面白いね〜。」

「なんだ目立たないって、失礼だな!そんな事よりさっさと行こうぜ、皆支度終わってるぞ。」

「ちょっと待って~。もう少しで準備終わるから~。」


帰り支度を済ませ4人は何処へ行くか話しながら帰り道を歩く。全員が何処でも良いと言い、特に晋哉本人も行きたい所があったわけでは無かった為、近くのファミレスへ行くとに決めた。


「それじゃあ皆、お疲れ様!」

「お疲れさん。」

「お疲れ〜。」

「お疲れ様…!」


特に文化祭の話はせず、いつも通り他愛の無い話をしながら打ち上げらしくのない打ち上げを行った。そろそろ帰ろうと言う話になっり、会計を済ませ外に出ると外は既に暗く少し寒くなっていた。


「改めて皆、お疲れ様。失敗したけど楽しかったよ。」

「来年こそは黒字にしてやる………。」

「来年もやるの…!?」

「楽できるなら私も頑張るよ〜。」

「来年はまた違うのに挑戦だな!」

「次はこそは…」


詩人はブツブツ言いながら既に来年の為の事を考えていた。今回オーバーヒートしてしまった機材は雪の知り合いに直せる人がいらたしく、その人に頼み直してもらう事が出来た。


「今度はオーバーヒートしないようにな。」

「任せろ、今度は大丈夫だ。」

「オーバーヒートしたらまた直してもらえばいいよ〜。その代わり詩人の卵焼き10個ね〜。」

「……自分で作るか。」

「ふふ、来年も皆で出来たらいいな…。」

「大丈夫!俺に任せとけ!」

「お〜、流石自称リーダーだね~。」

「自称は余計だ。」


それぞれの分かれ道まで到着し、自称リーダーの晋哉がいつも通り最初に言った。


「また明日な!」


それに続き皆が言葉を返す。


「おう、また明日。」

「じゃあね〜」

「またね…!」

《どもー、tourmal citrだよー。》

『ユキチです。』

『《二人合わせて【イノチヅナ】です。》』


《いやいやー、やっと完成したねー。》

『お疲れさん。意外と楽しめたよ。』


《楽しめたー♪》

『これを?それとも文化祭を?』


《演劇楽しかったー!》

『知ってる?晋哉達の文化祭の映像残ってないんだけど…。』

《エンゲキタノシカッター。》


『いやー、もうね。次は許さいよ?』

《ゴメンー…。次、頑張るからー。》


《モブ達には頑張って欲しいよねー!》

『主人公達は良い思いしてるからね。』

《次はバトルものでも撮ってみるー?》

『考えどころだな。』


《あ、題名どうするー?》

『題名は…。題名決めるのが意外と一番大変かもな。』

《とりあえず、【学園は今日も】って付けとくよー。》

『よろしく頼むよ。』


『《では、皆様!見ていただいて、ありがとうございます!》』

『駄作ですが』《色々とアドバイス貰えると嬉しいですー。》

『では、また何処で会いましょう。』

《see you againー♪》


『おい、題名は?』

《あ、付け忘れたー。》


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