LOVE&PLANTS
初めてかいたものなので、文がおかしい所もあるかもしれませんが、最後まで読んでくれると幸いです。
こんな感情知らなければ良かった…
「こい」という言葉を知っているだろうか?
魚の「鯉」や「来い」ではない。「恋」だ。特定の異性を強く慕うこと、切なくなるほど好きなになることなどという意味だが、今年で高校三年になる俺こと根岸祐樹の人生とはまったく無縁の言葉だった。
・・・そう、この瞬間までは。
それを見ただけで鼓動は早まり、息さえも上がってくる。手を伸ばせば簡単に触れられそうな距離になのに、手をのばしすことができない。こんな思いは初めてだった。一体、自分はどうしてしまったのだろうか?
数時間前のことだ。いつも通りの退屈な授業が終わり、後は各自解散となった、まだ冬の寒さの残る春の放課後。
ほとんどの連中は部活に行くか、足早に教室を出て帰宅する中、俺はいつものメンバーと教室に居座っていた。
居座っていた、といっても雑談しかしていないのだが。
教卓の方を見ると、中学から腐れ縁の尾形陽介が黒板に〈本日の議題~リア充について~〉と書いてから、リア充爆発しろと、無表情に書きつづけるのを尻目にこのあとの予定について残りの二人と話していた。
「今日特に用事ないだろ。」
鈴木嘉孝が言った。
「ごめんよ、今日はハニーと用事があるんだ。」
自称爽やか系男子こと西村和也が言った。口調がうざいが根は一応いい。だが…
「「本当は?」」
「家帰ってギャルゲーやりたい」
とても残念な男だ。
「祐樹は別に用事とかないだろ。」
「まあ…」
祐樹、と呼ばれて返事をする俺。
この俺こと根岸祐樹は、頭脳明晰、才色兼備、降った女はかずしれ…
「「嘘つけ」つくな」
お前だけには言われたくない二人組に突っ込まれた。
「というかお前、女とか苦手だろうが。」
野太い声で言われると反論する気も起きない。事実そうなので反論のしようがないのだが。
「じゃあ、そうと決まれば行くぞ。」
野太い声と共に嘉孝は席を立ち、帰り支度をしだした。
俺と和也も鈴木が立ち上がるのを見ながら、帰り支度をすることにした。尾形に声をかけようと黒板を見て、ビックリした。黒板はどこにも字が書けないほど白くなり、いくつもの白チョークが床に散乱している。肝心の尾形はというと、手に小さなチョークの欠片を持ち、その手を虚空に揺らしながら「リア充しね」と呟いている。はあ、と軽くため息をついて俺は尾形の頭をひっぱたいて「あれ俺何してた」正気に戻した。
尾形の準備を待っていたら、結局、教室を出たのはそれから15分後のことであった。
季節は暦の上では春だが、冬の残り香が身を貫いた。
「というかどこに行くんだい?」
和也が思い出したように言った。俺と和也もそういえばと思った。鈴木も今頃かよ、という風にだった。
「近くのデパートだ 。」
「何しに?」
「う、」
「う?」
「ウサギを触りに…ごにょごにょ」
野太い声で可愛いことをいうやつだった。
しかも顔がだんだん紅くなってきてるし…ふと、尾形の姿が見えないことに気がついた。
どこだろうと周囲をみると、いた。
辺りをすごく警戒していて、抜き足差し足だった。
「おが…「悪い、これから用事があるからかえる!」」
名前を言い切る前に、早口で理由を言って帰っていった。ちなみに尾形は運動神経がいいので、追いかけても追い付かないのであきらめた。
尾形が急にいなくなってしまったので、残された3人は妙な雰囲気になってしまい、結局デパートに着くまで会話が弾まなかった。
デパートに着くと、場所の確認もせずに、鈴木は急に歩くスピードを触り上げた。ちょっと待て、と言っても止まることはなかった。仕方なく俺と和也は鈴木を追うことにした。
先を行く鈴木は早く、見失わないようにするだけで精一杯だった。しかし、そのおいかけっこも急に終わりを迎えた。
鈴木が急に立ち止まったのだ。
何かを見つけたらしく、そこから一歩も動こうとしない。「どうしたんだよ、鈴木…」駆け寄ってみると鈴木はひとつの看板を見ていることに気がついた。
そこには、たった一行だけでこう書かれていた。
〈ご好評につき終了しました。盆栽フェアはやってます〉
よほどショックだったらしく、肩以外動かしていなかった。
俺と和也は無言で鈴木の肩に手を置いた。
どうせやることもないので、時間潰しに盆栽フェアなるものに行くことにした。
これが自分のこれからをかえる出会いになるかも知れないともしれずに…
今まで意識したことはなかったが、和也と二人きりとは妙な感じだった。なにせ、性格は残念過ぎるが、顔だけは同姓から見てもカッコいいと思ってしまうほどだったからだ。
野獣のような鈴木がいたから誰も視線を向けてこなかったが、鈴木なき今、痛いほどの女子の注目の的であった。
盆栽フェアの会場は距離的には近かったが、精神的には一時間くらいはたっているんじゃないかと思った。
それは、女子の熱い視線と隣から聞こえてくる和也の「よいぞ、よいぞ」という謎の呟きのせいで胃に穴が開きそうだった。
盆栽フェアの会場に足を踏み入れたとたん、体に衝撃が走った。別に殴られたとかではない、ただ目の前の光景に圧倒されたのだ。
目の前に広がるもの、それは黒松や赤松、スギや南天、そのたもろもろの植物たちであった。
松を例にとってみると、基本的なものは高さ30センチしかない。しかし、持っている大きなオーラを感じた。ひび割れた樹皮は力強さを感じさせ、素人目に見ても明らかなほど職人技、と感じさせられた。そんな松の中に一際異彩を放つものがあった。種類は赤松だか、その大きさがおかしかった。先ほどみた松の3倍はあろうかという大きさ。太さもあり、所々樹皮の中身が顔を出している。樹齢80年は軽く越えているらしいが、まったく老いを感じさせない体躯であった。
その大きさと厳かな雰囲気があいまって、思わず呼吸を忘れるほど 見いってしまった。…どれくらいそうしていただろうか、じぶんが呼吸をしていないと気づいたのは本当に酸欠状態になってからだった。
体が熱い、燃えそうだ。鼓動も怖いほど早くなっている。手を触れてみたい。
―この感情はなんなのだろう?
―あぁ、そうか
これが「恋」って感情なんだ…
End
後日談、というかそのあとのことだ。
「祐樹、大丈夫かい?」
和也の心配そうな声で気がついた。
大丈夫だ、と答えたが体はとても熱かった。
「じゃあ、行こうか、鈴木 も来たことだし」
そう振り向き様に手を降ると、鈴木も小さく手を上げた。
「鈴木はもう立ち直ったのか?」
「まあな…ファンキーショップ行ってきたし…ごにょごにょ」
鈴木は体をもじもじさせて、かおを赤く染めた 。
「ほ、ほら、帰るぞ」
鈴木は照れ隠しのようにぶっきらぼうに言った。
そうだね、と和也も応じた。
「悪い、俺少し寄ってくとこあった」
しかし俺だけは帰る意見に賛成しなかった。
「そうなのか、じゃあな」
「また明日」
そういって俺は鈴木たちと別れた。
行き先はもちろん…
おしまい。
これは初めて投稿した小説?です。
まだ短いものを書くのがやっとですが、これから頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。