14話 魔獣
閉じていた目を開けると至近距離に雪さんの顔があった。下に目を落とせば彼女と両手を繋いでいる。
念会話の割り込みには肉体の接触が必要と説明されたが、だからと言って両手に加えて額まで合わせる必要があるのだろうか。そこが疑問だ。
「もう離れても」
「ええ、大丈夫。でも、ルナさんが仲間にならないのは残念ね。ライアさんから貴女の逸話は聞いているんだけど」
「それはゲームの時の話。正直に言って、こうなっても活躍できるとは思えない。ところで……」
「なに?」
「接触が必要なのは分かったけど、こんな体勢になる必要性は?」
「ないと思うけどフィーリングよ、フィーリング。こうすれば通信しやすくなるかなぁ、とか」
「そう」
床に向かい合わせで座る姿勢は儀式じみていて、念会話という不可思議な力を使うのに良さそうだと雪さんには思えたのだろう。
根拠がない言葉だったが、彼女がそう思っているなら反論はない。納得することにして、体を離して立ち上がった。
「通信、終わった?」
「ああ」
すぐ傍で様子を見ていたマサヨシ君が声をかけてくる。心なしかその顔が赤いように見える。さっきまで自分がしていた体勢は、健康な男子には恥ずかしい分類に入っていたようだ。彼が通信に参加しなかった理由もコレだと推測できる。
マサヨシ君は例の全身甲冑を脱いでおり、部屋の隅に置いている。本人いわく、四六時中身に付けるにはキツいそうだ。瞬間的に着脱できるなら休憩時に脱いでおくのも手だろう。今はチノパンにシャツとラフな格好をしている。それでも彼の逞しい体は筋肉による天然の鎧を着けていて、見た目の重厚さは変わらない。
「外の連中は路上で堂々と野営しているし、長期戦かな」
「ムカつきません? あいつら」
「同意できるけど、ケンカはふっかけないでね。被害はあたし達にくるんだから」
「分かってるって、昨日でこりたよ」
「ホントに? な~んか反省の色が見えない気がする」
「ホントだって。つうか、オレが行かなければお前が危なかったろ」
「それはそれよ」
「なんだそりゃ」
雪さんとマサヨシ君が楽しげに話し始めたので、自分は窓に近寄って外の様子を窺う事にした。
太陽の残照がある中で、自分の月詠人としての能力はまだ万全ではない。だが、外の暴徒連中が焚いているキャンプファイヤーはここからでも良く見えた。薄暗くなる街の路上の真ん中で、彼らは集めた木材を燃やして夜を開かそうとしている。
今日一日彼らの様子を窺っていたが、彼らは報復などは二の次と考えているらしい。
街路から街路へ場所を変えつつ略奪していく。それが彼らの行動方針に見えた。こちらに針路をとった切っ掛けは仲間の死でも、やることは変わらない。周辺の建物からめぼしい物品を奪っていき、漁っていくのだ。なくなれば次の場所へと移動して、また略奪。
屍肉を漁るハゲタカじみている、と言えばハゲタカに失礼になるだろう。そんな連中だ、捜索が疎かになるのも当然だったのだ。
振り返って、ベッドに眠る妖狐族の少女に目をやる。
端正な顔立ちは転移に伴う容姿の変異でも損なっていない。目を覚ましていれば可愛らしく見えるだろうそれは、眠っているためか神秘的な空気も帯びている。時折耳がピクピクと震えて、ベッドからはみ出した尻尾が床を撫でる様子は小動物を連想させる。
この少女、水鈴さんが目を覚ませばある程度は移動が楽になり、外の連中の隙を突いて脱出が可能になる。彼女は肉体的には全くの無傷で、眠っている原因も気絶であるため何時目を覚ましても不思議ではない。
気がかりなのは、水鈴さんが受けた精神的なショックの度合い。これ如何によっては、最悪中の最悪のプランで彼女達を切り捨てることも考えた方が良いかもしれない。世話になったライアさんの印象を大きく損ねるが、命と天秤にかければ回答は出る。
我ながら最低なことを考えている。軽く頭を振って、まとわりつく感情を振り切っていると水鈴さんの動きが変わった。
長いまつ毛が揺れて、ゆっくりとまぶたが開いた。宝石を思わせる深紅の瞳が印象深く、左右に動いて辺りを見渡している。
「ん……うぅぅん……あれ? ここ、は」
「二人とも、水鈴さんが目を覚ました」
自分が声をかけると、雪さんが真っ先にベッドに駆け寄る。遅れてマサヨシ君が後ろからのぞき込む姿勢で彼女達の様子を窺うようだ。
「水鈴さん、大丈夫? ここは匿ってくれた人の部屋よ。楽団の拠点まで距離はあるからここに置いて貰っているの」
「雪さん? なんでここに?」
「貴女が拠点を飛び出したから追ってきたのよ。その、ベルを探しに行ったんでしょ」
「ベル……桜……」
名前の通り鈴を転がしたような声を出す彼女は、心ここに在らずといった風だ。縦に裂けた瞳孔の紅眼は今一つ焦点を結んでいない。
のそのそと緩慢な動きでベッドから身を起こした彼女は、頭を巡らして室内を見渡す。当然窓際にいる自分も視界に入ったはずだが、こちらを人と認識できているか疑問が湧くぐらい表情がない。普通は目を覚ました場所に見知らない人間がいれば、警戒の一つもするものだ。
「おい大丈夫か、お前。寝ぼけているのか」
余りにも反応が希薄だったからか、マサヨシ君が水鈴さんの肩に手を置いた。
何気なく置かれたマサヨシ君の逞しい手。水鈴さんは置かれた手を辿り、マサヨシ君と顔を合わせる。表情は一瞬で爆発するように生まれ出た。
それは誰にでも分かる恐怖と言う名の拒絶だ。
「いやあああああっ!」
「ぐはっ」
部屋一杯に響く悲鳴を上げた水鈴さんが、マサヨシ君の手を思い切り振り払った。彼は振り払われた手に引っ張られて、床を転がる。彼女の方はというと、ベッドの隅まで体を動かして尻尾を抱えて縮こまりだした。
「水鈴さん、落ち着いて。大丈夫、この人達はあたし達を匿ってくれた人達だから」
「いや、いやいやいや……いやいや……」
雪さんの言葉も耳に入った様子はない。あっという間に心の殻を作り上げて閉じこもってしまった。
「……まいったな」
問題が解決したようにみえて、実は次の問題の前振りだった。神とやらは余程人に試練を課すのが好きらしい。悲痛な声を出す水鈴さんの姿は、自分の目には問題の塊に見えると同時に胸を打つ姿でもあった。
ため息を吐いて、長くなった黒髪を掻き上げる。今日も長い夜になりそうだ。
◆
ジアトーの街から北方一〇〇㎞にある小さな港町ヴィクトリア・ハーフェンは現在、町始まって以来の活気と熱気に包まれていた。
大陸南部への侵攻を目論むアードラーライヒ帝国の将兵達がこの町に集結し、出撃の準備に追われているのだ。五千ほどだった町の人口を大きく上回る五万人もの兵隊がここに集まっている。
町の外れにある鉄道の駅は、物資と兵員を輸送するために機関車や貨車が押しかけており町の騒がしさの中心となっていた。朝から始まった騒がしさは、日が沈みかけている今でも途絶えることがない。
元から軍用を考えられていたのか、駅のキャパシティは町の規模に見合わないほど大きく、押しかけた列車は余裕を持って駅に止ることが出来ていた。帝国兵たちは、止った列車の合間を縫うように行き来して出撃の準備に余念がない。
この世界における列車の動力はいまだに蒸気機関が主力だ。機関車から漏れ出る蒸気と煙が駅のホームを煙らせていくのは、見慣れない人間からすると幻想的にも映る。
ホームの一画で兵隊達の動きを観察していたストライフは、この光景を幻想的なものとして受け止める人間の一人だった。
上下が一体になった紺色のツナギの上に黒い肩当てと胸当て。背中には身の丈に迫る巨大な剣という出で立ちをしている彼は、揃いの軍服を着た帝国兵の中では明らかに目立っており、この場に来てからは兵達が無遠慮な視線を投げかけている。
もっとも、兵達の上官から手出し無用の通達が行き渡っているため、一見部外者に見えるストライフを摘み出そうとする者はいない。ただ遠巻きに見やり、声を潜めて噂話を交すのが精々だ。
「いよいよですね。僕の野望もこれで一歩前進です――って、聞いている? リー」
「んあ? 何か言いました?」
「人の話を聞いてないとは珍しい。そんなにここの兵器は君にとって魅力的かい」
「それはもう! 大興奮ものですよっ」
「そ、そうなのか」
周囲の様子など気にする事なく、傍にいる相方リーに話しかけたストライフだったが、返ってきた反応には流石に戸惑った。
赤毛以外は印象に残らない庶民の服装をしているリーは、その地味な格好に反してチームの参謀役をこなす頭脳派で通っていた。常に冷静沈着、瞳の様子が窺えないほど細い目で鋭く相手を観察する。それがストライフの知るリーという人物だった。
それが今は、糸目が普通サイズの目になるほど全開になって、駅の端から端へと忙しく目を動かしている。表情も喜色満面になって明らかにはしゃいでいる。彼との付き合いが長いストライフでも、こんなふうに興奮しているのは珍しいものだった。
「いやもうっ! 世界が違うとはいえ、帝国の兵器は旧ドイツ軍そのものです。現役で動いているハーフトラックやキューベルワーゲンが目の前にあるんですよ! もう、みなぎってきますよ。あっ、あれは主力戦車のパンターっ! 車体デザインからするとG型か」
「え? 旧ドイツの主力はティーゲルじゃないのか?」
「違いますよ、ティーゲルはあくまで支援重戦車です。当時のドイツ陸軍は、主力戦車のパンターと支援重戦車ティーゲルの二本立てだったのですよ。これ、基礎知識です」
「ああ。そう言えば、君はそういう趣味の人だったね」
有名大手チーム、S・A・Sの参謀リー。彼はミリタリーオタクであった。特に第二次大戦期のドイツ軍がツボだと本人の口から聞いた覚えがあったのをストライフは思い出す。
そんな彼に旧ドイツ軍に酷似した兵器を運用するアードラーライヒ帝国軍は、非常に魅力的なものだろう。ここではたと気になった事がストライフの脳裏をよぎった。
「まさかとは思うけど、ドイツ似の装備をしていたから帝国と手を結んだんじゃないよね」
「それこそまさかですよ。趣味と仕事は分けて考えています。帝国の手を取るのが都合がいいのは事実ですよ――と、あれは列車砲! 大きさからすると28㎝砲か。K5系かな」
「大丈夫だろうか」
ホームの端ではしゃぎ回る参謀役に一抹の不安を感じるストライフだったが、周囲で機敏に動き回る帝国の将兵を見ていると頼もしさを覚えるようになってきた。野望の足がかりは盤石であればあるほど良い、その点で帝国は申し分ないようだ。
そのまましばらく赤くなった空を背景に賑わう駅を眺めやるストライフだったが、突如として起こった異変が彼とその駅に居合わせた帝国将兵を襲う。
異変はまず耳に入った銃声からだ。帝国兵が使う小銃の銃声が連続して何発も聞こえ、騒がしい駅構内いる誰もが一瞬動きを止めた。
銃を撃った人間が誰かと下士官が声を出す時には、すでに次の異変が起きている。駅に止っている列車の影から複数の人の悲鳴があがり、さらに銃声が何発も轟く。今度は短機関銃の連続したものも含まれている。
さすがにこの段階になれば帝国兵達も敵襲かと身構えて、手近にあった武器を手にとり、士官は兵達に警戒するよう指示を飛ばす。
「敵襲? この段階で襲撃をかけてくる勢力があったか?」
「さて、少し見当がつきませんね。ジアトーから暴れ足りない連中が流れてきたのも考え難く、連合王国から来るには早すぎます」
異変を察してすぐに身構える二人ではあるが、表情には不安と疑念がある。何か見落とした点があったか、なにか失策をしたか? そんな考えが二人の頭に浮かぶ。
ほどなく、異変の正体が列車の影から姿を現した。
それは人ではなかった。
近くにある軍用トラックと同じぐらいの大きさ、それでいて鈍重さは感じられないしなやかな巨体。黒と灰色の縞模様で描かれた毛皮は、今さっき殺してきた帝国兵の血で赤く染まっている。肩口から生える身の丈に倍する天然の鞭は鎌首をもたげるヘビのように揺れる。
見る者を威圧する圧倒的な暴力の化身がそこに現れた。
「化け物!?」
「う、撃てっ」
獣の威圧感に当てられたのか、帝国兵達は半ば恐慌状態で銃を撃ちだした。
恐怖にかられた射撃の当たる確率は低いものの、そこは射手が多いためか何発もの銃弾が獣に命中して、縞模様の毛皮に食い込む。
だが、獣にとっては蚊が刺したほどの効果もないらしく、悠然と肩口の鞭をしならせて手近にいた兵士を打ち据えた。
「ぎゃぽ」
鞭に打たれた兵士の頭は、卵のように割れて中身をぶちまける。もう一方の鞭に打たれた別の兵士は、腹に命中したことで内蔵をまき散らしながら倒れた。これを見てさらに恐慌は広がる。
この中でも冷静なのはストライフとリーの二人だけだった。
二人はこの場に獣が現れた事よりも、それを見て動揺する帝国軍の反応にこそ疑問を覚えた。
「あれって、ウィップティーゲルだよね。大型魔獣だと珍しい方じゃないはず」
「ええ、『エバーエーアデ』では広く認知されている設定と記憶してます。それに、いくら乱射とはいえアレだけ銃弾を撃たれても平然としているのは不自然ですよ。やはりここもゲームとは違うということなんでしょう」
「そういえば、ここまで魔獣とエンカウントしてないな。こいつらの反応からして元からこの世界に魔獣はいなかった、とかか?」
「考えられますね。ですけど、そうなるとアレを撃退できるのは私達だけとなりますが」
「仕方がない。ここで帝国軍に壊滅されては敵わない。出るぞ」
「了解」
余裕をもった会話を終えたストライフは、ゆったりとした歩みで獣に近付く。
背中に背負った大剣に手をかけ、引き抜かれる。飾り気のない両刃の剣身は、日没間近の残照に照らされて鈍くぎらつく。重量級の得物のはずだが、彼にとっては手頃な重さに感じられてブンっとバトンの様に回してみせた。
「強化呪紋――ドライブ。効果時間は五分ですよ」
「サンキュ」
「ここはダンケと言いましょう」
援護の呪紋が発動して、大剣が仄かに赤い光に包まれる。武器に威力強化の魔法がかけられた。
強化呪紋をかけてくれたリーと軽口を言いつつ、獣――ゲーム『エバーエーアデ』内でウィップティーゲルと呼ばれた大型の魔獣との距離をさらに縮める。
ウィップティーゲルに近付くストライフに帝国兵が気付くが、止める者はいない。化け物に近づくヤツに構えば、自分までも巻き添えを喰らってしまうからだ。この場にいる帝国兵にとってストライフは、自殺志願のバカとしか見えない。
周囲の考えが覆るにはさほど時間がかからなかった。
兵隊二人を仕留めたことに気を良くしたのか、ウィップティーゲルは悠然とレールを跨いで行き、静かな歩みで兵隊達に近付いていく。恐怖で身動きがとれない人間たちの無様な様子を楽しむような動きだ。
ここで、横から近付いてくるストライフに気付いて獣の足が止った。両者の距離は一〇mとなく、鞭の射程圏内だ。獣の目とストライフの碧眼とがしばし合った。不審に思う目と、余裕が感じられる目が合ったのは数秒。動きはすぐに起こる。
ウィップティーゲルの鞭が振われ、ストライフを襲う。体毛と肩の骨が変化したといわれる鞭の先端部は、音速に迫る速度になり空気を切り裂いていく。
これが普通なら、先程の兵士と同じように打たれた部分を抉られて死に至る。そしてストライフは、この世界の基準で見るに普通からかけ離れた存在だった。
彼の視界で一秒が一分に引き延ばされ、その中でいつものように体を動かしていく。迫る鞭は目で捉えられ、余裕でかわせる。かわし様に剣で鞭を斬り飛ばして一歩獣に距離を詰め、返す刃でもう一方の鞭も斬り落とす。斬り飛ばされた鞭から獣の体液が飛び散って、飛沫が顔にかかるが気に留めない。
獣の顔に明らかな動揺が見えた。悠然とした挙措が消えて、むき出しの怒りに変わる。
浴びせかけられた銃弾をものともしない体のはずが、一振りの剣の前に呆気なく切り捨てられてしまったのだ。目の前にいる男の危険さを理解しつつも、獣は復讐の念を強めた。
反撃はすぐに仕掛ける。鞭を斬り飛ばしたことで、男の姿勢は崩れている。剣を構え直すには一瞬とはいえ時間がかかる。その時間があれば発達した四肢を持つウィップティーゲルは、飛びかかって爪と牙を突き立てられる。
獣は半ば反射的行動でストライフに飛びかかる。すでに前足の届く距離、逃げられるものではない。
仕留めた。そう獣が確信したが手応えはない。爪は宙を引っ掻いただけに終わる。
視界から男が消えたと思ったら、獣の耳が空気を切る音を聞く。それは上から。見上げてみたその光景がウィップティーゲル最後の映像だった。
大剣を振り下ろしながら飛び降りてくるストライフ。そのすぐ後に獣の視界は左右に分断される。彼の剣は獣の顔を縦に真っ二つに斬り分け、さらにその体までも二枚に卸してしまったのだ。
「うん、ちょっと斬れ過ぎ。強化呪紋をかけてくれる必要はなかったな」
重々しい音を立ててウィップティーゲルの体が倒れた。真っ二つにされたことで周囲に飛び散った獣の鮮血は、ストライフはもちろん遠巻きに見ていた帝国兵にも降りかかる。
対峙から決着まで五秒。そのあまりに衝撃的な場面に出くわした周囲の人々が動揺する中で、当のストライフは暢気なものだ。返り血がかかった衣服に手をやって、『浄化』で剣と一緒に洗浄する。剣から血を落とす技法、血振りをするよりも効率はいいのだ。
「鮮やかですね」
「ゲームの時よりも動けたよ。やっぱり自分の体だからかな。画面やコントローラーを介さないから滑らかなものだ」
戦いの後でもごく普通に対応するストライフ。彼は近寄ってきたリーに戦闘の感想を言いながら、自分の体と大剣を見下ろした。
これが初めての戦闘という訳ではないが、充実した戦いというなら初めてだ。これまでは野望の障害を排除するための戦闘で、相手は抵抗らしい抵抗もなく殺されていった。
それが今の戦いは、半歩かわすのが遅れれば死に至る攻撃が飛んできた。もちろん余裕をもった行動をしたが、かなりのスリルを味わえた。
これは病みつきになれそうだ。ストライフはこの世界での戦いに楽しみを見出していた。
「報告が入った。町の外周を見張っていたメンバーからの連絡で、こちらにやってくる魔獣を複数発見したようだ。種別はウィップティーゲルの他、小型魔獣のランドラプター、ソルジャーウルフもいるそうです」
「へえ、ここに人が集まっているのを嗅ぎつけたかな」
リーの報告に嬉しそうに言葉を返し、更なる戦いの前に精神は高ぶりを覚えた。
興奮を感じつつも、リーダーらしくどうするべきかを考えて指示を下す。数も多いので見張りに出ていたメンバーも戦闘に参加させ、リーには帝国軍に話を通してもらう。間違って誤射でもされては敵わない。
「じゃあ、楽しんでくるよ」
「ええ。楽しんできて下さい」
周囲の帝国兵の恐れるような視線も意に介さず、ストライフは遊びに行くような気安さで次の戦場へと駆けだしていた。
友人から「お前の話は長いっ! ケータイで見るときが大変だ」と指摘を受けて、大幅に改訂させていただきました。
確かに、他の作品を見てみると一話辺りの文章量が多いですよね。
今まで不便をかけた皆様にこの場を借りてお詫びします。すみませんでした。
今後はこの位の文章量で書いていこうと思います。
では