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リルスティン戦記 外伝前日譚 フィルス物語  作者: Lamman
序章

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2/2

第ニ話



「では、ガネリ・ターナー三級冒険者の記述した主文を読み上げる。」

アニは言う。


本人による書類の改竄などの不正を防ぐため、意見書は審査官に渡され、内容を審査されると共に、代官により読み上げられる。


冒険者側の主張である。


「今回この争いに至った経緯として以下のことを挙げる。最初に、あの商人は酒場で昼飯を食べていた俺に対し、“2人で話がしたい”と話しかけた。その後2人で話し合うと、彼は“冒険者証を改造して楽して手取りを増やさないか”と言ってきた。勿論俺は断った。だが次に奴は“従わないのであればこちらにも考えがある”と言って私兵を動員した。“戦闘の意思と受け取るぞ”と俺は通告したのだ。奴は“そのように受け取ってもらって構わんよ”と。これは俺に非はないと主張する十分な根拠でありまた冒険者証の勝手な改造、改竄は規律に反しているため商人に罪を問うべきである。

以上の内容に間違いはないな?ガネリ」

「ああ」


違法行為をあたかも合法かのように見せかけ、また兵を仄めかし交渉を成立させようとした。この主張に大衆は一気にガネリに味方する。


一方で

「リベリウス・アリ二級商業責任者の記述した主文を読み上げる。」

商人は主張する。

「はじめに私は、露店で彼から“カンマリジスとアルファライトを一個ずつ、ヒューリントン第一種指定サイズで頼む。乾燥させた兎肉を骨の重さを除いて3アリタスほどと生のヘンリーバードのモモの肉を8アリタスほど、カンパンを7アリタスとヒグラシメブシのドライを10アリタス程くれ”と言った。無論そのような量、一度に渡すことができない。なので屋内に案内してその交渉を承り、1311200ウィリスを請求した。その時、乾燥させた兎肉は量が少なかったので2000ウィリス毎アリタス、6000ウィリス、生のヘンリーバードのモモ肉は3000ウィリス毎アリタス、24000ウィリス、カンパンは600ウィリス毎アリタス、4200ウィリス、ヒグラシメブシのドライは凶作だったため2700ウィリス毎アリタス、27000ウィリス、アルファライトとカンマリジスと言う宝石は125万ウィリスだ。その他交渉をした後決済をしようとしたのだが、奴はなんと、“そんな法外な額を払えるか!”と怒鳴り立ててきた。私はカチンときた。“そうくるなら私にも考えがある”、そう言い返し私兵を動員したのだ。続けてこう言った。“私の出す()は正当な価格だ。それに納得しないんであれば他を当たりなさい。私とて乱暴な真似をしようとは思わん”と。だが奴はいきなり暴れ出し、6人いた私の兵士をその場で2人殺した。しかしそれに飽き足らず、その後全員殺してしまったのだ。罪を問うべきは奴であり私に責任はない。

内容に間違いは」

「ない」

食い気味に否定する。



状況の相違。しかも些細なものではない。

正当な価格の提示。にも関わらず反抗し、私兵を6人殺してまでも反抗した。


聴衆の多くが戸惑ったのも無理はないだろう。

2人の意見の完全な食い違い。これはどちらが正しいのか。


そこへ代官は一石を投じる。

「静まれ!聴衆らよ」

その投じられる石というのは、

「各自証拠を出すのは難しい。そこで彼らをこの騒ぎの前に目撃したと言う人々に話を聞くことができた。」


そう。目撃者の存在である。

「その証言をまとめた書類を読み上げる!

1人目。

彼らを露店で見かけた。少し話し合ってからその露店の奥にいってしまった、とのことだ。」


その証言に聴衆はさらにどよめいた。

商人の方が正しいのではないか。その思考が脳裏を駆け巡る。


だが次に出された証言はさらに(みな)を混乱させる。


「2人目。

インノーン通りのジズの酒場で2人を見かけた。これは3人ほど同じような証言が出ている。」


インノーン通りのジズの酒場。そこは同じ街であれど、ここからは距離にして8キロフズ(1キロフズは約2キロメートル)ほど離れている。


「質問を行う。」

人々は一気に静まり返る。3人の言葉に躍起になって耳を傾けているのだ。


「アリニ、時計を確認しろ。そして屋台で彼に会ったのはおよそ何分前か答えるんだ。基準は俺が代理宣告をした時間。昼の10時とさせてもらうぞ」


商人は答える。

「そこからですと、、、おおよそ15分前ってとこですな」


「ガネリよ。酒場てやつに会ったのは何分前だ」

「だいたい50分だろうな」

「そうか」


50分前にアリニ商人と会い、35分〜50分で8キロフズを歩いた、というのは無理ではない、、、だが、、、

アニはそう思案する。

どちらかが誤りと見るのがより自然。

だが決定打がない。

ジリ貧かと思われたその時。


「ひとつ、聞いてもよろしいか」


ここで、声を上げた者がいた。


「、、、発言を許可する。ハリス」

ハリス・ファリンである。


「アリニ氏、さっきあんた、宝石泥棒だとかいって自分の兵士に彼を追わせてたよな」


「、、ああ」

肯定した。

「すると、ガネリ、お前いま盗んだ宝石を持ってるはずだろう」

「あれは盗んだ物じゃないし、審査官に提出したぞ」

「盗んだものではない、とはどう言うことだ」

「貰ったんだよ。あいつから。ちゃんと無償譲渡の意志を示したし」

「いいや、あれは有償譲渡だ」

「話の流れと言い方からあれは無償のそれだったろ」

「否」

言い合いが白熱してきたその時静止がはいる。


「はいそこまで、ありがとうハリス」

「なんの」

「さて、いまの目下の課題のひとつは宝石の譲渡の件が有償か無償か、と言うことだ」

アニは話が軽く話を整理している。

「まずは、何を、どう言って、どういう形式で譲渡したのか、だ。ガネリ氏」


「カンマリジスだ。勿論ヒューリントン第一種指定サイズで用意したさ。私はその宝石分と、カンパンの分の()を負けてやる、と言ったんだ。条件付きでね。」

「ほう。」

「条件の中身は、所謂旅団の護衛だよ。近日中に私のところで運用している旅団が旅をするんだ。次の街まで4日、その間旅団を守る雇い兵(ガード)を受けてくれないかと頼み込んだのだ。通常値は日当2万ウィリス。我らが払う金額はその値にしている。それを4日で8万ウィリス。それを20万ウィリスのカンマリジスと4200ウィリス分のカンパンをタダにしてやる条件を提示したと言うのに、奴ときたらっ」

そう言って樽に拳を叩きつける。

「何が不当だっ!言いがかりをつけおって」

「はいはい静めて静めて」

「其の方の言い分はわかった。その上で聞くが、彼の言う冒険者証の不法な改造などは」

「そんなものは持ちかけていない。断じて」

今度は激昂せず、冷静に答えた。


「では次に、アリニよ」

アニが問う。

「宝石の譲渡に関して彼の言ったことに間違いはないな?」

「あぁ、ただひとつ説明不足を除いてな。」


「ほう」

アニが再び問う。


「奴は加えてこう言ったんだ。“考えてくれなくとも構わない。カンマリジスはほんの気持ちとしてやることもできる。ただ、カンパン含めて元の代金はビタ1ウィリスとして差し引いてやることはせん。”ってよ。そこまでならいい。だがな、あいつは続けて“働きようによっては、冒険者組合(ギルド)に口出しして格を二つほど上げさせてやってもいい”とか抜かしやがった。それは明らかな冒険者証の不法な改造に当たるんだよぉ!二級責者の通過の時に学ばなかったのか?!“過度な幇助,脅迫やコネは正当な評価を揺らがせる危険性があるため禁止する”とかってよぉ!」

「それは“過度な”幇助での話だろう!私が言ったのは、今回の護衛はオービス調書に定める任務リスト第3級また第3級次における任務遂行難度10番級の分類に当てはまる!よって被護衛者かそれに値する旅団が口添えをするかオービス調書に定められた第4級以上のモンスタードロップスを組合(ギルド)に提出すればそ」

「それでも俺の冒険者階級として一度に上げられる数はオビ書(オービス調書)に定」


「粛に!粛に!」

アニが長々と続く呪文合戦を止めた。


この隙に、先の発言で出て来た制度をいくつか紹介しておこう。


まずヒューリントンとは、240年前クリス・ヒューリントンが提唱し、法議会で可決されたことで制定された“宝石やモンスタードロップス、武器に関するサイズ等の規定”である。

第一種は、第二種と第三種の中間のサイズと捉えておけばいい。第二種が最小を取る。そこから先は分類がややこしくなるため割愛。


次に商業責任者。これは現世(こっち)で言う食品衛生責任者、古物商許可商、管理医療機器販売業・貸与業許可、ジュエリーコーディネーター3級などの資格を全て雑にまとめた資格と言っていいだろう。

こちらの制定は257年前だ。

この資格は3級を取得した時点で一人前と認定される。


そして次に、「過度な幇助,脅迫やコネは正当な評価を〜」とガネリが言っていたのは、商人として“生きていくための心得”とと言う本が商責者の資格取得の際に、“冒険者を生きる皆へ”という本が冒険者証発行の際にそれぞれ配布されるのだが、その中に記載されている。


最後に先ほど2人が言っていたオービス調書と言うのは、エンディパール・R・オービスが提唱し、その後法議会にて可決された“冒険者に関する法”である。

これも制定は257年前だ。



「─というのが双方の筋書き、それでいいな?」

アニが2人の意見をまとめる。

「「あぁ」」

2人は声を揃えて肯定する。


果たして、誰が罪に問われるのか。


(うっわぁ〜〜過去イチムズいぞこれ)

アニ、悩む。

(訳わからんわこいつらホントそもそもの交渉が意味わからんし何あの内容宝石なら宝石商(ジュエラー)の方が安いしこの街にも明日来る予定だし待てよそんぐらい)

心の中で愚痴る。止まらない。


「アニ、いいか」

イルタが手を挙げる。

「発言許可する」


「1時間前に俺見たんだけどさ、あいつら酒場で一緒に酒飲んでたぜ」

その発言に、ハリスが同調する。

「実は私もだ」


アニは愕然とする。

「もっと早く言えよそう言うことは」

民衆も同調した。


「そーだよ!その後に露店の奥に案内されてさっきのことになったんだよ!」

ガネリが主張。

「違う。私はそいつとは露店前で会った」

アリニが否定。

「で、その後2人は別れたんだよ」

イルタがまた一投。

(、、、考えんのめんどくさくなって来た)

アニの愚痴は加速。

「どう言うことだよ!?」「訳がわからん」

民衆の頭は混乱。


第三者かそれに値する勢力の匂いがする。


アニの勘がそう告げる。


(ま、こうなると、、両成敗で決着が濃厚かな)


実を言うと、アニの推理は考えるのが面倒くさくなった時には終わりかけていた。

イルタの発言はただそれを確信に変えた。


簡単なトリックである。だが()()をする動機がわからない。


この場合、もっとも思い浮かべやすいのは、“民衆の視線と話題を集めるための陽動(カモフラージュ)”。

(となると、やはりこれは恐らく八百長か泥沼狙いだな。一番の得策は有無を言わせずさっさと両成敗だろうが、、、)


第三勢力の目的、手段がわからない。

実態も何もわからない以上、

(後手に回るしかねえな)



「静まりなさい」

アニの一声が民衆と、“わざとらしく”言い争いを続けている2人を止める。

他の3人に意見は共有し終えた。

中、ハリスとイルタはほとんど同じ考えだった。

ヤルヴィは少し違ったが、どちらにせよ両成敗だろうと結論が出た。


「今、決まった。」


生唾を飲む音が聞こえる。

民衆の多くはこの結論に辿り着いていないことだろう。


「両者有罪とする」


これには2人もすぐさま反論する。

「おかしいだろう!私に罪は無いはずだっ ちゃんと考えたのか!」

「ざけんじゃねえぞこらぁっ」

「まず!2人の供述の双方に矛盾した点がある」

「たった2人の証言だろうがよぉ!」

「彼らの証言と民衆から出た証言者の観点は信用に値するとした。以上でこの審議を終了するものと」

「黙れよぉっ!」

そう言ってガネリは曲刀を抜き、肉薄する。

「はぁ、、さっきまでの冷静沈着な判断力はどうした」

戦闘開始。

まずガネリが曲刀を中段左から横に一閃。

致命傷を狙う。

これに対しアニは、己の右肩が下がり左肩が上がるよう体を曲げ、同時に曲刀の方向に体の正面を少しずらす。

同時に右の掌底を下から押し上げ、左の掌底を上から振り下ろし、刃を挟む。

そのまま右脇に刃を力いっぱいに引き込む。

「なっ」

左肘をガネリの顔に叩き込む。

脇を締め左手で髪を掴み押し下げ、左膝を顔に入れる。

左手を放し右膝と右肘でガネリの両手をおもいっきり挟む。曲刀を握る両手の握力が弱まったところで曲刀を強奪。振り返り曲刀の柄でこめかみに一撃。

そこでガネリはダウン。


「おいおい、うちの仲間ならもっとマシな戦い方するぜ?、、、あ、気絶してる」


戦闘終了。

「さて、双方の処罰はイーダ刑罰法第4条に乗っ取って行われ、それぞれ罰金10万ウィリス以上70万ウィリス以下の罰金を科すものとしする。これに異議を唱える場合今日を含まない14日以内に王下司法に審議識別番号711で問い合わせ、異議申立て書を提出すること。この審議に係る書類はハリス・ファリン、イルタ・マッシーナの二名に寄って王下司法ウベルス支所に提出される。」


事実上の“両成敗”。

「なんだったんだよ、、、」

「人騒がせだな」

そうぼやく声も聞こえる。

それを横目に、アニはヤルヴィに話しかけた。

「なぁ」

「なんですか」

「どう思う、この件」

遠回しな問い。だがこれは必要な動作だ。

「どう、ですか。 そうですね、、八百長、とでも言えば良いでしょうか。」

「と、言うと」

「2人ともこの件を早急に終わらせたい気も、自分に罪を着せられたくないという意思もあまり感じませんでしたし、妙に所作が事務的と言うか、、計画的だと思いました」


2人の勘と考えは、確固たる根拠は一つも無い。

だがそれ以上に怪しさが勝っていたのだ。


「いまは証拠もない。派手に動くとまずい方向に事態が行くかもしれん」

「ただの人騒がせなだけの可能性もありますからね」

「あぁ」

ふとアニはアリニの私兵の亡骸のことを思い出す。


ヤルヴィをつれ、散りゆく群衆を横目にあの2人が出てきた、(むくろ)が横たわる路地へ入る。


そこで2人が見たものは。

ただの路地の道であった。


軽く溜息をつく。

「確定かな」

「暫定ですけどね」


俺は路地を抜けようと振り返り、途中で顔を止めた。

手。

人のものではない。

ヤルヴィが抜刀。腕を切断する。

その直後に、また別の衝撃が襲う。


その腕の生ゆる根本は、壁!

貫通したものでも無い!ただ壁から、触手が這うかの如く腕を出している!


「パラサイトテンタクル?!」

しかも人型の、その言葉を全て言い終わらぬうちにヤルヴィの口が塞がれる。

壁から生えた、もう一本の腕に。


粉砕。


アニは唖然とし、筋肉の動かし方を忘れたかの様に立ち尽くす。


顎の残骸を握りしめたその右腕は、やがて生えた肩により振り払われた。


(顔っ、、、それも人型のものか!)

アニは咄嗟に抜刀。振り抜かれた左拳を受け止めるためそのまま剣の腹を出す。



姿勢を崩し、剣を抱く。

爆音を起こし建物を貫通。

一軒を貫通し終え、次の建物の外壁に派手に亀裂を走らせ、爆進は止まる。


その魔人は何一つ物も言わずにいる。

ただ進み、アニへと近づく。


(なんて速さ、、、なんて膂力!!)

アニは立ち上がる。

ただ魔人を見据える。

(ヤルヴィが斬ったはずの腕が生えている、、、再生能力持ちで間違いないな)

彼の頭はちゃんと回っている。

だが体は全快のそれではない。


(背中いってぇ〜、、、背鎧も粉砕してるなこれ)

「案外楽しいらしいな、喋るの、、喋らねえのか?」

なおも魔人は答えず。


構える。

建物から魔人が生える。

アニはもちろん、今は亡きヤルヴィも、そんなものは古今東西聞かなかったものだろう。

「等級は暫定でも竜級だろうな」

それは諦念とも、興奮ともとれる。

「やるっきゃねえっしょ、、!」

魔人は手をかざす。

光線(アレイ)


刹那


両腕は胴と別れた。

アニの斬撃!

すかさず二撃目が魔人の左脚を捉える。

中段袈裟の斬り上げ。

魔人は四肢を切り離される。

魔人の左腕の断面が地面につく。


瞬転!

アニは剣の腹を頭の左に入れると同時に頭を屈める。

だが、右手は剣を放してしまった。

「チィっ!」

アニは飛び退き、ストリートから別れた、少し広めの道に出る。


アニによる、詠唱が始まる。

「〈藍黒緑(あいくろみどり)〉ッ」

顔を狙い拳が翔ぶ。

それを回避、横に転がり詠唱の続き!

「〈風よ!吹き荒べ!〉」

這ったまま詠唱の続きを唱えている。

すぐさまそこに踵が落とされる。回避。

「〈呪縛の藍風(インクズシュトゥルム)!〉〈舞い上がれ〉!」

加算詠唱(アッドマジック)と呼ばれる、身体の強化や魔法の発動に必要なステータスの強化などの効果をもたらす、支援用の魔法だ。

「〈(ほのお)よ〉」

これは、身体強化。

「〈獣虎の舞(フーラメッティア)〉!!」

アーティクルが舞う。

アニが発動した魔法は、追加詠唱(アッドマジック)の中でも類を見ない、全ステータス強化と魔法の効果の増大を併せ持った魔法。それに加え、10秒毎に防御力と俊敏が強化されていく。


魔人の大振りな右脚の蹴り上げを回避する。

魔人は一歩下がり、体を少し屈め顔のすぐ横に両手を構える。

「グリ式のか 随分造詣が深いんだな」

アニは柔に構える。


拳!

魔人が先手をとった。

左からジャブを撃ち込まんと顎を狙った。

アニは寸でのところで顔を体ごと右にずらし右腕で魔人の腕を掴み、()()()()()()


アニが目を見開く。

腕は粘りを見せることなく、崩れたのだ。


(やはり組成は壁の素材ということかっ!つまりこれを動かすための魔石があるはず)


アニの勘は当たっている。


魔人は左肩を戻し右拳を突き出す。

また寸でのところで身を屈め、足を伸ばし胴に右拳を入れる。


魔人はガードするため両腕を盾にした。


(そこか、致命的な場所は!)

右足をつき身を少し戻しすかさず左のアッパーカット。

拳の耐久も虚しく、両手もろとも顔が崩れ去る。


「土人形め!」


そのまま両手を合わせ、振り下ろす。

硬い殻に守られていた魔石は、ここで砕け散った。


「ふぅー・・・」

アニはその場に立ち尽くす。

(あ〜やっと終わった、、、)


ブシュッ


彼の鋭い本能と勘は、彼を即死の運命から逃れさせた。

()()()()()。それだけにとどめた。


何かが再び、アニに襲いかかる。




どこで分けるかわからなくなった結果がこれ、、、なんだよ、、、

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