発掘人ルピタと第二王子と黄金の人型機械「アストラガリ」の謎

　ダンジョンで魔道具を探す女発掘人のルピタ・ピエールは、すでに魔道具が探索され尽くされたとされる一号ダンジョンの中に住み、そこで耳を頼りに「隠し部屋」を探し出しては、手つかずの魔道具を見つけ出してそれを売り、食いつないでいた。が、ある時、ある隠し部屋から人型兵器の「アストラガリ」を見つけ出し、それを用いて王都に現れた巨大な竜を倒してしまう。
　ちょうど王位継承を争っていた第一王子のアントニオ、第三王子のニコラスが、この強大な力を持つ人型兵器のアストラガリを唯一操縦できるルピタを取り込もうと躍起になる。そんな中、王位継承にまるで興味を示さない、左右の瞳の色が異なる第二王子のエゼキエルに、隠し部屋から新たな魔道具を見つけ出せる発掘人としての技をかわれ、ダンジョン探索に向かわせられる。
　が、一方でエゼキエルは「百人斬りの王子」の異名を持つ戦場で戦う王子であり、ルピタに命じてアストラガリの強大な力を使い、侵攻する敵の大軍を退かせる。
　左右の瞳の違う「ヘテロクロミア」を持つ者は膨大な魔力を持っているがゆえに、いずれ魔力暴走を起こして死ぬとされる。その運命を持つがゆえにエゼキエルは王位継承を拒んでいるのだが、一方でこの国を変革したいという野望を持っている。
　王位継承をめぐる二人の王子と、運命ゆえに戦場に身を置き、現実を知るがゆえに国を憂う第二王子エゼキエル。そして第二王子に発掘人とアストラガリ使いであるがゆえに振り回され続けるルピタは、謎めいた事件に巻き込まれていく。