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勘違いから始まる溺愛系

作者: W732

セシリア・ド・ラ・ヴァリエール。その名を口にする者は皆、畏敬の念と同時に、ある種の同情を込めた眼差しを向けた。王都でも有数の公爵家の長女であり、息をのむほどに美しい容姿を持つ彼女は、幼い頃から貴族の模範として育てられてきた。朝から晩まで家庭教師につきっきりで、歴史、哲学、文学、語学、礼儀作法、そして刺繍や楽器演奏に至るまで、あらゆる教養を叩き込まれた。完璧な令嬢として振る舞うことが、彼女に課された唯一の使命だった。

だが、その完璧な教育は、一つだけ欠けているものがあった。それは、世俗的な「恋愛」という感情に対する理解だ。男性との交流は公式な舞踏会や社交の場に限られ、私的な接触は厳しく制限されていた。結果として、セシリアは二十歳になるまで、男性の「好意」というものを肌で感じたことがなかった。生真面目で純粋、そして誰よりも貴族としての誇りを重んじる彼女にとって、恋愛とは、家門の繁栄のために定められた婚約者と、規律に則って粛々と進めるべき儀式のようなものだった。


その日、王城で開かれた王太子殿下の誕生祝賀舞踏会は、いつになく盛大だった。色とりどりのドレスをまとった貴婦人たちが花のように舞い、煌びやかな軍服の貴公子たちが社交の輪に興じている。セシリアもまた、父親である公爵に連れられ、いつものように完璧な笑顔と優雅な所作で挨拶を交わしていた。

事件は、ほんの些細な不注意から起きた。給仕が持っていたトレイの上のグラスが、突然バランスを崩し、セシリアの真上から落ちてこようとしたのだ。透明な液体が、彼女が身につけていた純白のシルクドレスにシミを作る――その光景が脳裏をよぎった瞬間、身体は硬直した。

その時だ。「危ない!」という声と共に、一人の男性がセシリアの前に飛び出した。彼は自身の身体でグラスの落下を受け止め、液体は彼の紺色の軍服に盛大に飛び散った。驚きに目を見張るセシリアの目の前で、男性は涼しい顔で、しかしどこか困ったように微笑んだ。

「お怪我はありませんか、公爵令嬢?」

差し伸べられた手は、武人のそれらしく、しなやかでありながら力強かった。その指先が、セシリアのドレスの裾に触れたか触れないかのうちに、まるで汚れを拭うかのようにさりげなく払われた。彼の瞳は、夜空の星のように深く、それでいて吸い込まれるような優しさを宿していた。

セシリアの心臓が、ドクンと大きく鳴った。この瞬間、彼女の脳内では、その出来事が劇的な運命の出会いに書き換えられた。

――この方は、私を危険から救い出してくださった。しかも、自分の身を挺してまで!

――そして、この指先……! 私のドレスの裾に触れ、汚れを拭うような仕草。これは、まさしく「貴女の穢れを私が取り除こう」という、深い意味が込められた、秘められた愛の印ではないか!

生真面目なセシリアの頭の中では、「貴族は他者に不用意な接触をしてはならない」という教えと、「しかし、相手が危機に瀕している場合は別だ」という例外規定が複雑に絡み合った。彼の行動は、まさにその例外に当たる。つまり、彼は己の身分や立場を顧みず、危険を冒してまで自分を救い、さらにその指先で「穢れを祓う」という、隠された求愛の仕草まで見せたのだ。

セシリアは頬を赤らめ、彼の顔をまじまじと見つめた。彼は子爵家次男、アルベール・デュラン。確かに容姿は端麗で、武官としての将来を嘱望されていると聞く。だが、公爵家と子爵家では身分に大きな隔たりがある。それなのに、彼は自らの身を顧みず、これほどまでに私に「求愛」を……!

この時、セシリアの頭に浮かんだのは、長年彼女に教え込まれてきた貴族としての「責任」と「義務」だった。

――彼がこれほどまでに私に深い好意を抱き、身分をも顧みずに私を救い、そして触れた。ならば、私も彼に対して、貴族の令嬢として、しかるべき「責任」を果たさなければならない。

彼女の生真面目さが、常人には理解できない方向へと暴走を始めた瞬間だった。

翌日、セシリアは侍女の悲鳴にも似た声を背中に聞きながら、馬車でアルベール・デュラン子爵邸へと向かった。公爵家の令嬢が、婚約もしていない男性の屋敷を訪れるなど、前代未聞である。しかし、セシリアの意志は固かった。

アルベールは、突然の公爵令嬢の来訪に、文字通り椅子から転げ落ちそうになった。彼がセシリアを助けたのは、純粋にグラスが落ちてきたからであり、誰であっても同じことをしただろう。ましてや、ドレスの裾に触れたのは、単に水滴がついていないか確認しただけだ。そこに他意など微塵もなかった。

「……公爵令嬢、本日はどのような御用で……?」

戸惑いを隠せないアルベールに、セシリアは真っ直ぐに、吸い込まれるような瞳を向けた。

「アルベール様。昨夜は、わたくしをお救いくださり、誠にありがとうございました」

彼女の声は清らかで、鈴が鳴るようだった。その感謝の言葉に、アルベールは安堵の息を漏らしかけた。だが、次に続くセシリアの言葉に、彼の思考は完全に停止した。

「つきましては、その責任を、どうか取っていただきたく存じます」

「……責任、でございますか?」

アルベールは耳を疑った。一体何の責任だ? グラスを受け止めたことか?

「はい。貴方は、わたくしの身を挺してまでお守りくださり、さらにその尊い指先で、わたくしの穢れを払おうとされました。そのような、深い愛情の証を、わたくしは決して見過ごすことはできません」

セシリアは真剣な眼差しでアルベールを見つめた。彼女の言葉は、アルベールにとって全く意味不明だった。穢れ? 愛情の証?

「まさか、公爵令嬢、それは大変な誤解でございます! 私はただ、偶然グラスが落ちてくるのを見て、とっさに……」

アルベールは必死に弁明しようとした。だが、セシリアは彼の言葉を遮った。

「いえ、アルベール様。貴方は謙遜していらっしゃるだけでしょう? しかし、わたくしはそのような貴方の奥ゆかしいお人柄も、深く愛しておりますわ」

「愛して、は……!?」

愛していない! と叫びたかったが、相手は公爵令嬢だ。しかも、その瞳はあまりにも純粋で、悪意など微塵も感じられない。むしろ、このまま否定すれば、彼女の純粋な心を傷つけ、ひいては公爵家の名誉をも傷つけることになりかねない。

「つきましては、わたくしと結婚して、この責任を取っていただきたく存じます」

セシリアは、真っ直ぐに、しかし一切の迷いなく言い切った。その言葉は、アルベールにとってはまさに青天の霹靂だった。結婚? 彼女と? 彼は子爵家の次男だ。公爵令嬢と結婚など、身分不相応も甚だしい。しかも、ただグラスが落ちてきたのを防いだだけで、なぜ結婚の話になるのか。

アルベールは混乱に陥った。目の前の公爵令嬢は、真剣そのものの表情で彼を見つめている。その瞳の奥には、彼にしか理解できない「使命感」のようなものが宿っている。彼女の純粋なまでの勘違いは、アルベールにとってあまりにも突拍子もなく、そして、どうしようもなく厄介な事態を引き起こしていた。

彼は、この未曽有の危機にどう対処すべきか、全く見当もつかなかった。ただ一つ分かっているのは、この公爵令嬢の「勘違い」は、想像以上に根深く、そして彼女の「責任を取る」という強い意志によって、とんでもない方向に突き進もうとしているということだけだった。

アルベールの顔は、蒼白だった。


セシリアの突拍子もない「結婚の申し出」は、あっという間に公爵家と子爵家の間で、一大騒動を巻き起こした。ヴァリエール公爵は、娘の突飛な行動に激怒し、厳しく問い詰めた。だが、セシリアは涙ながらに、そして真剣に訴えたのだ。「アルベール様は、わたくしの命を救い、そしてその指先で穢れを払ってくださいました! そのような深い愛を受け止めるのが、わたくしの貴族としての責任であり、愛する者への務めです!」と。

生真面目なセシリアが、ここまで切々と訴えるのを初めて見た公爵は、娘のあまりの純粋さと、その裏に隠された(と本人が思っている)「愛」の強さに、呆れ返りながらも、ある種の諦めにも似た感情を抱いた。公爵家の令嬢が、婚約もしていない男性の屋敷を訪問し、さらに結婚を迫ったという事実が公になったら、娘の名誉に関わる。それに、娘がここまで一人の男性に執着する姿を見たのも初めてだ。もしかしたら、これが、この世間知らずな娘にとっての「運命」なのかもしれない。結局、公爵は苦渋の決断で、デュラン子爵家へ婚約の打診をするに至った。

一方のデュラン子爵家では、公爵家からの突然の打診に、文字通り一家総出で騒然となった。子爵夫人や長男は、身分違いの結婚に猛反対したが、アルベールはあのセシリアの真剣な瞳を思い出し、どうにも首を縦に振ることができなかった。「誤解なんです!」と何度訴えても、公爵家の侍従は「お嬢様は、深く心を痛めていらっしゃる」と繰り返すばかり。最終的に、公爵家からの強烈な圧力を前に、デュラン子爵は婚約を承諾せざるを得なかった。こうして、アルベールは、わけもわからぬまま、公爵令嬢セシリアの「婚約者」という立場に祭り上げられてしまったのだ。

「アルベール様! わたくしは今日から、貴方の婚約者として、精一杯尽くさせていただきます!」

婚約成立の翌日、セシリアは子爵邸に現れた。彼女は、王都の一流仕立て屋が誂えた、子爵家の紋章が入ったシンプルなドレスを身につけ、その瞳は新たな使命に燃えていた。子爵邸の使用人たちは、公爵令嬢がこんなにも気さくに現れたことに驚き、硬直した。

セシリアは、早速アルベールの部屋の掃除をしようと奮闘した。だが、お嬢様育ちの彼女にとって、掃除などしたことがない。高級な家具の磨き方も知らず、絨毯を掃除するための箒の持ち方もぎこちない。結果、埃を舞い上げ、花瓶を倒しそうになり、挙げ句の果てにはアルベールが大切にしている歴史書に水をこぼしかけてしまった。

「ああ、アルベール様、申し訳ございません! わたくし、不慣れなもので……でも、ご安心ください! 次はもっと上手にやってみせます!」

セシリアは、心底申し訳なさそうな顔をしながらも、決して悪びれることなく、むしろ次への意欲を見せた。アルベールは、呆れてため息しか出なかった。怒るに怒れない。彼女の純粋すぎる笑顔と、ひたむきな努力を見ると、なぜか怒る気にもなれないのだ。

彼女の「尽くす」行為は多岐にわたった。アルベールの食事の世話をしようと台所に立ち、最高級の食材を無駄にしたり、彼の書類整理を手伝い、大切な書類を別の場所に紛れ込ませたり。そのたびにアルベールは頭を抱えたが、セシリアは「もっと勉強します!」と目を輝かせるばかりだった。

そんな彼女の姿に、最初は困惑しかなかったアルベールの心にも、少しずつ変化が訪れていた。最初のうちは、彼女の訪問を避け、なんとかこの婚約を解消できないかと考えていた。だが、セシリアは彼の言葉を一切聞かず、毎日律儀に屋敷を訪れた。彼女の存在は、アルベールの日常に、奇妙な活気をもたらしていった。

彼の友人で、お調子者の侯爵令息ロディオンは、そんなアルベールの状況を見て、面白がって茶化すばかりだった。

「おい、アルベール! 公爵令嬢にここまで惚れ込まれるとは、お前も罪な男だな! あの高嶺の花が、お前のために台所で奮闘する姿など、誰が想像できようか!」

「黙れ、ロディオン。彼女は勘違いしているだけだ」

アルベールはそう言い返す。だが、彼自身、もう心からそう思えなくなっていた。彼女の失敗は目に余るものがあるが、その裏にある純粋な好意と、一途に自分に尽くそうとする気持ちは、紛れもない本物だった。彼女の行動は、彼にとって常に予測不可能で、困惑させられることばかりだったが、なぜか飽きることがなかった。

ある日、アルベールは体調を崩し、寝込んでしまった。すると、セシリアは心配そうな顔で付きっきりで看病しようとした。解熱作用のあるハーブティーを淹れようとしたが、慣れない手つきで薬草を潰し、その薬草が顔に飛んでくる。それでも彼女は、健気にアルベールの額に冷たい布を当て続けた。

その時、アルベールは、セシリアのひたむきな眼差しに、自分の母の面影を見たような気がした。彼女の「尽くす」という行動は、確かに荒唐無稽で時に迷惑なものだが、その根底にあるのは、ただひたすらに、愛する(と本人が思っている)相手のために尽くしたいという、純粋な愛と責任感だった。

彼女がそばにいると、なぜか心が穏やかになる。彼女の存在が、アルベールにとって、いつの間にか当たり前のものになっていた。そして、彼女がいない日は、なぜかどこか物足りなさを感じるようになっていた。

アルベールは、自分の心境の変化に戸惑いを覚えた。最初に彼女を助けたのは、ただの偶然だった。彼女の勘違いから始まった婚約だった。だが、この感情は、一体何なのだろう。彼自身が、セシリアの純粋な「愛情」に、引きずり込まれるように、心惹かれ始めていることを、アルベールは自覚し始めていた。

このまま、彼女の盛大な勘違いは、一体どこまで続くのだろうか。そして、その終着点は、本当に結婚なのだろうか。アルベールは、一途に自分を見つめるセシリアの瞳から、目が離せなくなっていた。


セシリアがアルベールのもとへ通い始めてから、数ヶ月の月日が流れた。当初は混乱の極みだったアルベールの心も、今や、彼女の存在を深く受け入れている。彼の日常には、セシリアの明るい声と、時に失敗を伴う献身的な「尽くし」が不可欠となっていた。彼女の純粋な愛情は、アルベールの心の奥底に、静かに、しかし確実に根を下ろしていた。

そんなある日、王都で緊急の社交の場が設けられた。両家の婚約が公になった今、セシリアとアルベールは共に参加しなければならない。舞踏会の喧騒の中、アルベールはセシリアの手を取り、人混みを避けながら静かなテラスへと誘導した。

「セシリア嬢。あの日のことなのだが……」

アルベールは意を決して、あの最初の出来事について切り出した。セシリアの勘違いを解くのは、今しかない。だが、もし彼女が真実を知って、幻滅してしまったら――彼の胸に、今まで感じたことのない一抹の不安がよぎった。

「あの日のグラスは、本当にただの偶然だったんだ。私はただ、君のドレスが汚れるのを防ぎたかっただけで……その後の指先の仕草も、水滴がついていないか確認したにすぎない。そこに、君が言うような『深い愛情の証』など、決してなかった」

アルベールは、正直に、しかし優しい声で語った。セシリアの瞳が、ゆっくりと見開かれる。彼女の表情から、徐々に血の気が引いていくのが見て取れた。彼女の純粋な世界が、音を立てて崩れていくような、そんな錯覚をアルベールは覚えた。

「……そ、そんな……では、わたくしは……わたくしは、ずっと……」

セシリアの顔が、絶望に染まる。自分が、どれほど盛大な勘違いをしていたのかを理解し、その恥ずかしさと、アルベールに迷惑をかけていたという事実に打ちのめされていた。彼女の瞳には、みるみるうちに涙が溜まっていく。

「わたくしは、なんと愚かなことを……アルベール様に、どれほどご迷惑を……」

セシリアは、その場に崩れ落ちそうになった。しかし、その肩を、温かい手がしっかりと支えた。アルベールの手だ。

「セシリア嬢。確かに、きっかけは君の勘違いだったのかもしれない」

アルベールは、セシリアの顔を両手で包み込み、真っ直ぐに彼女の瞳を見つめた。

「だが、私は、君のその純粋さに、心を奪われた。君がどれほど不器用でも、どれほど世間知らずでも、ただひたすらに私に尽くそうとする、その一途な想いに、私は真剣に向き合いたいと思ったんだ」

彼の声は、これまでにないほど真剣で、そして優しかった。

「最初が誤解だったとしても、今、私は君を心から愛している。セシリア・ド・ラ・ヴァリエール。私と、結婚してほしい」

アルベールは、迷いのない瞳で、セシリアに告げた。彼女の瞳から、ボロボロと大粒の涙が溢れ落ちる。それは、恥ずかしさや後悔の涙ではなく、心の底から湧き上がる、感動と喜びの涙だった。

「アルベール様……っ!」

セシリアは、彼の胸に飛び込んだ。彼女の身体が、温かいアルベールの腕の中に包み込まれる。その瞬間、彼女は確信した。この温もりこそが、自分がずっと求めていた、真実の愛なのだと。


二人の婚約は、すでに王都中に知れ渡っていた。最初は公爵令嬢の暴走と、子爵家次男の巻き込まれ事故だと囁かれていたが、日を追うごとに、セシリアの一途な愛情と、アルベールの誠実な対応が噂となり、次第に人々は二人の関係を微笑ましく見守るようになっていた。

そして、誤解が解け、真実の愛が育まれた今、両家は心から二人の結婚を祝福した。ヴァリエール公爵は、最初は苦虫を噛み潰したような顔をしていたが、娘がこんなにも幸せそうな顔を見せるのは初めてだと、感無量の面持ちで二人の手を取った。デュラン子爵家の人々も、セシリアがもはや「公爵令嬢」という肩書きではなく、一人の女性としてアルベールを深く愛していることを理解し、温かく迎え入れた。

盛大な結婚式が執り行われた。純白のウェディングドレスを身につけたセシリアは、あの日の舞踏会の時よりもずっと輝いていた。祭壇で待つアルベールの手を取り、セシリアは誓いの言葉を口にした。

「アルベール様。貴方はわたくしの命を救い、そして、わたくしに真実の愛を教えてくださいました。この命ある限り、貴方と共に歩み、貴方のために尽くすことを誓います」

その言葉に、アルベールは優しく微笑んだ。


結婚後、セシリアは相変わらず少しばかり世間知らずで、家事も完璧とは言えないお嬢様だった。だが、彼女は持ち前の生真面目さで、妻として、そしてやがては母として、日々努力を続けた。アルベールは、そんな彼女の全てを愛し、温かく見守った。

彼女の盛大な勘違いは、確かに二人を巻き込み、周囲を巻き込み、多くの騒動を引き起こした。だが、その純粋で一途な勘違いがあったからこそ、二人は出会い、そして真実の愛を育むことができたのだ。

晴れ渡った子爵邸の庭で、セシリアは今日も、アルベールのために淹れたハーブティーを運ぶ。その顔には、満ち足りた幸福が溢れていた。彼女の純粋な「勘違い」は、結局、最高の幸せに繋がったのである。

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