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宝石姫シリーズ

盗賊たちに虐げられていた宝石王子は、トラウマを克服し女騎士と幸せになる

作者: リィズ・ブランディシュカ



 とあるところに、宝石を出す少年がいた。


 その少年は、一国の王子だ。


 大切な存在で、かけがえのない子供。


 だから、たくさんの人に祝福されて誕生し、愛されて育ってきた。


 宝石を出すことができるという特殊な力を持っていたものの、家族はそれを受け入れ変わらぬ愛情を注ぎ続けた。







 しかし、七つのころに事件が起こる。


 宝石を出す王子は、王宮に侵入した盗賊の手によって誘拐されてしまったのだ。


 国中がその事件で悲しみにのまれていった。








 誘拐された王子は、宝石を出すことを毎日強要された。


 出せない日は、暴力を振るわれて、痛めつけらえた。


 罵詈雑言は当たり前で、成果のない日はご飯を食べさせてもらえないのが当たり前だった。


 盗賊たちは、子供をさらったあと普通は、奴隷商人に売り飛ばした。


 しかし王子は身分が身分だったので、そのようなことができなかった。


 それどころか、できるかぎりの宝石を得たいと思った彼らは、王子がいるという秘密を守るため、王子を一歩も人目に付くようなところにはつれていかなかった。






 けれど、悪だくみはつづかない。


 とある国のとある騎士団が盗賊を壊滅させるために、作戦を行った。


 それは王子をさらった盗賊団も対象だった。


 騎士団は盗賊団のアジトをつきとめ、急襲。


 盗賊たちは不意をつかれてなすすべもなく全滅してしまった。







 騎士団に救い出された王子だが、心の傷は深かった。


 長い間大人に痛めつけられていた後遺症がそうさせた。


 王となって国を導いていかなければならない存在だったが、人前に出るなどとても無理なことだった。


 けれどそんな王子でも、唯一心を許す大人がいた。


 それは騎士団の副団長である女騎士だった。


 20歳であり大人である女騎士の近くにいても心を苦しくはさせなかった。


 王子の心のケアが必要だ。


 そう判断した者達が、その女騎士を王子の護衛につけることにした。


 女騎士の腕は、すでに団長クラスだったため、王族の護衛としては申し分がなかった。


 王子は自らを助けてくれた者と、それからは共に過ごすことになる。


 その判断が功をなし、王子の心は少しずつ癒えていった。







 親しい大人たちとは普通に言葉をかわせるようになった王子。


 王子は自らの心を癒してくれた女騎士に思いをよせるようになっていった。


 しかし、女騎士はとある任務で盗賊達につかまってしまう。


 それは、女騎士ほどの腕の人物しか太刀打ちできない存在だったため、急遽王子の護衛を代わりのものへ依頼したのだ。


 すでに被害が出ていて、国民たちからは早急な対応を求められている、その現状をなんとかするにはその方法しかなかった。


 女騎士は、普通なら圧勝していただろう。


 しかし、たまたま熱を出し、体調を崩していたため不覚をとってしまった。







 女騎士の危機を知った王子は、自らのトラウマが癒えきらないことを自覚しながらも、盗賊の前へ姿を出した。


 それは各方面に無理を言っての行動だった。


 王子は実際に、盗賊たちへ宝石を出すことを見せつけて、彼らと交渉を行う。


 王子は何度も失神しそうになったが、女騎士のためだと気合でもちこえたえた。


 そんな苦労が実ってか、盗賊は王子の申し出にこたえ、女騎士を解放。


 宝石を得て、とんずらしようとした

 

 しかし、女騎士はやられてばかりではなかった。


 そのころにはすっかり体調を回復させていた女騎士は、武器を手にしてやり返す。


 逃げ惑う盗賊たちを切り進み、ならずものたちをすべて捕まえていった。








 その出来事で自信をつけた王子は、他の大人たちの前でも行動できるようになった。


 やがて成人式を迎え、戴冠式をこなし、王子は王へとなっていく。


 そのかたらにはいつも女騎士が控えていた。


 やがて王は正妻を傍に置くようになるが、やはり女騎士のことが忘れられなかった。


 子供ができ、後継ぎが生まれた後に王は、側室として女騎士を迎え、子供のころに抱いた淡い初恋を成就させたのだった。



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