⭕ 再会したセロフィートは──。
セロフィート
「( …………………………作り替えられた……か。
………………おかしいな……。
どうしてまたボクなんだろう……。
ボクの魂は遥か昔に輪廻の流れへ還った筈だし……。
それなのにどうしてだろう……。
ボクは記憶の欠片だった筈なのに──。
マオが一途に想い続けていた “ セロ ” の記憶が記録されている……。
記憶の欠片だったボクを残して、“ セロ ” の魂だけ輪廻の流れへ還ったのか──。
……………… “ セロ ” には悪い事をしてしまったかも知れないな……。
2千年と少しでボクと入れ代わる事になってしまって── )」
〈 久遠実成 〉により新しく作り替えられたセロフィートは、自分の中にマオが想いを寄せ一途に好いていた “ セロ ” の存在を完全に感じられなくなっていた。
何故自分が今代の人形に選ばれたのか──、〈 久遠実成 〉の真意が解らなかった。
セロフィートに理解が出来た事は、再びマオと再会が出来る──という事だ。
前代の時は “ セロ ” のフリをしてマオと接していた。
然し、今度は演技をする必要がない。
本来の自分でマオと接する事が出来るのだ。
セロフィート
「( ………………嬉しいんだ……ボクは。
だけど──、ボクの使命はマオを〈 皇 〉にする事だ。
〈 久遠実成 〉から出された宿題を果たせていない。
だから──、ボクが今代の人形の中身に選ばれたんだろう……。
だって──ほら、新しく作り替えられた筈のボクの器の中で、マオの心臓が元気に脈打って生きている!
こんな事は初めてだし、こんな事例は1度もない!!
これは〈 久遠実成 〉から与えられたチャンスなんだろう。
きっと最後のチャンスだ。
〈 久遠実成 〉の信頼を裏切る事は出来ない。
今度こそはマオを≪ エルゼシア大陸 ≫の〈 皇 〉にしなければ── )」
セロフィートはマオを探して歩いた。
マオは意外にも近くに居た。
座り込んだ状態で、両手で頭を抱えて何かに対して悩んでいるようだ。
セロフィート
「( あぁ……そうか。
この空間から出していただけなかったんだ…。
ボクと再会させる為に── )」
セロフィートは足音を出さず、静かにマオの背後に近付いた。
マオは両手で頭を抱えて真剣に悩んでいる。
セロフィート
「 ──マオ。
君はマオ・ユーグナルだよね? 」
マオの事を知ってるセロフィートだったが、敢えて知らないフリをする事にした。
首を右側に傾げて、確かめるような素振りで声を掛ける。
セロフィートの声を耳にしたマオは頭を抱えるのを止めるとスクッ──と立ち上がる。
声のした方へ振り向いたマオは、新しく作り替えられた人形の姿を見詰めていた。
マオ
「 ………………セロ?
セロ……なのか?! 」
マオはまるで期待するように声を出して、セロフィートに声を掛ける。
人形の中身が “ セロ ” であってほしいという強い想いが顔に出ている。
セロフィートは困ったように微笑むしかない。
セロフィート
「 う~~ん、残念だけど……。
君の知っている前代セロフィートの魂は輪廻の流れへ還ったよ。
今代の人形の中身はボク──。
君が一途に想い慕っていた “ セロ ” の記憶はボクの中に確りと残されているよ。
前代セロフィートの記憶は、知識として何時でも見る事が出来るんだ。
ガッカリしたかい? 」
マオ
「 あ…………。
…………オレのセロは──、アンタの中で生きてるって事なのか? 」
セロフィート
「( アンタ──か。
他人行儀なのは仕方無いよねぇ。
ボクとマオは “ 初めまして ” なんだから── )
う~~ん、“ アンタ ” は酷いなぁ。
ボクの事は── “ セロト ” って呼んでほしいな。
ボクは君に危害を加える気はないし、厚意的で友好的な関係を築きたいんだよね。
君の事は “ マオ ” って呼ぶけど良いよね?
ボクの最初の友達って事で宜しく! 」
マオ
「 友達……??
所有物とか玩具じゃなくてか? 」
セロフィート
「 ははは(////)
君はボクの所有物や玩具になりたいのかい?
初めましての相手のボクの?
君は面白い冗談を言うねぇ。
それは前代セロフィートの影響を受けてるのかな? 」
マオ
「 はぁぁぁぁぁ!?
違うし!!
所有物とか玩具にされるなんて、心の底から御免だし!! 」
セロフィート
「 そうそう。
そうこなくっちゃね!
初めて出来た友達に敬語で話されても嬉しくないからね。
これからもボクにはタメ口で話してほしいね 」
マオ
「 …………人形と友達…… 」
セロフィート
「 あれぇ?
“ セロ ” とも友達だったんだよねぇ?
友達じゃなくて、ボクとも “ 友達ごっこ ” をしたいって事かな? 」
マオ
「 と──友達ごっこぉ!?
“ ごっこ ” なんてしたくないに決まってるだろ!
それにオレはセロと “ ごっこ ” なんてしてない!!
セロとオレは両想いの相思相愛だったんだ!! 」
セロフィート
「 ふぅ~~ん?
そう思っていたいなら、勝手に思い続けてれば良いよ。
ボクも優しいからね、そういう事にしくとしようか 」
マオ
「 ……………………本当にオレのセロじゃないのか?
セロじゃないフリをして、オレをからかってるんじゃないよな? 」
セロフィート
「 マオ──、君の “ セロ ” は輪廻の流れへ還ったんだ。
信じられないのかい?
実際に目に見えてた訳じゃないからねぇ。
“ 信じろ ” って言うのも無理な話かな? 」
マオ
「 …………………… 」
セロフィート
「 ほらほら、友達の名前を呼んでごらんよ!
ボクは “ セロト ” だよ。
セ・ロ・トぉ~~~ 」
マオ
「 …………………………セロト…… 」
セロフィート
「 うんうん──、友達って良いねぇ。
今から宜しく、マオ! 」
マオ
「 ……………………お、おぅ…… 」
セロフィート
「 さっき、ボクの中で『 “ セロ ” は生きてるのか 』って聞いたよね?
“ セロ ” は生まれ変わる為に輪廻の流れへ還ったんだ。
ボクの中で “ 生きてる ” って事はないよ。
記憶はあくまでも記憶でしかないんだ。
記憶の欠片に意思はない。
( ──仮にそうなのだとしたら、此処に居るボクは何なんだろうね……。
ボクは記録された記憶の中で長い間人形の中で “ 生きていた ” って事になるのかな??
だとしたら、それはボクだけに限った事ではない筈だ。
ボク以外の先代セロフィート達だって人形の中で “ 生きている ” って事になる──。
だけど、マオには言わないでおこう。
マオには “ セロ ” から卒業してほしいからね )」
マオ
「 ………………セロは居ない…… 」
セロフィート
「 うん。
知識の一部としてボクを助けてはくれるけどね。
ガッカリしたかい? 」
マオ
「 ………………………… 」
セロフィート
「 マオ、無理して “ セロ ” を忘れる必要はないよ。
“ セロ ” と過ごした日々は思い出として大切に覚えていれば良いさ。
友達のボクは心が寛大だからね! 」
マオ
「 人形に心は無いんだろ? 」
セロフィート
「 ははは!
そうだよ、人形は〈 久遠実成 〉から心を授かってないんだ。
使命を果たすには、心ってのは邪魔になるからね 」
マオ
「 ………………………… 」
セロフィート
「 さてと、何時迄も此処に居る訳にはいかないね。
そろそろ出ようか 」
マオ
「 出れるのか? 」
セロフィート
「 転移魔法を使えば出られるよ。
何処に行こうか? 」
マオ
「 何処にでも行けるのか? 」
セロフィート
「 勿論だよ。
そうだなぁ~~。
どうせならマオの故郷を見てみたいな~~。
確かマオの故郷は≪ エルゼシア大陸 ≫だったよね? 」
マオ
「 お、おぅ…… 」
セロフィート
「 よ~~し!
じゃあ、行こうか! 」
セロフィートは転移魔法を発動させる。
魔法陣が出現し、セロフィートとマオの姿が光に包まれて消えた。
◎ 変更しました。
声を掛けた。─→ 声を掛ける。