戦いを求めるモノノフの伝説記
開幕
「飽きた」
体長2mを超える大男が低い声でそう言った。名をアリカと言う。
「ん、違いない」
その横では、大男に比べ随分と低い身長の男が同意した。名をレイと言う。
この2人は探求に生きた。冒険者になりあらゆる迷宮を踏破し、あらゆるモンスターを屠ってきた。そして世界の頂点に立った時することが無くなったのだ。
「強いやつと戦いたい」
2mを超える大男はそう言いながらも分かっていた、この世界に自分に匹敵する力を持つ生き物は存在しないことを
「僕くらいしかいないよ」
低い身長の男もこう言いながら大男には勝てない事を自覚していた。
「そういえばアリカ、転生の実って知ってる?」
レイは確かに存在するという確信を持って、一種の願望のような気持ちを込めて聞いた。
「ふっ、なんだそのアホそうな実は」
アリカは全く信じていなかった。
「む、転生の実は確かにあるよ」
レイが確信を持つには理由があった。それは、この2人が住む世界には数百年に1度、真っ赤なゲートが現れるという。そのゲートが現れると、この世界の言語ではない言葉を喋る人間が世界に降り立ち、時には破壊を、時には繁栄をもたらしたとされているのだ。
レイは貴族の産まれだったため、歴史書で読んだことがあったのだろう。
「真っ赤なゲートか…そんなものが現れたら飛び込んでみたいな」
「飛び込むの?強い敵と戦わないの?」
「そいつを殺して終わりじゃ味気ないからな。その先の世界に行ってみたい」
強い相手との戦いを想像しているアリカは楽しそうだった。
「行けるかは知らないよ?」
レイは異世界の生き物が現れると思っているだけで、異世界に行けるとは考えてもいなかった。
ズズズ
「「!!!!??」」
「嘘でしょ…」
レイは信じられないという顔をしながらも、突然現れた赤いゲートを見ていた。
ふとアリカの方を見ると、そこには土煙が立ちこめていた。
「嘘でしょ…」
アリカは信じられないスピードで赤いゲートに向かっていた。
「行くしかないだろォオ!!」
アリカは赤いゲートから現れた人間を1太刀で沈め、赤いゲートに入った。
「ちょ、待って!僕も!、、、うわあ!」
レイも、降ってきた死体を避けながら赤いゲートに入った。