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 ホサ村の惨劇から一週間が経った。



 侵略軍の中隊長だった男は


敵兵がホサ村に


置いていた荷馬車の荷台に乗せて


このあたりを支配する地方領主の


ダイモンド子爵家の城に護送された。


ラックも同じく一緒に


ダイモンド子爵家の城に送られた。



 領主の家臣からの事情聴取を受けたが


事情を説明すればするほどに


家臣からは英雄のように賞賛され


城内ではかなりの好待遇を受けた。


マーチスの事前の根回しがあったおかげである。



 ダイモンド家の侵略軍への対処は


籠城ろうじょうと決定した。


ダイモンド領を取り巻く状況は


とても厳しいものであった。


ダイモンド領の北、東、西にそれぞれ大国があり


ダイモンド家は元々は


東の大国のエトミア公国の家臣出身であり


エトミア公爵家に従属じゅうぞくしていた。


エトミア公爵家の先代当主シュルジュは


一国の領主から身をおこ


亡くなるまでずっと他国を侵略し続けて


領国を11か国まで広げた。


シュルジュは文武に優れた名君であり


『猛虎』の異名で他国から恐れられた男だった。


その頃はダイモンド家は


エトミア家の重臣の地位にあった。


シュルジュが病没し


シュルジュの長子のマルコが


エトミア家を継ぐと


無理な戦争を繰り返した。


そのせいで国力は疲弊して


他国からの侵略にもあい、


戦争はほぼ連戦連敗し


11か国あった領地は6か国まで減らした。


エトミア家の無理な戦争のせいで


ダイモンド家は長男、次男、三男が戦死。


ダイモンド家は先代当主が亡くなると


四男のフィガロがダイモンド子爵家を継いだ。


フィガロが家を継いでしばらくすると


家臣団を前にして


「マルコ。マジ脳筋。


何度も何度も何度も同じ失敗しやがって!


ポジティブもあそこまで行くと


ただの現実逃避やんけ!


自己否定とか反省とか


一回でいいからしやがれ!


もうあいつ嫌!」と愚痴をこぼした。


フィガロは家臣の反対を無視して


エトミア公爵家と縁を切った。


フィガロは今度は自身の領地の


西に隣接し7か国を領するプレスミン公爵家に


従属するが


西のプレスミン公爵家の当主のエルビーンは


「ジャスティス」が口癖という正義馬鹿であった。


エルビーンは近隣の小領主が他国からの侵略を受けて


困っているとそんな小領主のために


援軍を出し続すがその見返りは決して求めない。


見返りがなければ国庫の財政は悪化していく。


エルビーンの治める国は疲弊していくばかりだった。


エルビーンの政治姿勢せいじしせいに呆れたフィガロは


プレスミン家とも縁を切った。


「あの人ってほんまに滅茶苦茶いい人やけど


正直言ってそれだけ。


もう付き合い切れん。」


フィガロはそう家臣に本音を漏らした。


フィガロは今度は


北の5か国を領するコルクスター公爵家に従属する。


コルクスター公爵家当主のエルナンドは


性格は陰気で真面目。


不真面目で陽気なフィガロとは性格が合わなかった。


「あいつ、マジで生理的に無理。」


フィガロはそう言って


家臣団の反対を押し切って


コルクスター家と縁を切った。


とうとうフィガロは孤立無援こりつむえんの独立領主となってしまった。


ラックが遭遇した侵略軍は西のエトミア公国の軍である。


フィガロはエトミア公国からいつ攻められても


おかしくない状況である事を予想はしていたが


小領主であるために金も人材も兵士も少ない状況で


後手にまわって受け身にならざるおえない。


フィガロ子爵領の兵力は全力でかき集めて


3000名ほどであり


兵は農民などの兼業がほとんどで


本業の農作業もしっかりとしてもらわないと


来年は食糧危機になってしまう。


食糧の備蓄や資金的に長期戦は無理であった。


援軍も来ないのに籠城ろうじょう戦をするのは


フィガロには野心に満ちた計画があった。


「まずエトミア軍に籠城すると


見せかけて奇襲で撃退する。


カウンターで自軍を東に直進させて2か国侵略する。


ほんなら東の覇王ガンボルト大公家と隣接するやろ。


そのタイミングでガンボルト大公家に


従属すれば勝ち確定で


わしって国持ち領主になってしまうやん。


あっと言う間にわしは王様になってしまうわけや。


というわけで。そういう感じでいこうや。」


家臣を集めてフィガロはそういうプランを発表した。


兵力はダイモンド家3000対エトミア家20000。


両軍の対決は間近に迫っていた。







はじめまして。



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