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魔法少女

 ラックとボーグは応接室から廊下に出た。


「では、今から職員を集めて


馬車から物資を回収します。」


ラックにボーグはそう言った。



 「頼むよ。俺は力持ちだから馬車から


荷物を降ろすのは簡単だけれど


運ぶのは人数が多い方が早いからね。


あと、うちの仲間4人もよろしく。」



 「4人については


冒険者ギルドの医務室のベットで


お預かりしましょう。」



 廊下の奥から4人組が歩いてきた。


4人組の中の大柄で色黒の男性が挨拶してきた。


「ギルマス。お疲れ様です~。」



 ギルド長に挨拶してきた男性を


見てラックはドン引きした。


その男性は髪型はアフロヘアー。


筋肉隆々の肉体に


サイズがタイトすぎるシルクのシャツ。


シャツの裾を前で縛っていた。


ズボンはパンタロンを履いていた。


丸くて大きなレンズのサングラスをつけていて


怪しすぎる雰囲気をかもし出していた。


しかも、男性が連れているのは


小学校高学年くらいの少女三人であった。


少女たちは動きやすい格好をしており


爽やかな笑顔で顔の汗をタオルで拭いていた。



 ギルド長に少女たちは


「「お疲れ様でーす!」」と元気よく挨拶した。



 アフロの男性にボーグは口を開いた。


「お疲れミルキー。


稽古けいこは終わったのか。」



 ギルド長にミルキーと呼ばれる男性は


無精ひげだらけの口元をニヤリとさせた。


「今日のダンスのお稽古は終わったわよ。


あとは各自、自宅で自主練習しておくように


課題を出しておいたわ。


ん? ギルマス、その坊や、冒険者さんかしら? 」



 「ああ。新人冒険者のラックだ。」


ミルキーにボーグはそう言った。



 ラックは男性の前に進み出て会釈した。


「新人冒険者のラックです。


駆け出しですがどうぞよろしくお願いします。」



 ラックにミルキーはその大きな体を


くねくねさせて


大きなお尻を左右に振りながら歩み寄った。


「あら、可愛い坊やね。


あたしはA級冒険者のミルキー。


変態色眼鏡サングラス』って団体パーティー


所属をしているわ。どうぞよろしくね。


この子たちはあたしの教え子たち。


3人で『魔法少女サンライト』って


団体パーティーを組んでいるの。


この子たち、こう見えてもC級パーティーよ。」



 少女たちが元気よく頭を下げて


「「ラックさん!


わたしたち3人で魔法少女サンライトです!


よろしくお願いしまーす! 」」



 ラックは引き気味で


「あ、どうも。


俺の方が冒険者として後輩なんで


皆さんよろしくお願いします。」と


少女たちに頭を下げた。



 ボーグに視線を向けてミルキーは口を開いた。


「では、この子たちを家まで送ってあげないと


ご家族が心配しちゃうからそろそろ行くわね。」



 ボーグはうなずいた。


「おう、みんな気をつけて帰れよ。」



 少女たちは「「はい!!!


ギルド長、ラックさん、さようなら! 」」と


元気よく言った。



 ミルキーは少女たちを連れて


階段に向かって歩いて行った。



 ラックは少し呆然ぼうぜんとしていた。


「ボーグ・・・あの人たちってなんなんだ? 」



 ボーグはキョトンとした顔をした。


「は、冒険者ですが。」



 「そんなんわかってるわ!


そうじゃなくてなんていうか。


冒険者として、どういう存在なの? 」



 ボーグは納得した表情を浮かべた。


「冒険者としては特殊な部類でしょうな。


ミルキーの職業は『踊り子』です。


変態色眼鏡サングラス』の


副リーダーをしておる男です。


あと、少女たちですが


『変態色眼鏡』の


リーダーである『ソックスボーイ』という男が


姉妹団体として作ったのが


『魔法少女サンライト』という団体パーティーです。


ソックスボーイいわく、


魔法使いは魔法薬の魔素に侵され短命である。


そんな魔法使いの少女たちに輝いて欲しい。


そして、素敵な思い出を作ってもらいたい。という


コンセプトで作ったのが


『魔法少女サンライト』という団体です。」



 ラックは複雑な表情を浮かべた。


「・・・え?


まったく意味がわからないんだけど。」



 「まぁ、冒険者として彼女たちは


クエストをこなすこともあるのですが


地域のお祭りやイベントで


歌を歌って踊ったりするのが主な活動です。


彼女たちの地道な活動の成果なのか、


そういった内容の依頼も


ギルドに依頼されるようになってきました。」



 ラックは納得いかない。


「はぁ?


それって芸能事務所に依頼する案件じゃん。


冒険者ギルドに依頼する依頼ではないよね? 」



 ボーグは困った顔をした。


「若い女の子たちが青春をかけて


全力で夢にむかってトライするのは


冒険と言いませんか? 」



 ラックは目を丸くした。


(ボーグは催眠術か何かに


かけられているのか? )


「う・・うん。冒険かな。・・そうかもな。


俺も創造神から命令で新人研修と称して


とある世界に


人間として暮らしたことがあったんだが。


そこで、声の役者を目指した事があった。」



 ボーグが驚いた顔をした。


「陛下が人間をすでに経験されていたとは。」



 ラックは思い出すように口を開いた。


「人形劇に役者が声をつけるみたいな仕事なんだが


なるにしても競争率が凄まじく高くてなぁ。


5年間、養成学校に通ったが、結局、なれなかった。


声の仕事なのに歌にダンスまでスキルを求められた。


俺は人間の中では『オタク』と呼ばれる人種であり


マニアックな知識に特化した人種だったが


その代償に運動スキルは0と言っても良かった。


オタクが憧れる職種『声優』が


体育会系だった事が本当に悔しかったなぁ。


滑舌かつぜつを良くするための呪文『外郎ういろう売り』は


いまでも暗記しているぞ。


魔法少女サンライトに俺は


昔の俺を重ねちまうところはある。


太古の昔の俺は冒険をしていたんだなって思えた。


実際はに落ちてはいないが


そういう冒険者もいたっていいじゃないかとは思う。」



 ボーグはかしこまった。


「陛下は生まれながらにして


絶対の強者だと思っておりましたが


そのような研修を受けておられたとは


深い尊敬の念を抱かずにはおれません。」



 ラックは笑った。


「俺だって挫折くらいあるわい!


斬ったはったして


破壊するだけしか能がない今の俺より


あの頃の俺の方が


誰かに夢や希望を与えようとしていた。


なんで破壊神的立場の俺に


創造神は別世界で人間になる研修を


おこなったのかが


いまでも理解できないけどね。」



 ボーグは感慨深い表情をした。


「創造神の深き御心など


わたくしには計り知れようもありません。」



 ボーグの目をラックは見た。


「おっと、無駄話しちまったな。


そろそろ物資の搬入にいこうぜ。」



 ボーグは頷いた。


「では、先に事務所に行って人を集めて参ります。」



 ラックは軽く手を挙げた。


「よろしく。


その間に馬車から物資を降ろしておくよ。」



 ボーグは廊下を駆け足して階段に向かった。










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