受付嬢
ラックはトスコと別れて
冒険者ギルドに向かった。
「さて、仲間たちをどうするべきか。」
ラックは思案を巡らせる。
操縦席に一緒に座るメアリーは
ラックに寄りかかってぐっすり寝ている。
ラックはメアリーに目をやる。
「車の助手席で寝たら
普通は怒られるんだぞ。
居眠り運転の原因になるからな。」
そう愚痴りながらもラックは
メアリーを起こそうとはしない。
冒険者ギルドに到着すると
馬車を止めてメアリーの肩をラックは揺らした。
「着いたぞ。」
メアリーは目を擦りながら
「・・・むにゃ、どこに着いたの? 」
「冒険者ギルドだ。
とりあえず、中に入って職員と話してくるから
メアリーはここで待ってて。」
「わかった。」
メアリーはそう返事をすると
背筋を伸ばして両手を上げて
ストレッチをしはじめた。
ラックは馬車を降りて
冒険者ギルドの建物野中に入った。
冒険者ギルドのロビーには
冒険者がかなりの人数いた。
「結構、人がいるなぁ。
クエスト達成の報告かな。」
空いているクエストカウンターがあったので
ラックはそのカウンターに座った。
ラックに対応してくれたギルド職員は
顔見知りではない女性だった。
ラックはクエスト依頼書を提出した。
受付嬢は目を丸くした。
「このクエストを達成するなんて・・・。
全員A級冒険者のパーティーでも
達成が難しいと言われていたのに。」
「運が良かっただけですよ。」
受付嬢にラックはそう言った。
「ご謙遜ですね。
報酬はいまお受け取りになられますか? 」
「いや、後日で結構です。
仲間たちと達成感を味わいたいので。」
「わかりました。
達成おめでとうございます。
報酬はご用意いたしておきますね。」
受付嬢にラックは頷いた。
「で、お聞きしますが
ギルド長はまだここにいますか? 」
「はい。おられます。
御用があるのでしたらお呼びしましょうか。」
「できればお願いしたいです。」
「わかりました。
では、この受付の近くのソファーに掛けて
しばらくお待ち下さい。」
受付嬢は席を立つとカウンターを出て
階段の方へと歩いていった。
ラックが座っていると
事務所から3人の女性が
連れ立って出てくるのが見えた。
ラックはその女性たちに見覚えがあった。
中央はヒリアス、左はミリス、
右の女性はラックたちを見送ってくれた受付嬢。
右の受付嬢がラックに目をやると
びっくりした表情で両手を口に当てた。
「ラックさん!
ラックさんじゃないですか! 」
その受付嬢の女性がラックに駆け寄った。
「ああ。受付嬢さん。
出発時は元気のよい応援を
ありがとうございました。」
ラックはソファーから腰をあげて
受付嬢にお辞儀をした。
「っそんな!・・・
そんなこと言われたら
恥ずかしくなっちゃいますよ。」
受付嬢は顔を赤くして
頬に両手を添えた。
「わたしの名前はクロエです。
どうぞよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
ヒリアスとミリスが
ラックに歩み寄ってきた。
メガネをかけたミリスが口を開いた。
「ラックさんではありませんか。
クエストはいかがでした? 」
ラックはミリスに会釈する。
「冒険者登録時お世話になりました。
クエストは仲間たちの
おかげで無事達成しました。」
「それはおめでとうございます。」
ミリスは感情が表情に
あまり出ないタイプのようだった。
ヒリアスが口を開いた。
「クエスト達成おめでとうございます。
こちらにいらしたのは達成報告でしょうか。」
ヒリアスは長髪で
海老色の髪が印象的であった。
スタイルがよくて
妖艶な雰囲気の大人っぽい女性である。
「ええ。達成報告は済んだのですが
ギルド長にも物資など色々と支援して
頂いたのでお礼を申し上げたいと思い
ここで待っているんです。」
ヒアリスは頷いた。
「きっとギルド長もお喜びになるでしょう。
では、邪魔をしてはいけませんね。
わたしたちは帰ります。」
ラックは3人に向かってお辞儀した。
「声をかけて頂いてうれしかったです。
みなさんお仕事のお疲れ様です。
みなさん、私服姿もお綺麗ですね。
これから飲みにでも行かれるのですか? 」
ギルド職員3人は微妙な顔をした。
(聞いちゃいけなかったかな。)
3人の反応にラックは戸惑った。
「わたしたちはこれから合コンです。」
クロエはモジモジしながら言った。
クロエの肩をミリスは引っ張った。
「クロエ。
合コンとか言わないで。
ラックさん、ただの飲み会です。
誤解はしないでください。」
ヒリアスが口を開いた。
「ラックさん。
冒険者ギルドの女性職員は
他業種の男性たちから
飲み会によく誘われるのです。
その席で依頼を受ける事も多いので
言うなれば営業のようなものです。」
ラックは納得した表情をした。
(枕営業とかだったら嫌だなぁ。
あ! ヒリアスは夢魔だった!
ヒリアスだけは枕営業の線はあるな。)
「ヒリアスさんたちもご予定があるのでしたら
どうぞ待ち合わせに向かってください。」
ラックにヒリアスたち3人はお辞儀して
ラックに軽く手を振りながら出口へ歩いていった。
しばらくしてギルド長を
呼びに行った受付嬢が戻ってきた。
「2階の応接室でギルド長がお待ちです。
ご案内しますのでラックさんどうぞこちらへ。」
「ありがとうございます。」
ラックは立ち上がると受付嬢と肩を並べて
中央階段に向かって歩き出した。
はじめまして。
Cookieです。
もしも続きを読みたいを思って頂けたのなら
ブックマークや評価をして頂けると励みになります。
よろしくお願いします。




