魂破壊
空はすっかり満点の星に彩られている。
蒼い月の光は森にはほとんど差し込まず
森は暗闇に包まれていた。
木の上にしゃがむゴブリンは
道の向こうから明るい光が近づくのを発見した。
ゴブリンは口笛を鳴らすと
森の各方面から鐘の音が鳴り響いた。
光を放っているのはラック一行が乗る馬車であった。
神官ノーラの法術『光』の効果である。
馬車の真上に光を周囲に放つ球体が浮かび上がっていた。
馬車はゆっくりとした速度で森の中の道を前進している。
森の木の上で仁王立ちする影があった。
「こんな夜更けに光を焚いて走る馬車だと。
馬鹿な人間もいたもんだな。」
影の主に月の蒼い光が当たった。
尖った耳に黒い肌のエルフの姿であった。
ラック一行の馬車の前に巨大な影が浮かぶ。
6メートルはあろうかと思われる巨体の怪物。
それはトロールと呼ばれる異界の怪物であった。
トロールは木々をかきわけ道に侵入してくる。
巨大な影は3つあり、トロールは3体と推測された。
トロールは巨大な木の棍棒を振り上げて
馬車へと歩み寄ってくる。
ラック一行の馬車が急停止した。
馬車から4つの影が飛び出して森に中へ消えた。
馬車からラックが降りた。
ゆっくりと歩いてトロールに近づいていく。
ラック一行の馬車の周囲は『光』の効果で明るい。
緑色の巨体を持つ怪物『トロール』の
姿がハッキリと見えた。
ラックは無言のまま、トロールへ近づく。
トロールはニヤリと笑みを浮かべている。
「ふはははは! シネ! ニンゲン! 」
トロールは振り上げていた棍棒を
ラックに目掛けて振り下ろした。
振り下ろされた巨大な棍棒を
ラックは、パンッ! と右手の甲で払った。
トロールの木の棍棒は粉々に砕け散った。
その反動でトロールは体勢を崩して尻もちをついた。
「あがががが。ニンゲン、ジャナイノカ? 」
トロールは砕け散った棍棒の柄を右手から離した。
トロールの目の前にラックは歩いて迫ってくる。
トロールは地面に手をついて立ち上がった。
ラックに目掛けて右足で前蹴りを放った。
ラックはトロールの足の裏を掴んだ。
「スキル『魂破壊』」
トロールの右足の裏の肉を
ラックは右手の指で抉り取った。
トロールの足の裏から少しだけ血が出た。
トロールにとってはカスリ傷程度の物であり
高い再生能力を持つ怪物であるトロールは
かすり傷程度ならすぐに塞がるはずだった。
しかし、かすり傷は一向に塞がらない。
ズシーーーン! と地鳴りを立てて
トロールは白目を向いて後ろ向きに地面に倒れた。
トロールは絶命していた。
ラックのスキル『魂破壊』によって
魂を破壊されたトロールは即死をしていた。
はじめまして。
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