攻撃
指揮官は少年への対応に迷っていた。
(なんだ・・・この少年の自信に満ちた態度は?
この得体が知れない一人の少年に
配下が30数名が殺されたという。
兵士は人殺しのプロだぞ。
素人に一方的にやられるわけがない。
素人の武勇だというなら
こちらは数で押し切れる。
だが、いざ対象の少年を目の前にしてみれば
華奢なただの少年にしか見えないではないか。
益々もって得体が知れない。
少年が人間なら良いが・・・
魔物憑きの類ならこちらの全滅もありうる。
撤退するべきか。
いや、情報も無いまま本隊に戻れはしない。
意味もなく兵士を失ったとなれば
当然、私は責任を問われるだろう。
クソッ!
合流するはずの別動部隊の50名は
こんな時に何をしておるんだ?
・・・・・まさか?!
すでに、この少年に殲滅された?
いやいや、そんな情報も証拠もない。
根拠の無い憶測で行動できなくなるなど
愚の骨頂。
もはや、やるしかあるまい。)
指揮官は目の前の少年を攻撃する判断に至った。
「小僧!悔いを残すのは貴様の方だと知れ!」
ラックに向かってそう言い放つと指揮官は
右腕を真上に大きく振りあげる。
「第七小隊前へ!!!」と大きく叫んだ。
10名の兵士が横一列になり
ラックの正面に進み出ると槍を構えた。
包囲する兵士たちに緊張の色が広がった。
指揮官は右腕の先をラックの方向に振り下ろす。
「第七小隊、突撃!!!!」
指揮官は大きな声で第七小隊に号令した。
第七小隊は指揮官の号令に反応し
10名の兵士は横一列に
剣を構えるラックに襲い掛かった。
兵士はたちは一斉にラックに槍を突き立てた。
10本の槍がラックの体に切先が届いた。
しかし、槍の切先はラックには刺さらなかった。
ラックは笑みを浮かべている。
「俺って多分、
この世で最高に耐性値が高けぇんだよ。
打撃、斬撃、物理、魔法、毒に麻痺。
そういう属性攻撃は
中途半端な攻撃力じゃ俺には効果でねぇよ。」
兵士たちにラックの呟きは聞こえていない。
兵士たちは必死で何度も槍を突いているために
耳には自分の呼吸しか聞こえなかった。
力一杯に槍を突き出し続けた。
それでも刺さらない。
ラックは笑みを浮かべ
目を見開いて殺気を放ち続けている。
第七小隊の兵士たちは不気味な恐怖で
逃げ出したい気持ちになっていった。
生身に槍が刺さらない人間。
存在しないような存在が目の前にいる。
答えは人間ではない存在という確信しかない。
ラックが左手で兵士の持つ槍を掴んだ。
槍をグッと握った。
その手を上に高々と掲げて槍を持ち上げると
兵士も一緒に持ちあがった。
持ちあげられた兵士は槍を放そうと考えた瞬間。
ラックは槍を掴んだ腕を思い切り振り下ろした。
槍と一緒に兵士は不自然な姿勢で地面に叩きつけられた。
叩きつけられた兵士は地面に横たわり動かない。
それを見た瞬間に
第七小隊9名は一斉にその場を逃げ出した。
地面に倒れる兵士を含めて
ラックは第七小隊全員を視界に入れた。
「ロックオン」
ラックの左目は
第七小隊10名の兵士を視界に捉え
10個の魂をロックした。
「アブソーブ」
ラックの左目が紫の光を帯びた。
10名の兵士たちの魂は一瞬で
ラックの左目に吸収された。
逃げる9名の兵士は白目をむきながら地面に崩れ落ちる。
包囲する兵士たちは何が起こったのかの
理解が出来ず、ただただどよめく。
兵士たちに戦意はもう残っていない様子だった。
指揮官の撤退の指令を待っているような雰囲気が漂っていた。
「あの少年。やはり魔物の類だろうな。」
兵士の空気を感じて指揮官は溜息をついた。
指揮官は撤退する決意をした。
敏感にラックは兵士たちの撤退の空気を感じた。
「おい!本職の兵隊さんが子供を相手に逃げるのかよ!」
ラックは怒りをあらわにしながら
包囲する兵士たちに大きく叫んだ。
はじめまして。
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