回復法術
(テューネに人面剣も渡したし
戦力の底上げは出来たのかな。)
それでもラックは不安を感じている。
A級パーティーが数組が
このクエストを受けて失敗したというのが
ラックは妙に気になっている。
ラックの部屋での作戦会議が終わり
ノーラを残して他の3人は部屋を出て行っていた。
ソファーに座るノーラにラックは目を向けた。
「残ってもらって悪かったね。」
ソワソワした様子でノーラはラックを見た。
「いえ、それでわたくしに何の用でしょうか。」
「ノーラさんは法術で何が出来るのかを
詳しく知りたいんだけれど、具体的に教えて欲しい。」
「ええ、構いません。」
「まず、ノーラさんレベルっていくつ? 」
「24です。」
「えっと、年齢の話じゃなくて
レベルの話なんだけど。」
「しっ・・失礼な事を言わないでください!
レベル24なんです。年齢は17です。
わたくし、年齢を上に言われたの初めてですよ。」
「あ。ごめん。ごめん。ごめんなさい。
悪気はなかったんだ。本当にごめん。
それでさ、法術で何が出来るのかな。」
「はい。初級の回復法術と異常状態解除。
それと初級の魔法障壁と物理障壁ですが
障壁は初級ですので
強度はあまり大したものではありません。」
「そっか、実質、回復がメインになるね。
試しに俺に回復をかけてみてくれるかな。」
「はい。」というとノーラは両手を組むと
目を閉じて精神を集中した。
「神よ。
その慈悲深き愛をもってこの者に癒しの光を。
『回復』。」
詠唱を終えてラックに両手をかざした。
ラックは癒しの光に包まれた。
「なるほど。う~ん。慎ましやかっすね。」
ノーラは顔を真っ赤にした。
「もう!
そんな言い方はあんまりです。
これでもちゃんと傷は塞がりますし、
体力も回復します。
何がそんなにいけないんですか? 」
「う~ん。いけなくはないんだけれど
回復法術を重ね掛けをしまくらないと
多分、戦闘支援としては厳しいかなぁ。」
「連続使用なんて
わたくしの精神がもたないです。」
ノーラの目が潤んだ。
「あ。えっと、ちょっと、考えてみる。」
ラックは自分の顎に手で撫でながら思案した。
ノーラはジッと、ラックを見ている。
「ノーラさんは守護天使っていないの? 」
ラックの質問にノーラは首をかしげた。
「守護天使? それは、なんのことでしょうか? 」
ノーラにラックは質問を質問で返された。
「う~ん。いないのかなぁ。試してみるか。
ノーラさん、俺のいう詠唱を唱えてみて。
『神よ。
願わくば我を守護する天の御使いを示し給え。』
はい! 俺と同じように唱えてみて。」
「え。あ。はい。」
そう言ってノーラは両手を胸の前で組んだ。
「神よ。
願わくば我を守護する天の御使いを示し給え。」
フワっと、ノーラの背後に白い靄が立ち上る。
その靄は天使の姿を微かに象っていった。
「ほう、主天使の長『ツァドキエル』か。いいね。」
ラックは靄が形作るふんわりとした天使の造形を
見ただけでその天使が誰だかがわかった。
「ノーラさん、回復詠唱を変えよう。
『神よ。』を『我の守護者よ。』に変えてみて
それで俺に回復をかけてみてよ。」
「は・・はぁ、わかりました。」
ノーラは半信半疑な表情で胸の前に両手を組んだ。
「我の守護者よ。
その慈悲深き愛をもってこの者に癒しの光を。
『回復』」
詠唱を終えると両手をラックにかざした。
癒しの光がラックの体を包む。
「おおおお! うん! これは良い回復力だよ!
明日は、その法術詠唱でお願いします! 」
はじめまして。
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