忠誠
ラックが気功術を解くと
盗賊たちの体調は徐々に回復していった。
エリックが頭目と話をすると
頭目は涙を流してラックに土下座して謝罪した。
ラックの前に立ちエリックは頭を下げた。
「彼らの命を助けてくれてありがとう。
オレっちの覚悟は出来ている。
オレっちを煮るなり焼くなり
好きにしてくれたらいい。」
バーナードが焦った顔をした。
「ラック! さっきの約束は冗談だよな!
こんな男を殺しちまったら世界の損失だぜ!
オレは殺すことには絶対に反対だぜ。」
「金髪碧眼の美男子を殺すのは
世の女からしても損失だとおもうよ。」
テューネが口を出した。
「人を殺めるなんていけないとおもいます。」
ノーラは小さな声で意見を述べた。
ラックは呆れた顔を仲間たちに向けた。
「命をもらうってのは言葉のあやだよ。
殺すなんて俺は一言も言ってない。」
エリックは驚いた顔をした。
仲間たちら3人の表情がパっと明るくなった。
「では、オレっちはどうなる? 」
エリックはラックに問いかけた。
「うちの家の執事にでもなってもらおうかな。
命っていうのは、時間、寿命って意味だったんだ。
あなた無職だろ。俺ん家の使用人になってよ。」
仲間ら3人は唖然とした表情を浮かべた。
「あははは! 」とエリックは笑った。
「給料はもらえるんですかね。」
「もちろん。 働き次第で昇給もするよ。」
ラックは人差し指と親指で丸を作った。
「これからよろしくおねがいします。ご主人さま。」
エリックは、うやうやしく礼をした。
「うん。よろしく。俺の名はラック・デストだ。」
ラックは右手を差し出し、エリックと握手をした。
右手を添えたままエリックは片膝をついた。
「ご主人さまにお願いがあります。」
「なに? 」
「この森の怪物共を駆逐して頂けませんか。
オレっちがここを放れれば
怪物共から彼らを守れません。
彼らはこのままではまた暴発してしまいます。」
ラックは少し悩んだ。
「そのお願いにエリックは何を俺に差し出す? 」
「永遠の忠誠と、それと一生懸命働きます。」
ラックの表情は明るくなった。
「ははは。一生懸命っていうのは素晴らしい。
いいでしょう。駆逐しましょう。
しかし、俺達には急ぎの仕事がある。
その仕事に付き合ってくれ。
早く仕事が終わればそれだけ早く問題が解決するよ。」
「は! このエリック、全力を尽くしましょう。」
ラックは片膝をついた。
エリックの耳元にラックは口を寄せる。
「盗賊たちにもしもの時は
帝都の冒険者ギルドを頼れといってくれ。
俺の名前を出せば無碍にはされないはずだ。」
「はい。 彼らに伝えます。」
はじめまして。
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