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家族

 「村の人間は全て殺したか?」


馬上の指揮官が歩兵に訊いた。



 「は!おそらくは皆殺しにしたかと。」


歩兵は指揮官の問いに答えた。



 「こちらの動きが敵に漏れるわけにはいかぬ。


子供であろうと容赦できん。


ひとかけらの情けもかけてはならぬ。」


そう言って指揮官は眉間にしわを寄せた。



 道の先から歩兵の一人が慌てた様子で


指揮官に向かって走ってくる。



 「ん。何かあったのか。」


指揮官は顔をしかめて


走りくる兵士が近づくのを待った。



 息を切らせながら兵士は指揮官のかたわらに跪く。



 「報告します!


村の住人とおぼしき少年が単独で


我々に攻撃をしかけてきました!


3つの小隊が壊滅し


すでに約30名が死亡したと思われます。」



 「何をバカな!


平民の少年ごときが


なんで兵士を殲滅できる?


馬鹿な報告をしてくるな!」


報告を受けた指揮官は


現実を受け止めきれずにいた。



 伝えてきた兵士の真剣な表情に指揮官は


実際に何かの異変は起きている空気を感じた。



 「ただちに各小隊をここへ召集しろ!


単独で小隊を全滅させる武力があるなど


にわかに信じられんが統率の混乱を避ける為、


兵を一か所に集めて問題に対処する。」


指揮官がそう指示を出すと


指揮官の周囲の兵たちは敬礼し各方向へ走り出した。






 焼け落ちた民家。



その民家の中で


片手に剣を握りしめたラックが


呆然と立ち尽くしていた。


 「父さん。母さん。」


焼け落ちた民家はラックの自宅だった。


家の中には真っ黒に焼けた三体の死体が横たわっていた。


「クソっ!もう遅かったか。」


父の死体は体をメッタ刺しにされた傷が残っていた。


母の死体は衣類を身に着けておらず腹は裂かれていた。


妹の死体は首が斬り落とされていた。


家族の無残な姿にラックには悔しさが込み上げてきた。



 「よくもやってくれたな。」


ラックは右手に持った剣を強く握りしめる。


「敵が何百、何千、何万人いようと皆殺しにしてやる!」


ラックは強い思いでそう誓う。


 ラックは家族の死体を見つめながら


大粒の涙を流して肩を震わせていた。


ラックの記憶は自分の記憶として刻まれている。


ラックが家族と過ごした思い出は


自分自身の思い出として心の中に残っている。



 ラックはここに到着するまでに


遭遇した兵士たちを剣で皆殺しにしていた。


その返り血で全身を赤に染めていた。


兵士を殺したあとに魂を吸収した。


ラックは兵士を殺したあと


兵士の死体付近で


青白い玉が浮遊しているのを視認した。


本能的にそれが「魂」だと気付いて左目で吸収した。


魂を吸収して兵士を殺すのではなく


実際に物理的に殺したのは


ラックに怒りの感情があったからだった。



 ラックは視界に画面を展開させた。


殺したあと兵士の魂を


吸収して得た残ポイントを確認した。


残32ポイントを


攻撃力と防御力に全て振り分けた。


攻撃力40


防御力29


「数字は二桁しかないけど


人間が相手なら十分過ぎるだろう。」


家の外から沢山の足跡が聞こえる。


ラックは自宅の入り口から外に出た。



自宅の周囲は大勢の兵士たちに包囲されていた。



 馬に乗った指揮官が前に進みでた。


「おい!


武器を捨てて降伏しろ!


そうすれば命は助けてやる!


お前の能力次第では


俺の家臣にしてやってもいい!」


指揮官はラックに向かって叫んだ。


 

 ラックは真っすぐ指揮官を


見据えて睨み付けた。


 「馬鹿言うな!!!


断る!!!


俺の村に・・・村の皆に


こんな酷い事を


命令する人間に尻尾をふれるかよ!」


ラックは不快感いっぱいに叫ぶ。


ラックは包囲する兵士たちを睨み付け威嚇した。


「クソ外道どもめ!!!


この世に悔いが残らないように全力でかかってこい!!!」


ラックは兵士たちにそう叫ぶと剣を正面にかまえた。




はじめまして。

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