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金策

 S級(ランクパーティーの4人を


ラックが懲らしめた次の日の朝。



 昨日、ホテルに帰ったラックは


マリアに黙ってレストランで飲食をして


無駄遣いをした事を怒られた。


それでフィガロからもらった金貨も


全部、マリアに取り上げられてしまった。


昨日はマリアはというと


街のお店を巡ったり


不動産屋と新居の物件の相談をしていた。


新しい生活へ向けての基盤作りに


努力していたのだ。


マリアは今日は不動産屋と物件を巡るらしい。


それなのにラックは生活基盤も安定していないのに


無駄遣いして帰ってきた。


ラックにも言い分があるにはあるが


マリアが怒るのも無理はないと理解もできた。


昨日の食事代の釣りである銀貨7枚が


ラックの全財産になってしまった。


ラックは『働いたら負け』みたいな思想が


霊体の記憶に刻まれている。


ラックはフィガロから


もらった金貨が無くなったら


仕事しようと漠然と思っていた。


銀貨7枚を全部使ってしまったら


マリアに泣きついてお小遣いをもらわないといけない。


そんな中年夫婦みたいな生活を新婚でしたくはない。


「働かざる者なんとかって奴か。」


渋々、ラックは冒険者ギルドに徒歩で向かった。






 冒険者ギルドに到着したラックは


まっすぐクエストボードに向かった。


クエストボードには冒険者たちがたむろしていた。


(朝だからか。みんな仕事に意欲的だなぁ。


昼夜逆転した生活をしてた時期が長かったから


みんなの労働意欲が眩しくて俺は心が痛いよ。)


ラックには駄目人間だった時代が一番幸せだったと


霊体の記憶に強く刻まれている。


しかし、前向きに真面目に人生を頑張る人を


馬鹿にするのは、おかしな話というのも


感情の部分で理解できてはいた。



 ふと、クエストボード前の


冒険者たちを眺めていると


その冒険者たちの中に神官がいた。



 「おい、レオナ、おはようさん。」


ラックはレオナの姿を見つけて挨拶した。



 「あらあら、陛下、おはようございます。」


レオナは昨日の脳天落としの事は


まるで気にしていないようだった。


レオナはラックに深く頭を下げて挨拶した。



 「陛下とかいうな。 ラックでいい。


レオナ、ちょっと相談があるんだけれど


そこのソファーで話を聞いてくれる?」



 「ええ。喜んで。」



 ラックとレオナはソファーに腰かけた。



 「ご相談というのは何でしょうか? 」



 ラックは言いにくそうに


レオナに向かって親指と人差し指で丸を作った。



 「その指の形は、オッケー! って


ことでしょうか? わたくしもオッケーです。」



 「違う! お金! 俺、奥さんにお金を


管理されてしまって手持ちが少ないの!


レオナはS級なんだからお金を持ってるんでしょ。


元主君が困ってたら元家臣が助けるって


なにかで聞いた事あるよ。」



 「あら。 ラック様はご結婚されていたのですね。


おめでとうございます。では、お祝いとして


少ないですが・・・こちらを差し上げましょう。」



 レオナはショルダーバックから


ゴシックなデザインの財布を出してラックに手渡した。



 「お。 サンキュ。助かるよ。」


ラックは嬉しそうに財布を開いた。


「え? レオナ、冗談だよね。」


レオナの財布には


大銅貨1枚、中銅貨2枚、小銅貨12枚しか


入っていなかった。



 「それがわたくしの全財産です。」



 「ん、なわけないだろ。


大領主の家臣と冒険者を兼業しているんだから


めっちゃ稼いでるはずだろ。」



 「わたくし、福祉活動をしていまして


孤児院や社会福祉活動団体に


給金のほとんどを寄付しています。


だから、わたくしはお金持ちとはいえません。」



 「これからは元主君にも寄付しろ! 」



 「はい。わかりました。これからは


ラック様にもお金を差し上げるようにしますね。」


レオナはラックに優しい笑顔を向けた。



 ラックはレオナの純粋な笑顔を見て


自分の惨めさを痛感して心が苦しくなった。



 「これは返す!


お前だって多少は金がいるだろ。」


ラックは財布をレオナに返した。



 「お前は人間の真似をしていても熾天使なんだな。


『ウリエル』って名前で呼んでた頃が懐かしくなるよ。


お前に金の無心をした俺が馬鹿だったわ。


そんじゃ、ミランダはどこにいる? 」



 「先ほど、お手洗いに行くと言ってました。 」



 「え? あいつ、排泄行為するんだっけ? 」



 「あら、それはわたくしの口からは言えませんが


おそらく、お化粧を直しに行かれたのだと思いますよ。」



 「は? 化粧? そういえば、昔に比べて


顔がちょっと華やかになった気がするなぁ。 」



 「彼女、女社会でずっと生きていましたから


外の世界に出て、殿方の視線を


意識し始めたようなのです。


わたくしは、そんな彼女が可愛らしくて、


とっても、いじらしくて、見ていて和みます。」



 「あいつも色気づいたのか。まぁ、普通の事だよな。


でも、あいつ、処女を失ったら神性を失うんだけど


女の幸せっていうのは


処女を守ることでもなんだろうね。」



 「ウフフフ。それはどうでしょう。」



 「レオナ、相談に乗ってくれてサンキュ。


そこの女子トイレの前で


ミランダを待ち伏せでもしてくるわ。」



 ラックは変質者のような発言を気にもせずに


ソファーを立つと、女子トイレの前でウロウロしていた。







 しばらくして、ミランダが女子トイレから出てきた。



 「おい! ミランダ! 」


ラックはミランダに声をかけた。



 「わっ!!! 陛下! 


また暴力を振るいに来たんですか? 」


ミランダは身をすくめて怯えた目をラックに向けた。



 「違うわ! お、お前、髪の毛めっちゃ整ってるな。


巻き髪でも直してたんか。色っぽくなりやがって。」



 「うわぁ~。なんか、


嫌らしい目で見ないでもらえますか。


女子トイレの前で待ってるなんて変態っぽくて怖いです。」



 「チッ。元主君を変態扱いかよ。


そんな些末な事はどうでもいいわ。


相談があるからそこのソファーに座れ。」



 ラックはミランダの腕を強く引っ張った。



 「ん、もう! わかりました!


言う事を聞くんですから、痛いのとかやめてくださいね。」



 ラックとミランダはソファーに腰かけた。



 「それで相談ってなんなんです? 」


ミランダは明らかに迷惑そうな顔をラックに向けた。



 「キッスするから目を瞑れ。 」



 「いきなりセクハラですか。 」



 「いいから瞑れと言っている! 」



 「・・・ホンキなんですか。


陛下って・・・わたしのこと好きなんですか? 」



 「お、おう。お前は長く仕えてくれた家来や。


可愛く思わないはずがないだろ。


お前も俺をそう思ってると信じてる。 」



 「・・・でも、こんな人の多いとこでするんですか。


もっと、ムードとかそういうのを


気にしてほしいんですけど・・・」


ミランダは周囲の冒険者たちの目を気にしながら


肩をすくめて俯き加減で顔を赤らめていた。



 ラックは冗談のつもり言ったのに


なんか、変な感じになってしまったので


なんだか困ってしまった。



 「あ。悪い。冗談だ。


実はな、俺は、もう結婚してる。」



 「え! 陛下が結婚! 誰とご結婚したんですか! 」



 「ごく普通の一般人女性さ。 」



 「マジですか! 陛下が人間と結婚って。


そんな事があるんですね。


いや、おめでたいお話なのに不謹慎でした。


陛下、心からお祝い申し上げます。 」



 「サンキュ。


とある筋からお前に乙女な心が芽生えたと聞いてな。


少し、からかってやろうと思ったんだけれど


悪ふざけが過ぎた。


俺も心から謝罪する。ごめんなさい。」



 「もう!


陛下に少年の姿で謝られたら、


わたしが怒っても大人げないじゃありませんか。


今後、わたしの心を弄ぶような冗談はもう嫌ですよ。」



 「うん。わかった。


で、本題なんだけれど、奥さんにお金を管理されてな。


俺はお金の持ち合わせが少ないのだ。」



 「はぁ~。 それは大変ですね。」



 「他人事みたいな反応はよせ! 」



 「え? それって、家庭の問題ですよね?


わたしにとって他人事じゃないんですか? 」



 「元主君が困ってるんだ。お金をくれ。 」



 「わたしに都合のいい女になれというんですか!? 」



 「ま、そう受け取ってくれてかまわない。


駄目な俺を許してくれ。 お金ちょうだい。」



 「わたしだって何かと物入りなんですよ。


美容院で髪を整えたり


化粧品やバックに小物、


私服とか靴にも気を使ってるんです。


お洒落な所で食事もしたいし


おめかしして旅行にだって行きたいんです。


女の子って、お金がかかるんですよ。」



 「すまん。 そこをなんとか。」



 ミランダは黄色いシックなデザインのカバンから


ピンク色の高級そうな財布を出した。


「はぁ~。 陛下、手を出してください。 」



 「サンキュ! 恩にきる。」



 ミランダは財布から金貨を1枚ずつ出して


ラックの手に乗せていく。



 「1、2、3、4、5、6、7、8。


もう、これで十分じゃないですか? 」



 「もう一声! 」



 「9、10。 もう無理ですよ。 」



 「もうあと一声! 」



 「11、12。これ以上は本当に無理。


今月はなにかと支払いがあるんです。」



 「そっか、ごめんな。助かった。


また困ったら、必ずミランダに相談に来るよ。」



 「月末にこられても支払いなんかでお金ないんで。」



 「わかった。月末以外に来るね。ミランダ愛してる。」



 「陛下、奥さんいるんですから


軽々しく女に愛してるなんて言わないでくださいよ。」



 「陛下なんて水臭い。ラックと呼び捨てでいい。


この気持ちを体で表わしたい。ハグしてもいいか。」



 「ん、もう、好きにしてください。」



 ラックは思い切りミランダを抱きしめた。


「本名の『ヒヤルムスリムル』と今は呼ばせてくれ。


戦乙女ワルキューレヒヤル、お前こそ我が忠臣だよ。」






 ラックはミランダからお金をもらったので


冒険者ギルドのレストランで食事をする事にした。


入り口を入って客席を見渡すと、テレサを発見した。


テレサは4人席のテーブルに一人で座り


テーブル一杯に皿を並べて食事をしていた。


テレサは兜を脱がずに


兜をズラしながら食事をしていた。



 「行儀悪いなぁ。


兜を脱がないと、食べにくくないか?」


ラックはテレサのいるテーブルの席に腰を下ろした。



 「んぐッ・・・陛下!!!


ちょっと・・今日は何の用ですか?


食事の邪魔をしないでください。


兜を外さない理由を


知ってるくせに嫌味ですのね。」



 「テレサの顔って蛇顔だもんね。」



 「うるさいですね!


陛下、別の席に移って頂けますか?」



 「はぁ~。元主君に冷たいねぇ。


お前さぁ、金とか持ってる?」



 「ブゥッッ!!!


なんなんですか、いきなり。


陛下、もしかして、うちからお金を


むしり取りに来たんですか?」



 「おいおい、むしり取るなんて人聞きの悪い。」



 「じゃあ、違うんですか?」



 「いや、違う事も無い。


俺さぁ、奥さんにお金を管理されてしまってて


お金の持ち合わせがないんだよねぇ。


このポテトフライを少しもらうよ。」


ラックはテーブルの上の山盛りのポテトフライの皿を


自分の前に引き寄せた。



 「え? 結婚。陛下が結婚!


すごいじゃないですか。


おめでとうございます。ご祝儀なら話は別です。」



 「おおお。気前がいいね。


お前の種族って、光物が好きだったよね。


結構、金塊とかため込んでるんじゃないの?」



 「コレクションに手を出されたら困りますの。


うちは食費がすごくかかってるんで


人様にあげるお金なんて持っていません。


でも、ご祝儀として大金貨一枚だけなら差し上げます。」


テレサは隣の席に置いていたリュックを引き寄せると


小箱から大金貨一枚を取り出してラックに手渡した。



 「ありがと。助かるよ。


俺も新婚だからお金がかかるんだよね。」



 「そうですか。


結婚生活も何かと大変なんですね。」



 「お金はとりあえずこれでいいからうろことかくれない?」



 「!!!・・・人の体の一部を奪おうというのですの!?」



 「生えてくんだし、減らないじゃん。」



 「嫌に決まってます! 」



 「爪はどう? 」



 「嫌です!」



 「血液でもいいよ。俺に献血してくれよ。」



 「その目、ホンキすぎて怖いです!」



 「もう、内臓もいっちゃう?


竜の肝臓って、かなりの高額で


取引されてるって知ってる? 」



 「陛下のバカ! 


内臓なんて取られたらしんじゃいます!


陛下は、うちを解体して殺す気ですか! 」



 「肝臓って再生するって聞いた事あんだけど。」



 「そういう問題じゃありませんの! 」


兜から覗く、テレサの顔から


おそらく涙であろう水滴が流れる。



 「あ! それ! 竜の涙!!!!


垂れ流すくらいなら俺にくれ!!!


錬金術師が大金できっと買い取ってくれるはず。」



 テレサは急いで手で涙を拭った。


「あげません。


陛下になんかにもう何もあげません。


陛下は・・ひっく・・・そうやって・・・


うちをゲテモノと見下して


うちに酷い扱いをして・・それをうちは・・・


ずっと、ずっと、我慢してき・・・ぅぅぅ。」



 「チッ! うっせぇなぁ。


テレサはケチん坊だな。


お前さぁ。その鎧兜で全身隠してるのって


人間に変化しきれてないのを気にしてんの? 」



 「わっぁぁぁぁん!!!


陛下は、うちを変化の術も


ろくに、つかえない落ちこぼれとか


出来損ないっていうんでしょ。


そうやって、昔から、


いつも、うちを馬鹿にして! 」


テレサは大泣きし始めた。



 「いやいや、そうじゃない。


お前の身体を人間の身体に


整えてやってもいいよって提案さ。」



 「・・・・え?・・・」



 「お前の肌の鱗に、蛇のような目、顔の骨格を


人間らしい容姿に改造してやれるって言ってんだよ。」



 「あ・・あの陛下、それは本当ですの? 」



 「まあな。お前もメスだし、


顔にコンプレックスあんだろ。


人間の男にも好意を持たれたいとか


思ってんじゃないのか。」



 「え・・ええと陛下?


急にどういう風の吹き回しですの? 」



 「人間の世界では整形ってのは


お金がかかるんだよ。


報酬としていくら払えるんだってことだよ。


そこんとこ察しろ。」



 「えええええ。うそ。


綺麗で可愛い女の子になれますか?」



 「おまえの凛とした雰囲気の素材を


残して人間の造形に落とし込んで


整えたらかなりのクールビューティーに


なれると俺的には思うんだよね。」



 「・・じゃ・・宝石箱あげます。・・・」



 「お! 毎度あり。先払いで頼みますよ。」



 テレサはカバンから


宝石が散りばめられた豪華な装飾の箱を出した。


「あの、これでお願いします。」


名残惜しそうにしながら宝石箱をラックに手渡した。



 ラックは宝石箱をあけると


中には宝石がギッシリと詰まっていた。


「たしかに。」と言って


ラックは静かに箱のフタをしめる。


ラックはショルダーバックに宝石箱を詰め込んだ。



 「で、いつ、施術していただけますの?」



 「いますぐだよ。」



 「え、本当ですの?! 


陛下ありがとうございます。」



 「おい、礼は施術後に言うもんだろ。


あと、陛下はよせ。人間の皇帝がいる帝都で


陛下なんて呼ばれたら誤解を招く。ラックでいい。」



 「はい。ラックさま。」



 「では、施術するぞ。鏡とか持ってるか?」



 「はい。すぐに出します。」


テレサは宝石で装飾された手鏡を出して


テーブルの上に置いた。



 「じゃぁいくぞ!準備はいいか。」


ラックはテレサに向けて両手をかざした。



 「よろしくお願いします! 」


テレサは緊張で肩を震わせて身を寄せた。



 「スキル『人体錬成』!!!発動!」


ラックの両手から魔力が放たれテレサを包み込む。


ラックの視界に画面が展開した。


画面内でテレサの身体解析が行われる。


テレサは魔術で身体を変化させているために


解析画面の項目にいくつかエラーが発生している。


ラックはそれを気にせずにイメージを頭の中で


画面内のテレサの身体データに反映させていった。


テレサの変化魔術の式に


ラックが人体錬成でスキルで


構築した身体の修正データを


張り付けるという力業ちからわざ


無理やりスキルの効果を成立させた。



 ラックのスキルが発動してテレサの肉体に変化が起こった。



 テレサは全身、鎧や兜で覆っており


外からは生身の変化が視認できなかった。



 「ふぅ~。終わったぁ。


いい仕事をしたわぁ~。」


ラックは満足げは表情を浮かべている。


「おい、テレサ、兜を脱いでみろ。」



 「もう、終わったのですの?」


テレサは恐る恐る兜の中に手を入れて


顔の肌の感触を確かめた。


「肌がやわらかい・・・スベスベです! 」


テレサは勇気を出して兜を脱いだ。


兜を隣の席に置くと


手鏡を持って、自分の顔を鏡で見た。


「うわぁ~。 人間の女の子ですの!


歯も整って、スッキリとした目鼻立ちになってる。


綺麗な髪、スベスベの肌、銀のような灰色の瞳。


ラックさま。あり・・・あ・・うぅぅ・・。」


テレサは感極まって顔に両手を当てて泣き始めた。



 「もう何も言うな。俺は仕事をしただけだ。」



 「ほ・・ん・・とうにか・・んしゃです。


お礼に今度、もう一つ、宝石箱を差し上げますの?」



 「おう、それは助かる。それでだけれど


お前がもとの竜の姿に戻ると錬成が壊れるから


その時は別料金で、もう一回、錬成し直してやるよ。


金がかかるんだから


無駄に皇竜『バハムート』の姿に戻るなよな。」



 「はい。わかりましたの。


でも、もしも、元の姿に戻ったその時は


また錬成をお願いします。」



 「おう。その時はいつでも言ってこいよ。」



 「ラックさま、整形施術を副業になさったら


お金が儲かるのではないですか? 」



 「だな。昔の俺ならそうしてたかもな。


でもな、いまの俺が思い描く人間社会の在り方とは


かなりズレるんだよ。」



 「え? 言っている意味わかりません。 」



 「なんていうか、


人間の顔のファッション化が起こってしまうのさ。


ファッションみたいに、流行の顔が生まれたりして


みんな同じ顔に整形して欲しいって事になってくんだよ。


それで街の人がみんな同じ顔とか


毎週、顔見知りの顔が変わるような世の中には


俺は抵抗あるってことさ。


ま、お前の場合は顔の素材を残しつつ


人間らしい造形に整えただけだけれど


有名な女優の顔を真似て欲しいとか言ってきたら断るよ。 」



 「へぇ~。ラックさまも色々とお考えがあるんですのね。」



 「まぁな。


あ! そうだ、クラウスに大事な話があったんだ。


あいつ、どこにいるか知ってるか? 」



 「えっと。冒険者ギルドの会議室を借りて


色々と書類の整理や処理をしていると思います。」



 「そっか、サンキュな。じゃ、俺は行くわ。」



 「本当にありがとうございました。」


テレサは深々と頭を下げてラックを見送った。



 (S級女性陣は思ったより金を持ってなかった。


という事は、クラウスがパーティーの金銭管理を


行っていることに間違いはないだろう。


ここからが本番だ。気合い入れ直していかねば! )


クラウスが会議室にいるなら密談に好都合と思い


ラックは食事をするのを


とりあえず諦めて会議室に向かった。







 はじめまして。


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