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攻撃命令

 第一軍司令官ファルミット侯爵は


総司令官ハルクへ奇襲をかけたのは


フィガロの軍ではないかと疑いを抱いた。


その疑念がファルミットの心の中で


大きく強くなっていく。


ファルミットは


第二軍から増援に来ていた2000の白聖虎騎兵大隊の


大隊長2人を呼び出した。


しばらくして大隊長2人がファルミットの元に到着した。



 ファルミットは口を開く。


「呼び出してスマンな。」



 「いえいえ、ファルミット卿、我らへの


急な呼び出しは何のご用件でしょうか。」


白聖虎騎兵第一大隊大隊長カール・プラーム伯爵が言った。



 「うむ。用件というのはフィガロの軍が


ハルク殿下を亡き者にした可能性を強く感じたからだ。」



 「はぁ、で、我らにどうしろというのです。」


カールには不快な表情が滲み出ている。



 「うむ。卿らの白聖虎2000で突撃し


フィガロを討ち取っていただきたい。」



 カールは怒りの表情を浮かべた。



 カールの隣にいた白聖虎騎兵第二大隊長の


クルト・リーツ伯爵は


カールがファルミットを


怒鳴ろうとするような気配を感じて


カールの肩に手を置いて制止した。


クルトは口を開く。


「司令官閣下、越権行為はやめていただきたい。


我らは総司令官ハルク殿下より


撤退と合流の指示を受けております。


ハルク殿下がご存命の可能性もありましょう。


ゆえに殿下の命令の効力は


まだ失効してはおりません。


我が第二軍の司令官閣下からも


第一軍の防衛と撤退の


支援命令を受けております。


敵軍が仕掛けてこないのに


我らから先に仕掛ければ


当然、プレスミン軍が動きましょう。


それではイタズラに兵を失う事になります。


司令官閣下、どうか、ご自重くださいませ。」



 ファルミットは頭に血がのぼった。


「若造共、お前らに忠誠心はないのか!


お前らに、もう頼まん!


目の前のフィガロの軍は


奇襲作戦をしたために主力がおらんはずだ。


我が指揮下の軍のみで突撃してフィガロを討ち取ってやる。」



 クルトはため息をついた。



 カールは怒りを精一杯抑えて口を開く。


「卿は、この戦争の全体図を冷静に見られておりますか?


目の前のフィガロよりもコルクスター軍の方が


遥かに驚異だと思いますぞ。


もう、とっくに優先順位が変わっている事が


なぜ、卿にはわからんのですか?」



 「うるさい!


フィガロにしてやられたまま、おめおめと帰れるか!


あいつの首を取って


我が軍の士気を高めた上で


コルクスター軍も撃退してやるわ。」



 クルトはあきらめ顔で口を開く。


「指揮官閣下は


冷静な判断が出来なくなっておられるようだ。


もう、お好きにすればよろしいかと存じます。


我らは、総司令官の指示通りに撤退させて頂く。


司令官閣下が万が一でも


フィガロに負けるようであれば


我らの軍に合流して頂ければ


全力をもって撤退の支援はさせて頂きましょう。」



 「ふん。いらぬ心配だ。


フィガロごときに遅れはとらん!


もうよい。おぬしらは下がってよい。


さっさと尻尾を巻いて逃げる準備でもしていろ。」



 ファルミットは第一軍にフィガロ軍への


総攻撃の命令を下した。






 フィガロはエトミア軍が


南に向きはじめていると気づく。


「チッ! ファルミットは何を焦っとるんや。


昔のあやつなら、冷静に軍を立て直して


再起を図っただろうに。


労働環境が悪いと判断能力まで低下するんやな。」



 フィガロの側にいたマーチスが口を開く。


「敵は我らを攻撃してくるようですな。


我らの準備は整っております。」



 「うむ。サーカランを呼べ、


こちらには、お山の魔物が2人もおる。


ラックとサーカラン。


ファルミットには悪いが


わしに手段を選べる余裕はない。」



 スッと、フィガロのそばで気配が生じた。


「サーカラン参上いたしました。」


いつの間に現れたのか、


黒装束の青年が片膝をついて控えていた。



 「おお。そこにおったのか。


サーカラン、敵軍を地獄に落とせ。


情けはいらん。ただただ、粛々( しゅくしゅく)と殺せ。」


フィガロはサーカランに命じた。



 「は! 必ずや、ご期待にお応えします。」


サーカランの目は氷のような冷たさを放っていた。







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