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自分と言う存在

 ラックは左目の視界に展開した画面を


見ながら考え込んだ。


 「ポイントの残りは47か。


耐性は我慢強さみたいなもんか。


10でMAXなら全振りだよな。


あとは攻撃に20振って


残りを防御に17振るか。


MMORPGでバランス型は


死なない代わりに弱いってのが常識だけど。」


ラックはポイントを全てを割り振った。



 ラックは感覚的記憶でRPGという


ビデオゲームというものについて


漠然と思い出しそうになったが


思い出そうとするほどに


記憶にモヤがかってわからなくなった。


しかし、それとは別にハッキリとした記憶も


蘇ってきた。


それはつい先ほどの出来事だ。



 山菜を採り山に入ったラックは


数十名の兵士の姿を目撃した。


驚いたラックは走ってその場を去ったが


ラックが走る音に兵士に気付き、


数名の兵士に追いつかれ囲まれた。


そして、剣で胴体を貫かれその場に倒れた。



 「それを俺は目撃したんだ。


俺は何なんだろう?山の精霊か?」


 ラックという存在になったラックとは違う意識は


自分の存在が何者かを理解できていない。


 (ずっと、この山の中を漂う霊体のような存在だった。


ぼんやりと漂うだけの存在だった俺が


少年が殺されるのを見て、動揺したんだ。)



 フワフワした思考で山林を漂っていた存在が


人間の少年が殺されそうになっているのを


目撃して意識が覚醒して


そして、霊体の眼で少年の魂を吸収して喰った。


 

 (そうだ、俺は死にゆく少年の魂を喰ったんだ。)


「俺はラックが幼い頃から両親と山に山菜を採りに


来る姿を憶えている。


人間を見て親近感を覚えたんだ。


もしかしたら霊体になる以前は


人間だったのかもしれないな。」



 事実、霊体がラックの魂を吸収し


その霊体がラックの肉体に憑依していた。


魂を吸収すると、体力や肉体が全回復するらしく


串刺しにされたラックの体の傷は全て消え去っていた。



 立ち上がったラックの姿を見て


兵士たちは動揺し襲い掛かってきた。



 ラックになった少年は


視界に映る兵士全員の魂を全て吸収した。


魂を喰われた兵士たちは


白目をむいてその場で息絶えた。


 「ラックの記憶は俺にも刻まれている。


ラックには冒険者になるという夢があったのに


本当に申し訳ない事をした。


返せるものならラックの体も魂も返したいが


それは無理な事が本能的になんとなくわかってる。


せめて、人間としての人生が終わるまでラックとして生きよう。


それが供養になればいいけど。」


ラックはそうつぶやいた。



 (喰った魂は俺のポイントとなって力になる。


人間の魂を喰って強くなるなんて。


俺は精霊ではなく悪霊なのかな。


そんな俺が人間社会で生きていけるのだろうか?)


 ラックという人間の記憶がある事で


人間として生活する事への不安はあまりないが


人間の魂を喰う存在という現実に不安を感じた。


ラックとしてこれからの人生を


過ごすと決めた少年は兵士から頂戴した剣を握りしめた。


帰りが遅くなってラックの両親に心配してはいけないと


腰を上げ、立ち上がると村に向かうために山を下り始めた。





はじめまして。


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