金色の鎧
ギネタール城内の一室。
ラックは城内に部屋を貸し与えられていた。
トン!トン!トン!
ラックの部屋の扉からノックをする音が聞こえた。
「ラックいる?」
扉の向こうからマリアの声がした。
「いるよ。入りなよ。」
ラックは扉の向こうのマリアに言った。
マリアは扉を開けて部屋に入ってきた。
ラックの姿を見るなりマリアは
「なにそれ!」
と前かがみになってラックを指差した。
「うわあぁ。
ッップププ!あはははは!
すっごいね!
ラック、ピカピカじゃん!
そんなにピカピカだと
きっと戦場では目立っちゃうよ。」
マリアは腹を抱えて笑った。
「笑うなよ!
俺だって恥ずかしいんだ。
でも、領主様がこれを着てくれって
俺に拝み倒すんだ。
最後には土下座までしてきて
断れなくなっちまってさ。」
ラックは困った顔で頭をかいた。
ラックはフィガロから金色の鎧を
与えられて装備していた。
「うそ!?
おじさまが土下座!?
あはははは!!!
それじゃあ断れないね。
金色の鎧ってさぁ。
北の剣聖『フォード・アルブルド』みたいだね。」
マリアはベットに座るラックの左横に座った。
「多分、そういう意図もあるんじゃないかな。」
ラックは装備している金色の鎧を見る。
急にマリアは真剣な表情をした。
「ねぇ。
ラックは戦争が怖くないの?」
「怖いといえば怖いかな。
でも、ホサ村で、あんなことになって
感覚が麻痺しているってのもあるのかも。」
ラックは寂しげな表情を浮かべた。
マリアはラックを抱きしめて頬を寄せる。
「ラックはすごいよ。
村のみんなや
ラックのお父さんやお母さん、
妹さんの仇を討ったんだもん。
きっと、ご家族や
村のみんなは天国に召されているはずよ。」
ラックは左手でそっとマリアの髪を撫でた。
「ありがとう、マリア。
そうならいいんだけどな。
それより外の様子は大丈夫なのか? 」
「うん。
いまのところは味方の優勢よ。
ラックの様子を見に行って
元気づけてやれって父さんに言われて来たの。」
「マーチスさんがそう言ったのか。
じゃあ、そろそろ俺は
正門に向かわないといけない頃合いかな。」
「え?! もういっちゃうの? 」
マリアは潤んだ瞳でラックを見つめる。
「どうしたんだい。
いつものマリアらしくないじゃないじゃないか。」
「バカ!!! 」
マリアはラックをベットに突き飛ばした。
「ははは!
困った子猫ちゃんだね。
俺にどうして欲しいか言ってごらんよ。」
マリアに意地悪な表情をラックは向けた。
好意的なマリアにラックは
少し調子にのってしまった。
「ちょっとその言い方、変だよ!
もう!!!
女の子にそんなこと言わせる気?
信じられない!
ラックのバカ! バカ! バカンチン!
ラックてさ。
テューネさんとエッチな事したんでしょ!
正直に言ってみなさいよ! 」
ベットに横たわるラックのお腹に
マリアは跨った。
「え!? してないよ。」
「絶対にうそ!
ラックのうそつき!
絶対、テューネさんとエッチな事したんだ!
だって、夜にテューネさんの部屋に
ラックが入っていったって
知り合いの兵士さんが言ってたもの。」
マリアは大粒の涙を流した。
ラックはマリアの顔を流れる涙を
右手の人差し指で拭った。
ラックとマリアは見つめ合った。
ラックに顔を近づけてマリアは目を瞑った。
マリアにラックは緊張しながら、そっとキスした。
ドン! ドン! ドン! と扉が鳴り
すぐに扉が開いて兵士が入ってきた。
「失礼します!
えっ! っちょっマジかよ!?
あ、ええと・・・
お楽しみの所を申し訳ない。
お邪魔して本当にごめんなさい。」
兵士が動揺してドギマギしている。
ラックの体からマリアは飛び退いて
顔を真赤にして下を向いてベットに座った。
「え、ああ・・・別にかまわないです。
兵士さん、そろそろ俺の出番ですか? 」
「はい!
フィガロ様が正門でラックさんを
お待ちになっています。」
「そうですか。
マリア、この続きは戦いが終わってからだな。」
ラックはベットから起き上がると
マリアにラックは目を向けた。
マリアは顔を真っ赤なままだった。
「つ・・続きがしたかったら
絶対に死んじゃだめなんだからね! 」
マリアは真剣な顔でそう言ってそっぽを向く。
「ああ。そうだね。
続きが楽しみすぎて
死ぬなんてもったいない。
必ず、帰ってくるさ。」
そう言ってラックは
マリアの顎に指を添えてこちちを向かせた。
兵士が困った顔を二人に向けた。
(ラックって
ちょっとナルシストっぽいところがあるな。)
「終わりましたら声をかけてくださいな。」
兵士はそう言うと後ろを向いて腕を組んだ。
「兵士さん、すまないね。
俺の準備はもう整っている。
鉄火場で
一緒にヤッパを振り回して
暴れまわろうではないですか。」
ラックの目は焦点があっていない。
初キッスでラックは頭が真っ白になっていた。
ラックは妙にぎこちなくベットから
立ち上がると兵士にゆっくりと歩み寄った。
「さ、急ぎましょう。」
そう言って兵士は先に部屋から出た。
ラックはマリアに向かって振り返る。
「あのさ・・・俺、エッチの仕方を
知らないから、今度、教えてよ。」
「はぁぁぁ!?
わたしも知るわけないじゃない!!! 」
ラックの悪気の無い発言にマリアは激怒した。
ラックは部屋から出ると
「一人じゃないってのは
いいものですね。」と
兵士に向かって言った。
「良かったですね。ひゅーひゅー。」
兵士は気のない返事をラックに返した。
「ところで先輩は女性と
エッチな事をした経験がありますか? 」
「え?
なんでそんな質問を訊いてくるんすか?
オレの経験は胸までですよ。」
死んだような目を兵士はラックに向けた。
「ふ~ん。Bまでかぁ。
先輩。俺もまだAまでなんです。」
(Bって何の話なんだ?
Aってもしかして、
オレよりランクが上って事か!?
この少年はオレより
先を経験しているとでもいうのか? )
兵士はそんな疑問を胸に抱いた。
兵士は元気が無くなった。
ラックと兵士と連れ立って正門に向かう。
マリアに元気づけられた事が
ラックにはとても嬉しかった。
正門に近づくにつれてテンションが上がり
目の前の戦いへの闘志が湧きあがってきていた。
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