籠城戦
昼過ぎ、エトミア公国第一軍5000は
ギネタール城に総攻撃をかけた。
エトミア軍は攻城兵器を所持していたが
市街地の道が狭すぎて攻城兵器を
ギミタール城まで
移動させる事ができずにいた。
エトミア軍の各部隊は
まず堀池に大量の筏を浮かべて足場を作った。
その足場から長いハシゴを城壁にかけて
兵士たちがよじ登る。
筏では足場が不安定でハシゴも安定せずグラついた。
城壁の上からダイモンド兵たちは
連弩を射って攻撃する。
不安定なハシゴをよじ登ってくる敵兵に速度は無く
ハシゴに団子状態で無防備なエトミア兵に対して
城壁の上からダイモンド兵が
大きな石や熱した油を落とす。
石や油を落とされたエトミア兵は
無様にハシゴから落下していく。
エトミア兵の被害は増える一方であった。
「あの旗は
ファルミット・ヘスウッダ侯爵指揮下の軍か。
歴戦の将も王が無能だと
こんなにも無様な戦いをせねばならんとはのぉ。
無能な上司は持ちたくないもんやな。」
フィガロは城のテラスから戦闘の様子を見ている。
一人の兵士が駆け寄りフィガロの前でひざまずいた。
「報告します!西の山からの狼煙を視認しました。」
フィガロの顔に歓喜の表情が浮かんだ。
「よっしゃぁぁ!
この戦はわしの勝ちじゃぁぁぁぁ!!!
さて、ファルミットに戦というものを教えてやろう。
皆の者!
わしの号令とともに城の跳ね橋をおろせ!
英雄ラックを先頭にわしも兵を率いて討って出る!
全力を以って敵を殲滅してやろうぞ!!!!」
フィガロは拳を天に掲げる。
フィガロの言葉に周囲の家臣たちも呼応した。
「えい!えい!おぉぉぉぉぉ!!!」
フィガロの周囲の家臣たちも
気合いを叫び、拳を天に掲げた。
エトミア第一軍陣営。
伝令兵が天幕前で馬を降りて天幕に入る。
ファルミットの脇で伝令兵はひざまずいた。
「申し上げます!
西からの軍勢を視認しました。
軍勢は黒の鎧姿で黒のユニコーンに騎乗しており
おそらくプレスミン公国軍の
援軍専門特殊兵団『ナイトメア騎士団』だと思われます。
数はおおよそ3000!」
ファルミットの表情から血の気が引いていく。
「馬鹿な!
なぜプレスミン家がダイモンド家に援軍を出す?
フィガロはプレスミン家を裏切ったのだぞ!
エルビーン王はどこまでお人好しなんだ。
正義バカのクソったれが!!!」
ファルミットは持っていた盃を地面に叩きつけた。
ファルミットはすぐに表情を引き締めた。
「伝令を飛ばして軍を招集しろ!
攻城戦から野戦防衛に作戦を切り替える!
ナイトメア兵団を相手にして勝ち目などない。
第二軍に伝令を出し、救援を請え!
ここからは勝つ戦をするな!
負けない戦をしろと各大隊長に伝えろ!」
「はは!」と伝令兵は天幕を出ると
各伝令兵に命令を伝えるために馬に飛び乗った。
ファルミットは天を仰ぐ。
「出来るだけ時間を稼がねば。」
ファルミットは天幕を出て自分の愛馬に騎乗した。
「フィガロ・・・敵に回すとこんなにも厄介なのか。」
ファルミットは供を連れて馬を西に向けて駆け出した。
はじめまして。
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