23話 焦りと地雷(対金崎戦Part8)
改めて試合は6回表に入る。うーん。流れも向こうだしこっちも雰囲気が良くない。どうにかしないとな。相手の得点全てが一発。一発というのは得点が離れているときはそこまで効果がないが逆転とかそういうのを打つと流れを一気に引き寄せることができる。マズイ。マズイ。
試合に戻ろう。
バッターは浜崎先輩から。一発の責任を感じて気負わなければいいが。
1球目。
低めのストレート。これを見送る。
「ストライク。」
特に構えに固さとかはないが。心理というのは結構アレなもので表面化しやすい。クセも同様。
2球目。
高めに浮いたスライダーを見逃さない。
きちんと芯で捕らえてきれいにレフト前に運ぶ。まず先頭が出た。
5番のマルは今日全く当たっていない。バントも十分に有り得る。監督のサインを見る。ワンストライク後エンドラン!?おいおい大丈夫かよ。負けてるのにここで攻めまくってどうする。確実に行くべきではないのか。
何はともあれ1球目。
中に入って来るスローカーブ。
これを引っかける。
打球は1、2塁間に転がる。なんとかセカンドが追いついて1塁に投げる。
ランナーが2塁へ進みチャンスに。
ここでさっきからキャッチャーに入っている大中。
前の試合3タコだったしそろそろヒットがでる頃だと思うがいかに。
1球目。
外へのスライダーを見送る。
「ボール。」
お、今のを見送ったか。ボールがよく見えているのか配球を読んでいるのか。まあどちらでも打ってくれればいい。
2球目。
外角のストレート。これを芯で捕らえた。
打球は・・・あっ。
ショートライナー。しかも浜崎先輩が飛び出してゲッツー。
もうちょっと横に打球がずれていたら。いよいよこれはマズイ。
6回裏は矢島が三者凡退にしてみせるが7回表、こちらも三者凡退。ベンチに焦りが見えはじめる。