21話 賭けと読み(対金崎戦Part6)
「・・・アウト!!チェンジ。」
なんとか。なんとか間に合った。自然とため息が漏れるこの回は凌ぎ切った。
糸井先輩とグローブでタッチをする。
「完璧やったなカットライン。」
糸井先輩が自分のことも含めつつ自分も褒めてくれる。
「しかし浜崎先輩もう大丈夫でしょうか。」
「もうスロースターターは抜けていると思うが・・・」
相手が相手だから、か。
5回表。先頭が倒れるも糸井先輩がフォアボールで出塁。トップに返ってやっさんに回る。自分も次なのでネクストサークルに入る。
さっきの打席やっさんはセカンドゴロ。自分は左中間へのツーベース。
やっさんはイマイチさっきの打席はタイミングがあっていなかった。この打席で修正できるか。
1球目。
外角から入って来るスローカーブ。これを見送る。
「ストライク。」
初球からスローカーブか。次はストレートが可能性としては高い。
2球目。
外角のスライダー。これも見送る。
「ボール。」
ストレートではなかったか。ストライクを狙ったのではなく空振りをとりに行ったようなかんじだったがさすがやっさんボールはよく見えている。
3球目。
アウトローのストレート。
バットが芯で捕らえる。でもライトライナー。打球が上がらずしかも正面をついた。
うーん。あと少しなんだが。自分が打席に入る。
スローカーブを狙いたい。しかし今まで見たなかでスローカーブは1人1球くらい。そのなかでストライクは半分より気持ち多いくらい。うーん。さっきと同じくストレートを狙うか?
否。
ここは勝負だ。この回で相手を崩す。それにはツーアウトだし自分が打たなければならない。追い込まれるまでは他には手を出さない。
1球目。
高いストレート。
「ボール。」
まずはストレートか。
2球目。
またストレート。でも今度は外角低め。
「ストライク。」
うーん。続けてきたな。ん。盗塁のサインか。打ってもいいと。了解。
3球目。
糸井先輩スタート。相手が投げたのはまたストレート。糸井先輩のスタートがよく、キャッチャーが2塁に送球もセーフ。
投球の判定はストライク。
多分次で決めにくる。くるのはスライダーかスローカーブ。スライダーなら左、スローカーブなら右。
4球目。
外の・・・スローカーブ!!いただいた!!
打球は右中間を裂く。フェンスを直撃する。糸井先輩はホームに。自分は3塁へ。
よし。右で作った拳を突き上げる。
伊藤がファーストフライもなんとか追加できた。
あと半分。気をつけるのはこれからだ。1番こわいのは浜崎はんが疲れてくるころか。
主人公が今回は例外だが目立たない。マウンドに立たせないとなー