1話 きっと成功率は低い。
「えーと誰?」
自分の脳内であいつだよあいつという声が聞こえるが思いだせん。あんた誰や。
「ほら、小6の時選抜で一緒だった大中慶馬だよ。一緒にバッテリー組んだだろーが。」
なんとなく思い出してきた。
「でもあのときほとんどショートで自分1試合しか投げてないし。」
「細かい事はいいんだよ!!」
あれ?でもたしかコイツ・・・
「お前たしかシニアの全国大会行ったんだろ。なんでこんなところに・・・」
俺の記憶では全国でベスト4のチームにいたはずだ。なぜそんなやつがここにいることがおかしい。この大藤学園はたしかに強いが甲子園に行ったことなんか無いし、そもそも大中は住んでいる地方が違う。
「いやあ、捕手がとれないせいで決め球を投げられず県ベスト8(強調)に止まったピッチャーがここに入ると聞いて。ただキャッチャーとして受けてみたいと。」
スライダーのこと知ってんのか?まて、今こいつベスト8を強調しやがった。
「お前は暇人かなんかか?それともベスト8止まりだったのをわざわざ入学してまでいいに来たのか?」
「ちょっと待て今のは悪かったって!・・・ただその決め球に賭けたのは本当。他の選手もレベルそこそこ高いし俺以外にも日本選抜2人と同じチームのやつ1人引っこ抜いて連れてきた。一応みんな普通に受験したんだからな。俺の人脈なめんなよ。」
どうやら本気でここで甲子園なりプロなりを目指す気らしい。ただ日本選抜だからといってスライダーがとれるかは別だ。なぜなら・・・
「うわっ!!」
またキャッチャーがボールを逸らす。中学の時こんなかんじでスライダーを簡単に捕ってくれるキャッチャーはいなかった。捕るだけならマルができたがマルは左利き。将来しないポジションをさせても意味が無いということで監督がさせなかった。
いつか誰かマル以外に捕ってくれる人が出てきてきた時のためにスライダーは磨きに磨いた。ただそれがさらに捕れなくなる原因となり、結局練習試合ですら封印した。
「新入生は練習初めが明々後日からだったな・・・今日この寮の下に6時集合。」
そっちが賭けるならこっちも賭けだ。こいつが捕ってくれるなら・・・




