12話 それぞれの道は重なって(1年対2、3年Last)
「ストライク、バッターアウト。ゲームセット!!」
9回裏。ランナー1塁にヒットで背負うが最後は三振に仕留めて、試合終了。無事先輩に勝利。
挨拶を終え、監督から集合がかかる。そういえば監督とかいたな。存在を忘れていた。
監督が話し始める。
「まず。お疲れ様でした。んで1年はかなり戦力になるのが入ってるとはいえもう少し2、3年は頑張れ。このあとやけど、今日はちょっと用があって学校を出るので、もう練習はしません。片付け、グラウンド整備は全員でやること。グラウンドを使いたいやつはキャプテンの浜崎にいって鍵を借りること。」
多分整列のときに1番前にいて、ピッチャーしてた人。ちなみに自分は仮入部のときほとんど休んだので誰か分からない。というよりシニアから関わりをもつやっさんしか名前はわからない。しかも先輩律儀に後ろとかに名前を書く練習着ではなく試合用のユニフォームなので余計分からない。誰が誰だか。
「それじゃあもう挨拶はいいから。お疲れ。」
全員からありがとうございましたと言った後でそれぞれが自主的に片付けやらグラウンド整備を始める。
自分はブルペンの整備を始める。土を水と混ぜ埋める。昔からやっているが結構暇な作業だ。
「なあ」
伊藤が近づいてくる。
「ちょっとさっきの話の前に聞きたいんだが。」
「何を?」
「お前がこの学校を選んだ理由。こんな球投げてるのになんでもっといい高校に行かなかった?丸山もだし大中や矢島も一緒。広田とかもここにいていいレベルではない。」
「広田は知らないけど、まず俺はいいとこからは誘われてない。同じチームだったマルの方が誘われた学校は多いよ。大中とかはかなりの数の学校に誘われたみたいだけど、無理をして、しかも小牟田、梶本、それに中学からバッテリー組んでいる矢島を半ば強引に連れて来やがった。まあ大中とは一応小学校のときに軟式の日本選抜で1回あったことはあるみたいだけど3年以上前のことだしあいつがまさか県外からくるとは思ってなかったし。あげくのはてに俺が大中がいるって知ったのは入学式だよ。ただ」
「ただ?」
「向こうは知っていた。というより監督が無理して誘ったみたい。」
「なぜ?たしかに大中はキャッチングとかリードとかはかなりレベル高くてバッティングも悪くない。でもいくら監督がキャッチャー出身だとしてもそこまでの必要はないはず。」
「そこでこいつになるんよ。」
大中だ。
「たしか英哲はもう6月には大藤に入ることになっていたんだっけ?」
「ああ。やっさんがスライダーのことを監督に話して。」
ここで自分がスライダーのことを話す。そして続ける。
「んで、やっさんがスライダーは1、2年の間は捕ってくれるし、特進で一般生として受けることを希望したのも許可してくれて。でも監督は自分が3年のときのことも考えていた。また同じことになるって思ったんだと思う。とうの自分はどうにかなるって楽観的だったんだけど。」
大中が続ける。
「そいで突然俺のとこにきて。自分はまず監督があの人っていうとこに惹かれた。」
キャッチャーにとってあの人は元南海の野村や元ヤクルトの古田と並び守備で指導を受けたい選手の1人だろう。しかもあの人は前述の2人と同じく、バッティングも良く、通算打率は3割を超えている。キャッチャーでなくてもネームバリューは大きい。
「でも自分は行く高校は地元の毎年甲子園に行っている強豪にしようと思っていた。いくら監督が元プロだとしてもな。いいピッチャーの能力を引き出したいじゃんキャッチャーとしては。まあ悪・・・もといそこまで良くないピッチャーで上を目指すのも面白いのかも知れないけど」
ここらへんは初めて聞く。
「それで、ずっと悩んでて、そのときに3回目だったかな、英哲のはなしを出して。苦し紛れではないって感じが分かったから。親も反対しなかったし。」
「いいなあ。」
伊藤がつぶやいた。
まず、簡潔に大中に試合中話したことを説明する。
「それで、両立ができる学校に行こうと。でもここはそこまで強くないよ。」
大中が聞く。たしかに先輩達は甲子園とか狙えるレベルではない。やっさんは別だが。
「ここに選手が集まっている噂を聞いて。ここなら特進もあっていいかなと。親や親戚を止めるのは大変だったし賭けではあったけど。」
「それで、賭けはどうだった?」
俺がちょっと笑みをうかべながら聞く。
「まだわからん。3年になったらもう一度聞いてくれ。」
やっと1年対2、3年完結。何もいうことはないです。ちょっと用事があるので8月5日は更新しないかも。 あと白神氏とのコラボ企画は順調に進行。野球は出さない方向で決定。向こうは本編として扱い、こっちは外伝的扱いになりそう。




