表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイドな悪魔のロールプレイ〜強制ハードモードなメイドの奮闘記〜  作者: ガブ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/48

21話

花粉で目が痛すぎて書く時死にそうでした

それはさておき、ブックマークに高評価、感想ありがとうございます!

ものすごく励みになります。そのうち聖女様も続き書きたいですね…

21話





 馬車の床に空いた穴を悪魔術でちゃちゃっと直し、気絶……眠っているアルジェントの頭を私の膝に乗せる。

 ジト目で見つめてくるご主人様から目を逸らし、こほんと咳払いをする。

 

「アルジェントには後ほど伝えることにしましょう。今から話すのは、私たちがウロボロスを殺す為の作戦です」


 私は指をパチンと鳴らし、空間隔離を発動させる。盗聴防止のためだ。

 もしかしたら、私たちの話を聞いている不届きものがいるかもしれないからね。

 念には念を、だ。


「一応ボクも考えてはみたぞ。お前ばかりに頼っては不甲斐ない主人と思われてしまうからな」

「自覚はあったんですね」

「……なんか言ったか?」


 ご主人様は眉間に皺を寄せて、キッと睨みつけてきた。

 うーん。ご主人様の顔、可愛い系だから睨みつけられても怖くないんだよなあ。

 

「なんでもありませんよ。──ではまず、ご主人様の作戦からお願いいたします」

「ならいい。──まず第一に、ボクたちが真正面からウロボロスに挑んで勝てる可能性は0%だ。お前のような大悪魔がいても、流石に信者を多く抱えた神には勝てないだろう」

「大悪魔だなんて。私はまだ生まれたばかりですよ」


 なんかリヴさんも言ってましたけど、なんで信じてくれないんでしょうかね。

 まだレベルも17ですし、そこまで強くないですし。なんか疑われるような要素ありましたっけ……?


「誰も信じないぞ?そんな冗談。──さて、真正面から挑んで勝てないならどうするか。こうなればお前が前に言っていたことを実行すればいい」

 

 おやおや。どうやらご主人様と私の考えている作戦は、見事に一致していたみたいだ。


「つまり、信者を皆殺しにすればいいということですね?」


 私の言葉にご主人様はフッと自虐的な笑みを浮かべ、首を縦に振った。


「そういうことだ。復讐に他人を巻き込むなという輩もいるだろうが、そんなの関係ない。何人死のうが、誰が死のうが、利用できるものは利用して、復讐を達成するのみだ」

 

 ぎゅっと拳を力強く握り締め、復讐の炎をギラギラと燃やすご主人様。

 手からは血が滲み出ていて、その思いの強さを伺うことができる。


 それもそうだ。彼は何回も何回も転生を繰り返し、その度に大切なものを失い、凄惨な死を遂げた。

 そして今回の生で、彼はようやく私という悪魔(きぼう)を手に入れたのだ。

 消えかけてた復讐の炎は、私という燃料によって再燃した。

 その想いは、心は、魂は。


 ──ああ、なんて芳しいのだろう。

 ──ああ、なんて美しいのだろう。

 ──ああ、なんて美味しそうなんだろう。


 じゅるりと、出るはずのないよだれが口の中を潤す。

 今すぐ食べてしまいたい。この炎が消え去る前に、今すぐ自分のものにしてしまいたい。


 悪魔らしい本性がとめどなく溢れ、私の思考を占領する。

 そのせいか、人という化けの皮が剥がれ、悪魔らしい部分が露わになってしまう。


 目が真っ黒く染まり、頭には4本の大きな角が現れる。体の至る所が黒と赤に染まり、人という原型を留めれなくなってしまう。


 ──と、そこでようやく私は冷静さを取り戻した。

 こんなの、私の思い描く"悪魔らしい"姿ではない。失態だ。


 ご主人様はこちらをみて茫然自失としていて、私は慌てて人化をし直し、戻れ戻れーと身体に力を込める。


「失礼いたしました、ご主人様。少々感情が昂ってしまいまして……。お恥ずかしいところをお見せしました」


 その言葉にご主人様は顔をハッとさせ、ぶんぶんと首を振った。


「いや…。お前は本当に悪魔なんだなと思っただけだ」


 そういうご主人様の顔には何やら翳りが見える。


 まあ、人としての姿で接してきましたからね。

 多少の情は私に沸いていたのでしょう。そういう人らしい部分、私は嫌いじゃないですよ。


「というかなんだ。そんなにお前の感情が昂るようなことを言ったか?」

「ええ、まあ。ご主人様の復讐に対する熱意に、感銘を受けまして。絶対に復讐を完遂させてみせる、と思いましてね」


 まさかご主人様が美味しそうで食べちゃいそうになった、なんて言えませんからね。それらしいことを言っておきましょう。

 ああ、本当になんたる失態か。恥ずかしくて仕方がない。


「なるほどな、やる気十分というわけだ。じゃあ次は、お前の案を話してくれ」


 ご主人様は満足げに頷いてから、私に話をするよう促してきた。

 いやご主人様、その皆殺しにする方法は考えていないんかいっ!まあ、計画を遂行するのは私だし、別にいいか。


「ではまず、私の計画を話す前に聖国にある、ある仕組みについて説明したいと思います」

「わかった」


 ウロボロスを崇める国──聖国はまず、さまざまな用途に使われる水を、隣接している世界一広い川、リンネ川という場所から補給している。

 ただそのままでは飲料等に使えないので、聖国は"アリア"と呼ばれる浄化システムによって水を浄化し、使っている。

 このアリアは非常に優秀なもので、この世に存在する人体に害のあるものを浄化する性質を持つ。

 そう。この世に存在する全て(・・・・・・・・・・)だ。


「なんだその馬鹿げたものは。泥水が飲料水に変わるなんて、いったい何人の人が救えるのか……」

「素晴らしいですよね。ウロボロスの力は。輪廻──循環の権能を用いているのでしょう」


 本当に、神っていうのは馬鹿げている。奴らは信者がいる限り、無敵と言っても過言ではないのだ。

 それはさておき、今回はこの仕組みを利用する。そう、この世にあるものに反応するのならば、この世にないものを作り出せばいい。


「この世にないもの、か。そんなもの可能なのか?」

「ええ。私の力を持ってすれば、ね」


 この世──というのは、地球ではなくこのゲームの世界を指している。

 要するに、この世界の文明では作ることのできない、なおかつ強力なものを用意すればいいのだ。

 私はインベントリから貯めておいたあるものを取り出す。

 無色無臭の液体。今はご主人様に見せるために、私の半分くらいの魔力をもって作った瓶に入れている。


「何かの液体か……?お前の扱い方からして、非常に危なさそうなものみたいだが」

「これは、非常に危険な毒物──サリンといいます」

「さりん?」


 あの事件を聞いたことがある人ならば、誰もが知っているであろう、非常に強力な毒物、サリン。

 神経毒の一種であり、呼吸、皮膚、経口、いずれの条件でも死に至るものだ。

 致死量は約1.5ml。難点として加水分解や熱分解されやすいくらいか。

 しかもその弱点は、悪魔術で作る際になんと無くすことができた。ファンタジーパワーさまざまだ。


「名前はなんでもいいんです。非常に強力な毒物、しかもこの世界に存在しないもの、とだけ認識してください」

「つまり……アリアを貫通できるということか」

「そういうことです」


 というわけで私たちは聖国に向かっていた進路を変え、リンネ川──ではなく、その上流であるリンネ山という場所へと向かうことになった。


「ああ、そういえば忘れてました」


 私はご主人様の腕を掴むと、その服についている1番上のボタンを引きちぎり、馬車の外へと投げた。


「急になんだ、急に」

「いえいえ。どこぞの虫が、ご主人様のボタンについていただけですよ」


 さて。勇者はどう動くかな。

そういえば私のあたらしく作ったTwitter @8uTpDb78x09nyBlでイアと悪魔とアルジェントの姿絵載せときました

興味あったら見てね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 悪魔としての能力を最初から十全に扱えており、手探り感が一切ない事 考え方や嗜好(魂の味とか)まで悪魔的になっていて、ゲームの攻略的な考えやメタ読み、リスク管理をまるでしてない事 [一言…
[一言] やっぱ【悪魔スタート】は難易度ナイトメアだよなぁ。 信者がいる限り、自身の権能において全能。『神』 チート万歳!苦労?努力?知らないかですねぇ。『勇者』 他にもいるんでしょ?強者たちが、、、…
[一言] 勇者って、たくさんいるのか やっぱ本来なら悪魔って無理ゲーなんだなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ