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なろうラジオ大賞2 短編集

剣聖女子

作者: 浪忍

 小学生の頃、僕はけんかが弱くよくいじめっ子に泣かされていました。でも、いつも必ず僕を助けてくれる子がいました。幼馴染の優華(ユウカ)ちゃんです。


 彼女は僕とは比べ物にならないほど勇敢で、学校の置き傘を振り回していじめっ子たちを追い払ってくれました。先生にバレていじめっ子と一緒にお説教をくらったりもしていましたが、僕にとって彼女は、アニメや漫画に出てくるヒーローそのものでした。




 中学生の頃、僕は優華ちゃんと同じ剣道部に入りました。彼女をマネすれば強くなれると思っていたのでしょう。それくらい、僕は強くなろうと必死でした。


 でも、僕と優華ちゃんの差は開く一方でした。けんか慣れしていた彼女は入部してすぐ頭角を現し、練習試合でも負けなし、三年の時は全国トップクラスの実力を持つ剣士としてテレビに出るくらい強くなっていました。僕みたいなモブキャラには手の届かない存在になってしまったのです。




 高校生の頃、僕は強くなるのを諦めました。部活に入らず、友人と遊んだり旅行をしたり、好きなことをしました。優華ちゃんは剣道が強い遠くの学校に行ってしまったので会うことはなくなりました。三年生の時に剣道の全国大会で優勝したらしいのですが、僕は何とも思いませんでした。




 大学生の頃、僕は何をしていたのでしょう?遊んでばかりいたような気がしますが、思い出せないのできっと大したことはしていないのだと思います。優華ちゃんとは会っていませんが、剣道が強い大学に入ったと言っていたのできっと大学の大会でも優勝してたんだと思います。




 大手警備会社に就職した優華ちゃんは、今でも剣道を続けているようです。一流の男性剣士すら倒してしまう彼女は、その麗しいルックスも相まってスポーツ番組や雑誌に引っ張りだこ。「剣聖女子」なんてかっこいいあだ名で呼ばれる、今では「超」がつくほどの有名人です。


 …………僕ですか?僕は就活に失敗したので、アルバイトで生活費を稼ぎながら何もない毎日を過ごしています。


 どこで道を間違えたのでしょうか。大学?高校?中学校?小学校?それとももっと前?もし僕が高校や大学で剣道を続けていたら、彼女のようになれたのでしょうか?けんかが強いのが彼女ではなく僕だったら、僕は「剣聖」になれたのでしょうか?


 いくら考えても答えは出てきません。



 劣等感が溜まっていくばかり。




 ああ、なんだか腹が立ってきた。






「剣聖女子」。


 僕はお前が嫌いだ。

読んでいただきありがとうございます。作者です。

私には幼馴染と呼べるような女性の友人がいないので、もしいたらどんな感じだったのだろうかといろいろ想像しながら本作を執筆しました。やっぱりそういうのって漫画やアニメの中にしか存在しないものなんですかね?

拙い文章ではありますが、楽しんでいただけると幸いです。


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