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観察96:どうして

「……今日も来なかったの?」

夜。月光に照らされた海辺でオレはこころに話し掛けられた。

「ああ」

「いつまで続けるつもり?」

「別に一日中なわけじゃないんだ。来るまで続ける」

「……雪奈は俊行が待ってること本当に知ってるの?」

「扉越しだけどちゃんと言った」

「…………聞いてなかったら無駄骨よね?」

「いや、でもメモも残したし」

「メモ……ね。なんて書いたの?」

「夕方、海辺で待つって」

「……俊行が雪奈の家に行った日の夕方だけって思われてるんじゃない?」

「……………なるほど」

「…………………………」

「…………………………」

「…………はあ。仕方ない。アタシがもう一度雪奈の所に行くわ」

「いいのか?」

「いいも悪いもこのままじゃどうしようもないじゃない」

「……それもそうか」

「どうにかして明日、ここに連れて来るから」

「……よろしく頼む」

あの時のオレにはこころしか頼れる人がいなかった。

「それで? 俊行自身はもう大丈夫なの?」

「大丈夫………とは言えない。でも雪奈との結果しだいなら……」

雪奈が傍にいてくれるならきっと……。そう思った。

「そう……。なら明日、頑張りなさい」

「………ありがとう。こころ。お前がいなかったらオレは……」

「べ、別に俊行の為にやってる訳じゃないし」

「…………実はこころって可愛い?」

「…………からかってるでしょ?」

軽口をたたきあう。そんなに心が安らかだったのは久しぶりだった。

「……俊行。なくしちゃダメよ。これ以上」

「?……ああ」

オレにはなぜか、こころの方がオレより辛そうに見えた。


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