観察67:夜の会話
「ねぇ俊行」
「何だよ?」
雪奈の誕生日も近いある日。夜の会瀬も終わった後、こころに話しかけられた。
「結局、俊行は雪奈に何をプレゼントするの?」
「オレ」
「……雪奈が一番喜びそうだけど……気持ち悪いわね」
「全くだ」
自分で言って吐き気がする。
「本当な話、何をプレゼントする?」
「オレはアクセサリー辺りをやろうと思ってる」
「ふ〜ん………いくらの?」
いきなりな質問してくるな……。
「……バイト代の半分はつぎ込もうと思ってる」
「ならけっこういい値段のを買うのね。買うのは何? 指輪? ネックレスとか?」
「……さすがに雪奈には早いだろ。普通にペンダント辺りを買おうと思ってたけど」
ペンダントもネックレスと言えるけど、オレ的にはネックレスって言ったら全部真珠とかの石で出来てるあれだからな。
「……俊行が雪奈に似合いそうな奴を選べるの?」
「………………たぶん」
きっと。
「一応聞くけど、アクセサリーを買った事は?」
「………ない」
オレがつけるはずもないし、プレゼントするのも初めてだ。
「なら決まりね。買いに行くときはアタシか瑞菜さんを連れて行きなさい。少なくとも俊行よりは雪奈に似合うのを選べるだろうから」
「うぅ……自分で選びたかったんだが……」
初めて、女の子らしい物をプレゼントするのに……。
「却下よ。どうせ俊行に任せたら、無駄に高いくせに雪奈には大して似合ってないのを買うはめになるんだから」
……初めてだからなんとも言えないが、否定出来ない。
「分かったよ。こころか瑞菜と一緒に買えばいいんだな?」
「そゆこと。……じゃあおやすみ」
「あぁ、おやすみ」
言うことを言ってこころはオレの部屋を出ていく。
「……プレゼント選びね」
どちらに頼むか……どっちを選んでもなんとなく嫌な予感のするオレだった。
夜の会話は秘密の会話です。