観察66:お金はNG
「なぁ永野。女の子って何をもらったら嬉しいんだ?」
ある日の午後。学校でなんとなく永野に聞いてみた。
「かね」
……心理だなぁ。
「それ以外で」
「株価が急上昇中の株」
「……いい加減に真面目に答えろ。ぶっ食べるぞコノヤロウ」
「真面目に答えてんだけどなぁ……」
確かに気を抜くと頷きそうになる答えだけど。
「う〜ん……でも冗談抜きで高めのアクセサリーとか喜ぶんじゃないか?」
「アクセサリーか……まぁ無難だな」
ある程度は高価な物をやるつもりだったし。
「何だよ? 誰かにプレゼントでもするのか?」
「まぁそんなとこだな」
オレは永野に適当に答える。
「誰だ? 最近仲のいい山野さんか?」
「……仲のいいのは認めるけど、アクセサリーをプレゼントするような仲じゃないだろ」
あくまでももこころとオレは友達なんだから。
「そうか? 少なくとも最近は前よりも距離が近い気がするけど」
距離ね………夜はゼロ距離になるからなぁ……。
「とにかくこころにはプレゼントなんてしないよ」
「ん〜……じゃあ春日さんか? 実はまたよりを戻したとか?」
「そんなこともないな」
少なくとも今のオレにそんな資格はない。
「じゃあまさか……まだ見ぬ美少女か!?」
「ちげぇよ! 普通に雪奈だ!………って、あ……」
普通に答えてしまった。
「お前が雪奈ちゃんにプレゼントね……しかもいつもの子ども騙しじゃない……か」
「何だよ? 子ども騙しって」
「自分が一番分かっているだろ?」
「……そうだな」
「それで? どうしていきなりプレゼントなんて」
「別に。誕生日なんだよ雪奈の」
「誕生日? それだけなのか?」
「それだけじゃないけど……詳しくは言えない」
言いたくない。
「ただ、アイツの誕生日の日だけは、打算抜きでアイツを喜ばせたいんだ」
「……いい顔してるな。危うく惚れそうだぜ」
……なんて言うかアレだ。
「気持ち悪い事を言うな。ぶっ食べるぞコノヤロウ」
まぁ、もうすぐアイツの誕生日。そういう訳だ。
プレゼントでお金はいろいろと終わっています。関係が。