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観察62:永野との関係

「今日のテーマは『ヤンデレとツンデレって紙一重だよね』だ」

場所はメイド中華永野亭。意味不明な事を言ったのはもちろん永野だ。ちなみにオレの横にはこころがいて、永野の言葉になんか頷いてる。

「……なぁ永野。本当にバイトに必要な知識なのか?」

「当然だ」

「当然よね」

……こころにまで即答されてしまった。

「はぁ……まぁ大人しく聞くけど」

聞いてるだけでバイト代貰えるらしいし。

「ところで、ヤンデレって何だよ? そのツンデレってのはなんとなく分かるんだけど……」

「何だ、ツンデレはわかるのか。じゃあ自分なりに説明してみろ」

ツンデレって言ったらこころの事だからな……。

「朝と昼はつんつんしてて淡白な態度なのに、夜はでれでれと甘えてくるやつだよな」

「……何で時間を指定?」

「さすがに真っ昼間からは………って、あれ? そう言えばこの前って……」

普通に昼なのにああいう事をしてたような……。

「……俊行?」

「はい。すみません。余計な事は考えません」

「もう……」

困ったような、恥ずかしがったような顔をするこころ。なんか、そういう表情は新鮮でなんか可愛い。

「……すまない海原。もしかして俺は邪魔か?」

「心配ない。いつだって邪魔だ」

「普通にひどいよね………」

「冗談だよ」

「そ、そうか。よかった……」

「でも、やっぱり今は邪魔」

「いろんな意味でショック!!」

相変わらず叫ぶ奴だなぁ……。

「それで? ヤンデレって何だ?」

「デフォルトでハサミとか包丁を装備してる人」

「……デフォルト?」

通常装備?

「そして、その刃物で愛する人の足を逃げられないように……」

「……すまない永野。もう無理だ」

恐怖だ。

「まぁ今のは軽い冗談だよ。カテゴリとしてはまだ広い意味で愛するゆえに暴走する人の事だな」

……だから怖いよ。

「……それで? ドコが紙一重何だよ? ツンデレとヤンデレは」

聞いた限りじゃ、全然カテゴリが違う。

「……さぁ」

「分かんないわね」

「……お前ら実はケンカ売ってるだろ」

適当に言ってんじゃねぇよ。

「けど、字的にみたら一文字しか違わないんだぜ?」

「まぁそうだな」

「じゃあそういう事で」

「それだけかよ!?」

わざわざ話を聞いた意味がない。

「まぁ俊行。見方によれば紙一重とも言えるのよ? 愛情表現が人一倍下手な所とかね」

確かにそうか……。でもな……。

「どうしてこころはそんなに変な方向な知識が豊富なんだよ?」

永野と一緒にオレに変な知識を教えられるって……。

「ほら、知ってるでしょ? アタシは雪奈が好きだって」

「まぁそれはな」

「だからよ」

「……何がだから何だよ?」

繋がりが全く見えない。

「つまり……アタシは妹萌えなのよ」

「………………………」

「だから、そういうのを追いかけてたら自然にね」

「とりあえずこころに気をつけろと雪奈に言っておこう」

「ちなみに海原。俺は可愛いければ何でもいいぞ?」

「……男でもか?」

「むしろ男の方が嬉しいがな」

「……危険人物だな」

「そうか?……そう言えば俺は男だったな」

性別を忘れるなよ。

「まったく……。それともアレか? 実は女の子でしたとでも言うつもりか?」

「言わない言わない。言えるわけないだろ」

……なんか引っかかる言い方だな。

「まぁいいや。とりあえず話は終わったよな?」

「そうだな」

「じゃあ金を寄越せ」

「「…………………」」

「ん? 何だよ二人とも変な顔をして」

「……男らしいのはいいことだよな? うん」

「何を考えてるのかな俊行はって思ってんのよ」

……もしかしなくてもこころは気付いたかな。

「まぁいい。ほら海原。今日のバイト代だ」

そう言って永野がオレに二千円札を渡してくる。

「……何故に二千円札?」

まだ絶滅してなかったのか?

「まぁいいや。ありがとよ」

「店員もちゃんと集めてるからな。その内バイト始まるからな」

「了解」

「じゃあ帰りましょうか俊行」

「そうだな」

オレとこころは席を立つ。

「じゃあな永野」

「まただな海原」



店長とバイト店員。それがオレと永野の関係だ。



……オレが永野の下なのが納得出来ないけど。


今日の夕食はカレーです。


今回はけっこう伏線を張りました。……回収しないものもあるかもしれませんが。

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