観察5:朝食
「お兄ちゃん。今日は終業式だね」
朝食中。いつものように雪奈と話しながら食べていた。
「それはそうだけど、それがどうしたんだ?」
「学校は午前だけなんだよ?」
「そうだな」
「これはデートに行くしかないよ」
「行かない。以上」
「普通に拒否られた!?」
だってメンドイし。家でゆっくりしたいし。
「ていうかアレだろ。デートってのは恋人同士でやるもんだろ」
「それなら問題ないよ。恋人ごっこはまだ続いてるもん」
長いよ。昨日の話じゃないか。
「はぁ………じゃあ一応聞いとくけど、デートに行くとして、雪奈はどこ行きたい?」
「遊園地!」
「却下」
半日で行けるような距離にないからな。
「うぅ……じゃあ水族館」
「却下」
半日で行けるような……(以下略)。
「動物園」
「却下」
半日で……(以下略)。
「アメリカ」
「却下」
半日……(以下略)。
「お兄ちゃ〜ん……どこだったら行けるの?」
なんだか泣きそうな感じで雪奈が言う。
「少なくともアメリカは無理だな」
ていうかアメリカで何するんだよ?
「じゃあさ、学校の近くの商店街に行こうよ」
商店街ねぇ………。
「それくらいなら大丈夫か」
たまにはぶらぶらするのもいいかもしれない。
「やった♪ じゃあ学校終わったらすぐだからね」
「はいはい。わかったよ」
こいつの面倒を見ると決めたのはオレだ。それにこいつの笑顔は好きだから。
「楽しもうな」
雪奈の願いは叶えよう。
「うん」
笑顔の雪奈にオレもほほが緩むのだった。
日をまたぐごっこ遊びって……。