観察53:スキンシップ
「最近さ……兄妹のスキンシップが足りない気がするんだよね」
テストが終わった後の休日。相も変わらずやってきた雪奈がそんなことを言ってきた。ちなみにこころは瑞菜と一緒にブラジャーを買いに行くとか言っていなくなった。
「スキンシップねぇ………必要か?」
「酸素クラスで必要だよ」
死ぬじゃん。
「はぁ……で? どんなスキンシップがしたいんだよ?」
「デコチュー!」
「却下」
あんなこと何度も出来るかよ。
「うぅ……じゃあホッペにキス」
「難易度が変わらないだろ」
オレはアメリカ人じゃない。
「じゃあオウマサンごっこ」
「お前は幼稚園児か?」
「ううん。○○生」
「……なんだって?」
「○○生」
……深くは突っ込まないでおこう。きっと雪奈なりのギャグなんだ。
「……他に何か案はないのか?」
「お医者さんごっこ」
「……ちなみに誰が医者役?」
「私、医療の知識なんてないからお兄ちゃんだよ」
ていうかオレも知識なんてねぇよ。
「他には?」
「プロレスごっこ」
「また王道できたな……でも却下だ」
「じゃあ昼ドラごっこ」
「オレの命がやばいから却下な」
「むぅ……お兄ちゃんてば文句ばっかりなんだよ」
お前が無茶難題ばっかり言うからだろ。
「ていうか何でごっこ遊びばっかりなんだよ?」
「だってたまに無性にやりたくならない?」
「ならない」
だってオレ達○○生だし。
「う〜ん……私だけなのかな?」
「まぁ世界は広いからな。きっとどこかにいるよ」
「うん。そうだね」
「そうだ。だから捜しに行ってこい」
これで厄介払いが……
「お兄ちゃんと遊べなくなるから却下ね」
……できるわけないか。
「はぁ……じゃあ昼寝でもするか」
妥協案だ。
「それって同じベッドで?」
「好きにしろ」
なんだかんだで雪奈には甘いオレだった。
昼どらごっこって……。